**** 回転木馬(前編 ) ****

<恵子>

 

1.遊園地

 

バスの停留場には冬の訪れを匂わすように、枯れ葉が風に舞っている。

夕暮れにはまだ早いとは言え、既に陽は傾きかけていた。

季節外れの遊園地行きの循環バスもここまで来る客は殆どなく、運転手だけ

のバスが機械に操られるようにすっと停留場に止まる。

ドアが油の切れた嫌な音と共に、運転手は、やや乱暴な音を立てて出入り口の

扉を開けた。扉が開いて暫くして、一人の女性がバスから吐き出されるよう

に出てきた。女性が路面につくと、ドアを開いたままバスは動き出した。

不潔なゴミを捨てて、急いで逃げるようにしてバスは走り出した。

急発進のためか、排気ガスは黒ずんで女性の体に吹き付けていった。

既に時刻は遊園地の閉園時刻をまわっていた。

辺りには誰もいない。

女は腕時計に一瞬目をやりうなずくと、躊躇いもなく入り口に向かってヒールの

音を響かせながら近づいていく。回転ゲージに手をかけると、体を割り込ませて園内

へ消えていった。

 

「約束の時間は、守れたようね。」

出迎えの黒服の女性が無表情な顔で呼び止めた。

恵子は口惜しさを飲み込むと、黒服の女性を睨み返した。言葉には出せず、

頷くだけだった。ピンクのワンピースの裾は、風の悪戯にあい白いものを

ちらつかせている。黒服はそれを見て微笑むだけで無言のまま、何かに

満足しているようだった。

「お客様がお待ちかねです。先を急ぎましょう」

これにも、何も言わず恵子は従うしかなかった。

向かうところはどうやら園内にある管理事務所のようである。建物の中に入ると、

「園長室」とプレートが取り付けてある扉の前で立ち止まる。

そして、お決まりの仕草で黒服の女性が小さくノックをする。

「ただ今到着しました」

「どうぞ、中へ」

「失礼します」

黒服と部屋の主との簡単な会話が済むと、扉を開けて恵子に中へ入るように

目で合図した。

通路はコンクリート剥き出しの殺伐とした作りに比べ、室内は豪華な絨毯が

敷き詰められていて、応接セットや事務机など豪華なものが設置されている。

恵子は厚みのある絨毯に足を踏み入れた途端、足元から来る不安で落ち着きを

失ってしまった。地に足が着かない感じだった。

その様子を園長はにやにやしながら、品定めをするように眺めている。

ドアを閉める音に続いて、カチャっと鈍い音がした。どうやら、黒服の女性が

ロックをしたようだ。

「美子、準備は出来ているんだろうな?」

「はい、先ほどお客様を客席の方へご案内をしてまいりました。」

「そうか。餌を急ぐ必要があるようだな」

園長は落ち着いた動作で、美子に隣室での検体をするように指図をした。

 

2.更衣室

 

ここにつれられてくる間に、覚悟は出来ているつもりでも、次から次へと意味不

明の会話を聞くにつれ、不安が胸に込み上げてくる。

何が始まるのかしら?

餌と言うのは、もしかすると私の事かしら?

疑問を感じても質問が出来るようなような雰囲気ではない。勿論、逃げ出す事

なんて論外です。

指図に従い隣室に足を運ぶと、そこは、更衣室になっていた。

更衣室と言っても、園長室の豪華な内装とは雲泥の差である。

壁はコンクリートのまま、床は安物の板間、その上に脱衣籠が一つ無造作に

置かれているだけだった。

「身につけているものは全て脱ぎ、その籠の中に入れなさい。」

黒服は事務的な口調ながら、有無を言わせない威圧感を漂わせ指示をした。

恵子は、いきなり裸になれと言われたが、手が動かない。

ひどく動作が緩慢で、黒服には逆らっているように見えたのかも知れない。

「反抗は無意味ですよ。素直に指示に従った方が身のためです。」

黒服は、乱暴に恵子の背中に手を伸ばし一気にファスナーを引き下ろした。

反射的に恵子は胸を手で覆うようにしたが、悲鳴声だけはどうにか出さずに

いた。それを契機に黒服にワンピースをもぎ取られ、ブラジャーも外され、

とうとう、股間を包むお襁褓だけの姿にされてしまった。

それを見て大きな声で黒服が笑い出した。

黒服から指示で身につけたお襁褓なのに、まるで、初めて見つけた振りをしてい

る。そして、お襁褓姿の恵子を見て、いつまでも笑い続けている。

 

