**** 回転木馬 (後編) ****
恵子が平太に責められていた間に、同級生たちはいち早く活躍していたが、
妙子の様子以外は分からなかった。気にはするものの、恵子自身、我が身の
出来事だけで精一杯で、思考の枠外に追いやっていた。
さて、当の本人は平太にお尻の味と牛馬の態度を教え込まれ、いよいよ現地に
到着となった。
1..小便器
ここは女子トイレとは違い、広々としていた。
部屋の広さそのものが、較べ者にならない。便器の数も段違いである。
目の前には十分すぎるスペースが拡がっている。黒目だけを左右に動かして、
周囲の様子を眺めてみたが、残念ながら入り口は見えない。
応接セットが正面に見えたが、待つ間の休憩場所にしろ、なぜか便所には似合わな
い気がした。左の方を見ると、個室らしい扉を発見した。おそらく大便用個室なん
だろうと容易に推測が出来た。
こうして、恵子は無人の男子便所のなかを、隈無く探索をしていた。
一つ、理解できない大きな穴が壁に開いている。
応接セットの、その向こうに見える壁の穴である。女子トイレではお目に掛かった
ことがなかったものだった。身動きが出来ないので、ここから見えている状況から
推測するしかない。
「なんだろう?」
ここは、夜中遊園地に遊びに来られるお客様の専用便所である。
係員から説明を受けて、最初は小便器から始めることになりました。
洋式便器が世間に蔓延しても、男子専用の小便器は健在なのです。その小便器の
役目を仰せつかった私は、全裸のままで用意を始めました。壁際には突起物があり、
そこに腰を掛けると、次に、背を壁にぴったりと密着するようにして準備をしました。
突起物は小さくて、大きなお尻を乗せるには少々役不足だけれど、便器に不満を
言える資格はありません。そのままでは、やや不安定な姿勢になるので、両脚で
しっかりと踏ん張り身体を支えることにしました。
すると、お隣から『あら、新人さん?』と声が聞こえてきます。
どうやら、便器歴の豊富な先輩の様です。
「はい、今夜が初めてなので宜しくお願いします」
まずは、挨拶をしっかりして、新人の心構えである。
まだまだ、小便器を卒業できないひよっこなのに、大したことは出来ないけれど、
と言い、あれこれと経験の中から心構えを教えてくれた。
恵子は、良い便器なんだと感心した。
聞いていると、万年小便器、ご機嫌どりの便器、要領よくこなしてさっさと大便器
に出世した小便器もいて、様々な小便器がいることを知った。便器社会も競争が
激しいことを知りました。
そうこうしている内に、腰の部分を壁にベルトで固定され、足を広げて新米小便
器の完成です。後は、じっと待っているだけです。
2.デビュー戦
「こう・・・負けが続くと、やりきれん。」
独り言を言いながら、男は扉を開いた。どうやら、ゲームでの勝負が芳しく
無いようです。
「おや? 誰もいないようだ」
便器の品定めをするように、一つ一つ眺めて場所を選んでいた。
恵子は横目使いで男の様子を観察している。
最初が肝心だから、出来れば上手な人が良いと思ったので、注意深く観察をしていた。
「だめよ。この人は、少しイライラしている様子だわ」
初めてなので緊張感もありドキドキしていたが、冷静になるように自分自身に
言い聞かせ、あれこれと作戦を練った。
じろじろと見ていて目線があってはいけないと考えて、正面を見て、そして、
身動きしないようにじっとしていることにした。
男の声が聞こえてきて、足音が近づいてくる。
「だめっ!!来ないで」
鼓動が聞こえてきそうな位、どくん・・・どくん・・・と胸が響いてきた。
作戦を忘れて一瞬顔を向けてしまった。まずい。男と目線が合ってしまった。
慌てて視線を元に戻した。
「ん?なんだ、こいつは。」
どうやら周囲の便器とは、少々違った物を感じた男はつかつかと、目の前まで
やってきて恵子をのぞき込んだ。面白い便器だ、便器が照れて赤くなってやがる。
「こいつが面白そうだ」
「ぎょっ!! そ、そんなに近づかなくても・・・・」
恵子は、近寄る男に一瞬怯んでしまった。硬直した身体で、益々顔を赤らめてしまい、
焦りで思考が停止してしまった。