衣服をもぎ取られ、小さな胸を両手で抱きかかえて、身を丸めた背後から黒服の

笑い声を受け止めていた。

情けなくなるほど恥ずかしい。恥ずかしいと思えば思うほど、股間からはお襁褓

以上に見られたくないないものが次々と溢れてくる。

じゅんと音を立てて流れ出てくるような気がして、なぜか涙がこぼれ出た。

黒服の手がお尻に手を当て、臀部を確認するようになぜて来る。

「恵子さん、これは何かしらね」

あはは、と、笑いながら何度も何度も同じ事を繰り返すのです。

何も返事がないことに黒服はなかば呆れたように、恵子の身から離れて妙な椅子

を持ってきた。それを椅子だと説明されるまで恵子には、何か分からなかった。

太い丸太に背もたれが付けられている。これが椅子だという。

「どうぞ、ここに座って頂戴。お漏らしさん」

おどけて笑いながら黒服は言う。

お漏らしはしていませんと、喉まで出かかった言葉を辛うじて飲み込み、

指示に従って椅子に座ろうとした。

「あっ、違います。向きが、、、それにそのままではダメですよ。」

続けて、その可愛い下着もここでお別れですよ。と、黒服が言う。

いよいよ、一糸まとわぬ全裸になるときが来た。

 

3.奇妙な椅子

 

馬乗りに座った状態で、暫くの間、身動きをしないように命じられた。

座り心地、いいえ、跨ぎ心地と言った方がお似合いの姿です。

その上、お尻の肌触りと言えば、妙にねっとりとした感触がする。

体重の重みで、お尻が沈み込んで股間部分にもねっとりとまとわり

ついてくるのです。

まるで、歯医者さんで歯形を取られているような気持ちになってしまうのです。

少しでも体を動かす気配をすると、背後で見張りをしている黒服が

「動かないでっ」と、叱りとばす。

いくら鈍い恵子でも、今、何をしているのか理解できるようになっているのです。

黒服は、臀部の谷間と陰部の型どりをするために、この妙な椅子に座るように

指示をしているのです。

困ったことは、座る前からはしたなく雫を溜めていたので股間の亀裂は

行儀良くしていないことです。このまま、型どりをされてしまえば、

恥ずかしい形が開いたままで残ってしまう。

「そろそろ、良いかしら」

恵子は背もたれにしがみついて、黙秘権を行使している。

黒服は、お構いなし。右足の下に台を置くと、恵子の足首を持ち上げその上に乗せる。

「手の焼けるお嬢様だ事。」

そう言いながら、楽しそうに反対側へ移動したかと思うと、左足を掴んで

一気に持ち上げた。

「きゃっ!!」

とっさにバランスを崩して、何とも言えない格好で床に転げ落ちた。

まだ、黒服は足首を持ったままである。

片足を持ち上げられて股間をさらけ出したままひっくり返っている。

椅子に残った型と実物を見比べながら黒服は満足そうに、恵子に向かって

笑みを浮かべた。

 

黒服は、椅子の上に出来た恵子の複製がひどく汚れているのを見て、

暫くの間人差し指で擦り付けるようにして遊んでいた。

亀裂の部分は逆に妙な突起物となり、突起物のところには窪みが出来ている。

ぬめりを付けては窪みを指先で擦り付けるように、そして、また。

ゆっくりとゆっくりと、その動作を繰り返す。

恵子のことは無視している様子である。凹凸を逆にした複製物で遊んでいる。

そして、汚れを綺麗に拭ってから、恵子の方を見て汚れの具合を詳しく

説明した。亀裂の部分に付着している様子は念入りにです。

ひとしきり恵子をからかうと、黒服は、椅子と共に部屋から姿を消した。

 

恵子は一人取り残されて暫くは、動く気がしなかった。

両足を蛙のように開いたままの姿で、じっと天井を見つめている。

掃除が行き届いているのか、天井には埃は付着していない。部屋の隅から

順に目線をずらして次の隅へと何かを探すように、丁寧に見ていった。

何もない。

床にも何もなかったけれど、天井にも何もない。

無性に何かを見つけたくなった。

起きあがって、今度は四方の壁を見つめた。一気にぐるりと見渡したけれど、

やはり、何もない。

ゆっくりと起きあがって、脱衣籠の中を覗いた。

「ない!!」

何時の間にか脱衣籠の中には、幼児が使うスモックが一着あるだけだった。

ありきたりのピンクのスモックだった。

目の前に着衣があると、急に裸でいることが恥ずかしくなり、それを手に取り

着ようとした。

胸元に近づけて長を合わせてみると、お尻の上がかろうじて隠せる程度だった。

裸でいることと、これを身につけることと、一体どちらが恥ずかしいのだろう。

真剣に考えた。

そう、真剣に考えたのです。

黒服の美子と呼ばれる人は、今はいない。でも、いつ何時戻ってくるかわからな

い。ぼんやりしていた時間もどれ程だったのか、その時間も考えるとゆっくりと

考えている時間はないような気がした。

頭のなかでは、スモックを着た恥ずかしい姿の恵子がいた。

陰毛を晒し、臀部をはみ出させた羞恥の的の恵子である。

裸のままで迷っている恵子と、頭の中に描かれた恵子が会話をしている。

「黒服が戻ってきて、スモックを取り上げられても良いの?」

「裸のままの方が、まだましよ。」

「うそつき!!」

一人でいるせいか、既に裸でいることの羞恥は消えている。それなのに、何かに

抵抗をして目の前の服を着ることを躊躇っているだけなのである。

乱暴な口調で頭の中の恵子が言った。

「早く着ろ! ・・・・・き・な・さ・・い!!」

恵子がスモックを着たのと同時に、扉が開いて美子が入ってきた。

美子は恵子の方をちらりと見ただけで、事務的な態度で、壁に近づき両手で

何かを探り始めた。

そして、ドアをノックするように壁を叩き、音の違いをたよりしてあるものを

探り当てたのです。

恵子が一人で居る間に、いくら眺めても分からないはずで、見た目には全く

違いがない壁に開き窓が顔を出した。

壁に現れたその窓は、床に沿って高さは1mもない。正方形の隙間と言った方が

良いくらいの大きさだった。

美子は窓を開き終わると、振り向いて恵子を呼んだ。

 

この部屋はちょうど滑り台の上に位置する。

『窓』から外を覗くと滑り台の下は、回転木馬の入り口に続いていた。

既に外は暗く、回転木馬の中央に取り付けられた照明で周囲は眩しいくらいの

明るさだった。

 

4.滑り台

 

恵子は高所恐怖症ではないが、かといって平気でもない。公園の園児用の滑り台

なら何ともないが、フィールドなんちゃらといった大胆なものにると、二の足を

踏んでしまう。どちらかと言えば、やんちゃな女の子ではない。

こんな恵子にとって、落差のある滑りの良い滑り台となると、進んでは滑る気に

はなれないのである。

しかし、中断することは出来ない。

足から行くか頭から行くか、恵子には決心が付かない訳は、そこにあった。

足から行けば、下から覗いている人に丸見えになる。

かといって、頭から行くのは勇気が入る。

たかが滑り台。

四つん這いになって、顔を扉から突き出すようにして下界の様子を眺めていた。

美子は、恵子の背後に立ち無様にお尻を晒している姿を楽しんでいる。

「さあ、下に行けばお友達が待っているわよ」

余計なお世話と言うのだろう。この滑り台の使い方について美子は、独り言の

様に喋りだした。まあ、簡単に言えばこうである。

この滑り台の板は、滑りを良くしてあるので両端を足で踏ん張るなりして、

加速がつかないようにして滑らないと、下に着いたときに怪我をするかも

知れないと言う。頭からだと、それが難しいのだと説明をした。

余計なお世話と言うのだろう。この滑り台の使い方について美子は、独り言の

様に喋りだした。まあ、簡単に言えばこうである。

この滑り台の板は、滑りを良くしてあるので両端を足で踏ん張るなりして、

加速がつかないようにして滑らないと、下に着いたときに怪我をするかも

知れないと言う。頭からだと、それが難しいのだと説明をした。

 

「次の出番のようですよ」

観客は隣の人に声を掛けてから、滑り台の上に目を移した。

見飽きた女の裂け目も、こうして眺めると退屈しのぎぐらいにはなるらしい。

同じ様な目つきをした観客が、これから滑り降りてくる窓の方へ顔を向けている。

はじめに左の足が窓から飛び出して、次に右足と続く。

滑り台は傾斜こそ緩やかであるが、台座も含め特殊加工がされているらしく、

兎に角滑りがひどい。よほど、両側にしっかりと突っ張っていないと、それは

それは凄いスピードで落下してくる。

これまでも、何人もの女が同じように、途中で力つきて無様な格好で滑り降りて

きた。

今度の女も同じく無駄なあがきをしているようだった。

見られることを拒絶しようとして両手だけで身体を支えようと、藻掻いている。

つるっ・・・・つつーーー・・・・。

慌てて両足で滑りを止めようとして、大きく開いて左右の壁に足の指で

支えようと頑張っている。下から覗き込んでいる観客の目には、女の股間に

見えている裂け目だけではなく、何もかもが丸見えの状態である。

 

わざわざ教えて貰わなくても、恵子にも丸見えになっていることくらい

分かっている。

滑り台の落差と着地のことを考えると、何とかしてこの滑りを抑える方が

優先している。両足を壁に押しつけて見たけれど、一度滑り出した身体は

なかなか止まらない。かえって両足が上に持ち上がり、お尻を突き出すような

格好になってしまった。

お尻で滑っていると言うより、背中で滑っている格好になっていた。

つるっ・・・・・つるつる。

踏ん張ろうとすると余計に股が開いて行く。まるで、股間に出来た隙間から

空気を吸い込んで滑り落ちて行くように。

するする・・・・つつつーっと。

もう、こうなれば恥も外聞もありません。願うは着地だけです。

 

下で待ち受けている観客は、何度も見ている光景であるが、無様に滑り落ち

てくる裸体の女をあざ笑うように見ている。

よくよく見ると、今度のものはどうやら失禁しているらしい。噴水を出しながら、

滑り落ちてくるのは、本日初めてである。

滑り台の下まで落ちてきた恵子は、お漏らしをしていることに気が付いていない。

一瞬、身体が空中に放り出され宙を舞った後、どすんと音をたてて床に落ちた。

大の字を描いて観客の目の前に放り出された。

気を失っているわけではないが、見開いた瞳は焦点が合っていなく、潤んだ瞳を

観客の数人が覗き込んでいる。

意識は当然のこと、観客が覗き込んでいることも理解できている。目線があって

も、惚けているに過ぎない。

そうこうしている内に、一人が恵子の胸を弄りだした。

まだ、しらんふりをしている恵子。

『本当に気絶しているのか?』

『いいや、ワカラン。』

はだけたスモックのせいで胸も晒したままの恵子に、取り巻く観客は好き勝手な

事を言いながら、さわり放題である。

大の字に寝ている恵子は、まな板の鯉と同じ。一人は胸を、また一人は失禁して濡れたままの裂け目に、そして

一人は下腹付近を抑えている。

時折襲ってくる快感に思わず声が出そうになるのを、必死で堪えている。

声を噛みしめ知らんぷりをしていても、身体が正直に反応してしまい、乳首は

痛いほど立ってしまっている。惚けられるのも、そろそろ限界に来ている。

 

5.木馬の上で

 

気が付くタイミングが難しい。

体中に延びた手で身体は限界に来ている。

心の中で呟く。

「だめっ!! そこは・・・・」

反射的に腰が弾けそうになった、その時、体中の手が一斉に引いた。

何時からそこにいたのか美子が、観客に促すように言った。

「そろそろ、回転木馬の開演時間です。」

「皆様、お席にお戻り下さいませ」

回転木馬の台座に据え付けられた子馬の姿は、ガラスの子馬。

ガラスではない。見た目には透明でガラスのように見えているだけで、

材質は分からない。

遊園地にある回転木馬と違いがあるのは、その子馬だけで手摺りもあれば

床の回転にあわせて子馬が上下に動くところも同じ様です。

まだ、時間が来ていないのか子馬はじっと待っている。

恵子は自分の乗る場所を探そうとして、そのガラスの子馬に近づいた。

一台ずつに名前が付けられていて、座る場所は事前に決められているようです。

一歩ずつ進んでは名前を確認して、”けいこ”と言う名前を見つけた。

子馬の背中には、先ほど椅子でかたどられたお尻の鞍が付けられている。

その鞍は、事もあろうか正確に穴の部分がくりぬかれ、座ると下から自由に

出来るようになっている。

「じりりーん!!」

ベルの音がけたたましくなったかと思うと、アナウンスが流れた。

「遊戯の方は速やかに搭乗して下さい。時間が迫っています。」

恥ずかしいとか言っている暇はない。

恵子は意を決したように、その子馬に跨った。座るとお尻の形にぴったりと

はまり身体は動かないように固定されて、その上、足を床に縛り付けられて

しまった。まるで子馬の背中から上半身が生えているかの様に、お尻は

ぴったりと密着している。

救いはガラスではなくて子馬の背中は暖かく、お尻は冷えないで済むよう

なのです。

恵子はガラスの子馬に跨ったままで、周囲を何気なく見渡した。

前の方には似たような子馬は居るけれど、誰も乗っては居ない。後の方で

何やら音がするけれどきつく固定されているので、思うように身体が

動かせないので良くは分からない。

 

ミノキチは開演時間ぎりぎりに回転木馬の台座に到着をした。

彼にとっては特別な日ではなく、毎日の日課のようなものである。

そのくせまるでゲームコーナーで遊技台を物色するかのように、順番に

子馬の下から覗き見てそこから見える女の秘部を選んでいるのである。

電源は既に入って木馬が動き出すまでに、時間はいくらもないのである。

何頭か見てから何が気に入ったのか、それとも何でも良かったのか、とにかく

ミノキチが選び座った席は恵子の木馬だった。

木馬の下には椅子が付けられてあり、その椅子に座れば丁度良い位置に

木馬に跨った女の股がある。まるで、手術台にいる患者を診る医者のように。

そして、目の前には刷毛や何種類かのこけし等の道具が用意してあった。

ガラスの木馬に跨った人数と同じ人数が、その椅子に腰掛けたと同時に

回転木馬は音楽と共にゆっくりと動き出した。

これからがミノキチ達の仕事である。

何が仕事かというと、この木馬の上の女に対していろいろと試験をして遊園地の

遊技場やら園内の特別公衆便所に配布する。まあ、言ってみればおもちゃの選別

みたいなものである。

恵子をはじめガラスの子馬に跨っている女は、こんな内輪のことなど何も知らない。

ミノキチからは総てが見えているが、恵子からは何も見えない。

ここまで来れば見えていたところでどうなるものでもないが・・・・・。

木馬が回転を初め、回転に合わせて適当に木馬は上下運動をしている。

音楽もそれにふさわしく軽やかに鳴り響いている。恵子は、ゆっくりと動くガラス

の木馬の上で、振り落とされる心配はないのに強くしがみ棒をつかんでいる。

手のひらにはじんわり汗が滲み、お尻に伝わる暖かさを楽しんでいた。

不安と言えば、股間部分が空気に触れてなんとなく落ち着きがない。

 

木馬の中では、ミノキチは配布依頼票を手にして呟いた。

「公衆便所、1名。射的場、1名。金魚すくい、1名・・・・。」

園内の各所からの依頼票を、口にして読み上げていた。その間も、木馬は回転を

しているが、1周や2周は何もしなくても時間は十分にあるのである。

とは言え、最初の反応が気になるようで、手にした乳液を左中指にたっぷりと付け、

木馬の背に見えているお尻の穴に塗りつけた。両脚は左右に大きく広げられているので、

肛門を広げなくても丸見えの状態なのである。依頼票を広げたまま慣れた手つきで

肛門の内部にまで乳液を塗り始め、何度か指を出し入れして滑り具合を確かめている。

程良く滑りを確かめると、蛇の頭をしたこけしを木馬の下に固定した。

固定された蛇の鎌首は、きっちりの恵子の肛門を狙い木馬の上下運動に合わせ、

木馬が下に来たときに潜り込む様になっている。

 

蛇こけしは装着されてまもなく子馬の中に、何度も入っては出ているうちに

白蛇の鱗が次第に黄ばみ始めた。どうやら内部清掃に手抜きがあったようである。

(そんなものは、はじめから用意されたものではないが、、、)

子馬の背上には、下半身を固定された生身の蛇穴が開いている。ミノキチは次の

準備のために蛇こけしを蛇穴に挿入して、電動のスイッチを入れた。

コブラほどではないが蛇こけしは頭が大きく作られているので、そう簡単には

抜け落ちないように作られていた。そうはいっても、所詮排泄器官なのでその気に

なれば抜けてしまう。まあ、本人次第なのである。

ミノキチは過去の経験から万が一のことを考えて、ポリバケツを用意した。

白蛇のこけしは頭を蛇穴に入れて、電動の力でその鎌首を必死にくねらそうとするが

狭い蛇穴でもがき苦しんでいるようである。動きに取れないその反動で、しっぽの

部分を振り回しているのが滑稽だった。

背上の恵子にしてみれば、笑い事ではない。そう、必死なのです。

お尻の穴を弄くりまわされたあげく、なにやらガラスの子馬が床に近づくと

ぬるりと潜り込んでくるのである。初めは、やや痛みがあって驚きと恐怖に

身の縮む思いだった。ところが、ぬるりと入り込んでは出て行く異物に徐々に

身体が馴染んでくると子馬の動きがもどかしくなっていた。

所詮機械のすること、次に木馬が床に近づくのを待つしかないのである。

下半身が固定されてこの身の中に挿入される、何者かを知るすべもなく、ただ

感ずるままに子馬の動きに身を任せるしかないのです。

軽快な音楽も今は聞こえてこない。

そんな時に、その異物は子馬の動きとは無関係に体内に潜り込んで来た上、

奇妙な動きまでし始めたのです。腰は動かせないし、官能は否応なしに訪れて、

腰は痺れ倒れることも出来ない。気を許せば異物が抜け落ちそうになり、排泄

してしまいたい欲望と葛藤し、異物と共に体内のものが出てしまいそうになる

羞恥から必死で耐えていた。力を入れると、異物をしっかりとくわえこんで

しまい、閉じることが出来ない門扉が辛くなる。

 

ミノキチは、ひくひくと動く肛門を見て満足したように、白蛇の動きを止めた。

白蛇の動きを止めても尻尾は余韻で、間歇泉のようにぴくん・・・ぴくんと

動いているようだった。声を押し殺して、白蛇をそのままにして、開ききった

女の秘部に次なる試験器具を固定し始める。

固定された器具は、こけしと呼ぶにはあまりにも本物に似すぎていた。

違いと言えば、いつまでも柔らかくなることがないこと位なのである。当の本人には

実物は見えないのだから何でも良いようなものであるが、そこがミノキチのこだわり

なのである。白蛇の時と同じく、子馬の動きに合わせて膣内探検をするように

セットされた。

僅かな休憩の間、恵子は息を整えようと手摺りにしがみつき深呼吸をしようとしたが、

お尻に突き刺さった異物のためか、はあはあと息づくばかりである。両脚も痺れが

止まらず股関節は他人のもののように感じていた。

ガラスの子馬の鞍が温度を持っていることが、今度は憎くなっている。

自ら排泄している粘液で精密に作られた鞍との隙間にも滲み込み、ぬめりを感じ

始めているのだった。回転木馬の音楽も遠く耳に聞こえてくる。

意識が朦朧としてきて、足にも力が入らない。もう、これで十分。

何度となくぼんやりした意識の中で、そう呟いていた。

夢うつつの中、目を閉じてお尻に居座る異物を吐き出そうとしたその時、子馬は

音楽の中静かに床に近づき、股間の裂け目を引き裂くように一気に巨大なものが

体内に割り込んで来た。白目になったのではないかと思うほど強烈に進入してきた。

一瞬、気がゆるみ肛門の力が抜けてくわえこんでいたものを吐き出してしまった。

と、次には子馬は宙を舞い、股間からは突き刺したものが抜け落ちた。

すると、何がなんだかわからないまま、あれほど耐えていた排泄物が体内から

大量に吐き出されてしまった。回転木馬の美しい音楽さえもかき消すほどに、

醜悪な音と共に、それは聞かれたくない音だった。

たった一度の楔だけでこの始末、一瞬の間に子馬の動きに逆らうように身体を

鞍から離そうと固定された腰を必死で藻掻いた。

 

「やれやれ、こいつは大丈夫だと思ったが、何のことはない。」

ミノキチは、ポリバケツをそのままにしておいたことに感謝した。

至近距離からの排泄だけに無傷というわけには行かず、多少の雫やらで顔や

身体に付着してしまった。ミノキチは嫌がるふうでもなく、顔に飛び散った

排泄物を取り除きポリバケツに捨てた。ポリバケツの中では、変色した白蛇が

息絶えて汚物にまみれている。

木馬の背を境に白蛇の弔い合戦が繰り広げられていた。

ミノキチはと言えば、糞まみれになりながらもペニス棒が闘う姿を眺め、

開ききった裂け目のくわえる姿を観察して、時折亀裂の付け根を刺激して

馬上の狂った肉体に追い打ちをかけた。

恵子は既に気が狂ったかのように上半身を揺さぶり、腰の抜けた身体で

股間に襲う突き上げと闘っていた。木馬を両の脚で締め付けて襲いかかる

快楽と闘い、抜け落ちる口惜しさに悶え苦しんでいた。

時には意識を失いかけては、この世に引き戻され木馬にしがみついて耐えていた。

何時しか回転木馬も止まり、音楽も終わってあちこちで狂った女のうめき声

だけが遊技場を包んでいた。

 

6.試験官

 

回転木馬での遊技試験が終わり、ミノキチを初め数人の試験官が集まっていた。

依頼票に従って振り分けるための協議をしているのである。

何しろ試験方法は、試験官の采配に一任されているので、試験官の独断と偏見で

適正を決めることになる。ミノキチは試験官の班長をなので、各試験官の報告を

基に最終判断をする事になるわけである。

 

美佐代の試験官は、美子だった。

今夜の遊技者は5名。残り3名は妙子、倫子と美紀、そしてそれぞれに試験官が

いた。女性の試験官は美子ただ一人だけである。

美子の報告が始まり、ミノキチは報告内容を記録するためにペンを手にした。

美佐代が木馬の上で暴れようとするので、最初に大人しくするため、股間の

敏感な突起物にクリップを止めた。一端は痛みで大げさに暴れたが、やがて

諦めて震えるようにして静かになったという。そこで、クリップをそのままにして、

肛門試験、陰門試験と続けて行ったが、途中で美佐代の失禁に継続が困難と判断

した。暫くの休憩を挟み試験を再開。

感情を入れず報告を続ける美子の中に、ミノキチは冷たさを感じた。

試験報告が終了した美子は、最後に美佐代の配布先は射的場が適切だと、付け加えた。

妙子、倫子、美紀と報告は続けられて、ミノキチが恵子の記録を書き加えて記録簿を

閉じた。

 

回転木馬の遊技を終えた女達は、次の移動先を聞くため待合いブースに集められ

ていた。

美佐子は全裸でしゃがみ込んで、その身体は小刻みに震えていた。

失禁のためか尿臭を発散させているはずなのだが、周囲の異臭に混じりさほど

目立つこともなく表情は、ただうつろな瞳が光っている。

少し離れたところでは、妙子が横になっている。気絶しているわけではないが、

うつ伏せになって次の為に休んでいるようである。

失禁こそしていないが、臀部の下には明らかにぬめりが大量に付着していた。

倫子は、皆と違いけろりとして壁にもたれて立っている。豊かな胸を誇らしげに

突き出し下腹部の翳りも隠さず、周囲の様子を見ては微笑んでいる。

恵子はと言えば、たかがあの程度で腰砕けになり一人で動けなくて、美紀に支えられて

待合いブースにたどり着いた様子である。

美紀の背が高いのか、恵子が小さいのか美紀の肩くらいの背丈で、恵子は歩く足取りもあやふやである。

狭い待合いブースは5人の体臭と、尿や糞の悪臭が混じり、清掃の行き届かない

豚小屋みたいな状態になっている。特に、美佐代と恵子の臭いが酷い。

豚は清潔好きなので、豚には失礼をお詫びします。

しかし、臭いものは臭い。

 

7.美子の悪戯

 

試験報告会が終わった美子は、女達が待っているブースへと足を向けた。

美紀がブース内をうろうろと歩き回り、身の汚れを何とかしようと家捜しを

していると、窓から美子の姿を見つけた。

振り向いてみんなに教えようとしたが、誰とも目線があわず何となく言い出せず、

捜索を打ち切って部屋の中程に腰を下ろした。

その数分の後、ドアを開けて美子が入ってきた。

「皆様大変お待たせしました。先ずは、身体を清めますので集まって下さい。」

従順な豚小屋の豚が、餌に集まるように美子の所へ集まってきた。

深夜の遊園地に全裸の女性、恵子とてスモック一枚を身につけいてるだけの

殆ど裸に近い状態であり、異様な光景である。その上、汚れた身体を他人に

清めて貰う、それだけでも恥ずかしいことなのに、四つん這いになってお尻を

突き出すようにと、美子は命令をした。

倫子が文句を言おうとすると、きつい口調で美子は咎めた。

その口調が激しいものだっただけに、倫子は渋々ながら指示に従い床に手を

つき、そして、お尻を突き出した。

恵子は、その光景をじっと見つめて丸出しの臀部に目を移すと、そこには

倫子の谷間から口を広げたままで、花びらには試験の跡が残っていた。

普段は人目に晒す部分ではないだけに、思わず見入ってしまい美子から

『貴女もです』と促されるまで、呆然としていた。

まるで催眠術でも掛かったように、倫子の横に同じ姿で四つん這いになった。

続いて、美紀、美佐代、最後に妙子が並んだ。

五つ並んだお尻の谷間には、やや黒ずんだ花びらや試験で赤く腫れたもの、

いまだにぬめりをおびたままのもの、肌色の臀部とは違いグロテスクな顔を

している。やはり、隠しておくものなのでしょう。

「さあ、はじめるかぁ」

美子は面倒な仕事を始めるときに、かけ声を出して自分自身に言い聞かせる

ように、ややふざけ気味に言うと真っ白なタオルを手にした。

何時の間に用意をしていたのか部屋には、湯で満たされたバケツがあり、

その湯に浸して拭き掃除から始めることにした。

 

左から妙子、美紀、倫子、恵子、美佐代と五つの尻が並んでいる。

そして、状況はこんな風である。

妙子は、余ほど満足したのか大量に零した湿りで光っている。

美紀は、未だに肛門に何やら刺さったままである。

倫子は、真っ赤な顔料のようなものがべったりと付いている。

恵子は、大便を漏らしたけれど、見た目は分からない。

美佐代は、クリップで挟まれた突起物が腫れ、そして失禁で尿くさい。

 

美子はしゃがみ込んで、妙子から順に臀部を拭き始めた。

拭き終えると、平手でパシーッと叩いては、『お・し・ま・い』と合図を

かけ、次へと拭き掃除を続けた。

谷間と太股や足の付け根は、わざと後回しにしているようなのである。

 

試験官の一人、太一は担当の女を連れて行くために待合いブースにやってきた。

扉の前に掲げられている札を見て、太一は舌打ちをした。

「なんだ。美子のヤツ、また悪い癖が出て遊んでるのか。」

札には、『清掃中につき、入室ご遠慮下さい。』と書かれていた。

太一の行き先は、射的場、急ぎではないので美子に時間を与えることにした。

とは言え、何もせず待っているのも癪なので、窓の隙間から様子を見るため、

位置を移動することにした。窓にはカーテンで遮蔽されているが、部屋の中が

明るく深夜なので、隙間から覗けば丸見えである。

「やっぱりな。」

窓から覗いて太一は、ぼそりと呟いた。

5人の女が尻を高く突き出して、床に這い蹲っている姿がそこにある。

虫食いで腐敗が出来た桃が並んでいるような光景で、桃には手形がくっきりと

ついているので美子の悪戯だと直ぐにわかった。

 

妙子の亀裂からは、何度拭いても壊れた蛇口のように、いつまでも湿りが

湧き出て美子もばかばかしくなっている。対して刺激を与えているわけでも

ないのに、とろりとろりと出てきて際限がない。

美子は、妙子の顔を見ながら『そんなに欲しいの?』と問いかけたが、妙子は

顔を振るだけで返事をしない。言葉を換え、何度も詰問したが涙を浮かべた顔で

妙子は口を閉じたままである。痺れを切らして美子は言った。

「そう。。。。このまま湿ったままで、つれて行かれると良いわ!!」

そう言って、悔しさを表し妙子の足の付け根を目一杯つねった。

「イターッ!!」

「ふん。」美子が鼻で笑って、隣の桃掃除に移った。

 

美紀の肛門には突き刺さったものの端が覗いている。

美子が片手で臀部を広げ、露わになった肛門から抜き取ったもの、それは、

体温計だった。どうやら直腸内の体温を測るために突き刺して、そのままにした

様である。美子は、体温計の指す温度を見ながら頬を緩めた。

「美紀さん。風邪でもひいたのかしら?」

そう言いながら、タオルで肛門を丁寧に拭いている。直腸内の体温だから、

多少は高めに出るのは当たり前のことなのに、何かを企んで楽しんでいるのである。

目の前に突きつけられた体温計を見て、美紀は慌てて『大丈夫です。元気です。』と

返事をした。

「では、もう一度計り直しましょうか?」

体温計をリセットして、拭き取りもせずに美紀の口に差し込んだ。

 

そうして、倫子の番が来たが、美子は真っ赤な陰部を見ると、『貴女は汚れて

いないから、大丈夫ね』と言い、猿のお尻みたいで可愛いわよと付け加えた。

 

それを聞いた恵子は、とっさに『私も汚れていませんから、大丈夫です』、

美子の方を見て訴えた。

美子はご満悦の様子である。

平太、三平と続いて試験官がやってきた。ミノキチは、各部署に結果の報告を

入れるため事務所に戻った。

一人近づく気配を感じた太一は、覗いていた窓から離れ入り口の様子を見に来た。

近づく二人を見て、人差し指を口にあてた。

「また、はじまったのか? あの癖が。」

平太と太一は同時に言った。平太は、やれやれと困った風に両手を腰の側で

広げて仕草で美子の性癖に呆れた風である。

三平が言うには、班長が事務所に先ほど向かったので、余り時間がないと太一に

小声で知らせた。

腕時計を見たり、あれやこれやと言っては見たが、結局もう少しだけ待つことで

3人の意見が一致した。

 

熱めのお湯で絞りなおした真っ白いタオルを用意して、恵子の肛門を丹念に

拭いた。臀部の谷間も強すぎず、弱すぎず丁寧にタオルで拭いた。

肛門とその周囲だけを拭いて、白いタオルを広げて恵子に突きつけた。

「これでも、汚れていないと言い張るつもり!!」

一度蛇首で広げられて、弛緩した肛門から勢い良く排泄した大便なのである。

詳しくは美子が知らなくても、ミノキチの報告で何をしたのかは知っているのである。

付着した液状のものは、乾いて谷間に隠れていたが、暖められたタオルで

すっかりと剥がされタオルに移動しているのである。

白いタオルだけに、ふき取られたものの色は鮮明なのである。

こっそりと悪戯をしていたが、その場の状況を忘れてしまい、大声で笑う美子は、

恵子にとっては不気味でさえあった。

心の中では、何もわざわざみんなに聞こえるように言わなくても良いのにと、

恨みも込めて高笑いをする美子を睨み付けた。

ひとしきり笑い、一息ついた美子は窓から覗く人影に気が付き、ばつが悪そうに

窓に向かって頭を下げた。

 

美子は残念そうな顔で、残る二人の始末をした上で、全員の臀部に予定の

番号を書き込み清掃を終えた。

その様子を見届けた太一は、腕時計を見て、ぎりぎりセーフと二人の試験官に

言って待合いブースの中へと入っていった。

「お疲れさまでした。」

「美子さんの担当は、この番号だよ」

そう言って太一は小さなメモを手渡した。

それぞれの試験官は、メモに書かれた番号と女の尻に書いてある番号照らし

合わせ、その女を連れて部屋を後にした。

一人去り。二人と、深夜の遊園地の中を試験官に引き連れらて、全裸姿で

消えていった。

後ろ姿は、お尻の番号が両の臀部に浮かび、数字が揺れている。

5人の女には次なる場所で、また、次なる楽しみが待っていた。

( 前編)完

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