便器に歩み寄った男は、仁王立ちで小便器の行動を監視している。
男は暫く待っていたが、微動だにしない小便器に向かって言った。
「なんだ。サービスの悪いヤツだな!」
「仕方がない、自分でするか」
恵子は、きょとんとして目線を男から外して、下に降ろした。そして、片手で
器用にズボンの中から取り出す行為を、不思議な物のように見ていた。
そして、ペニスを取り出すのも、小便器の仕事の一つと気が付いて、手遅れになった
事を反省していた。間近で見たことのないだけに、好奇心が出てきて顔を乗り出す
ようにして、ペニスの先端を凝視した。ズボンの中から飛び出すと、いきなり顔に
向かってビシャッーっと飛んできた。驚いて顔をすくめると、飛び先を器用に調整を
して、右、左と乳首の狙い撃ちを浴びた。その熱い攻撃は、お漏らしの熱さに共通の
快感を身体に呼び起こした。熱いしぶきは、乳首を飛び出させ、焼け付くような
刺激と飛び出た乳首を押し込むほどの勢いで、延々と続いた。
男の放水を受けて身体の芯に火を付けられた恵子は、バシャバシャと音を立てて
受け止めた男の尿が下半身まで伝わることで、股間に感じるぬめりを意識していた。
「調子はどうだ?」
恵子に放尿中の連れがやってきた。若い男は楽しそうに、連れの男に近寄ってきて、
ひそひそと話し始めた。
『小便器を無視して、小便中に話し合うなんて、随分失礼な人達だ事』
内心ではむっとしながら恵子は聞き耳を立てていた。その間も、恵子に対する
放水は続いていたが、話に夢中になってからは尿の飛び先など、どこ吹く風の
気まま旅である。
恵子は、ハラハラしながらペニスの向きを見守っていた。
「だめっ!! 暴れないで、そうそう、恵子はここよ。ああん、零れるじゃないの」
などと、胸の内で呟き、危うく手が出そうになる。
話しぶりから連れの男は、妙子の尻で遊んでいたようだった。恵子が見ていた時と、
同じように射撃で妙子の肛門を狙い、玉が命中したときのことを楽しそうに説明を
していた。それは良いのだけれど、どうも目の前の男がペニスに自由を与えすぎて、
暴れまくっていた。
ついに、恵子の不安も限界に近づいていた。
恵子は、耐えきれず、とうとう禁じ手を出してしまった。
動かぬ便器を勤め上げなければならないのに、不安の余り、目の前でふらふらする
ペニスを口に含んでしまったのである。
突然、便器に食いつかれたペニスは、喉の奥深く最後の滴を絞り出した。
何人の男達がやってきたのか、記憶もはっきりとしていない。
身体全体を掃除するようにする人、いきなり股間部分を狙い撃ちする人、無理矢理
口の中に注ぎ込む人、様々な人が訪れてきた。
定期的に便器の清掃を係員がやってきて、臭いや汚れを落としてくれるけれど、
身体から漂う尿臭が染みついて来ている気がした。芳香剤などを便所内に置くことを
嫌う人がいることが、いま、いやと言うほど理解できる。
臭いが混じると、堪らなく不快感につながる。誰もいない時間に、便器仲間と話し合
う時に、良く交わす話題なのです。
恵子自身が放つ異臭も邪魔になることがあるけれど、こればかりは仕方がない。
3.生命力
素足で歩く砂利の上、歩行が辛いはずなのに、何故か足の裏に痛みを感じない。
不思議と言えば不思議なのだが、そのこと自体さほど気にはならず、ふらりふらりと
歩いている。美佐代は一人で彷徨うように、砂利の河原を歩いていた。
ぴしゃーっ!!
突然、背後から来た人にお尻を叩かれ、振り向いた。
『ぐずぐずするな』
吐き付けるように、罵声を浴びせられて走り去っていった。
何も叩くこと無いじゃないの。口には出さないものの、腹立たしく思えたが、
何をするのも億劫で口を開くことも、手を振り上げることもする気が起こらない。
そのくせに、歩む足取りを止めようとはしない。とにかく、進まなければならない。
前方に何があるのか、知りはしない。
その後も、何度かお尻を叩かれた。痛みは感じていた。
美佐代は、後方遠くから呼ばれたように感じて振り向いた。しかし、誰かいる気配は
感じなかった。その耳かしら?と思い、再び歩き始めた。
前方には明るい空が出ていて、陽の光が注ぎ地表を覆うようなお花畑が現れた。
「まあ、綺麗なお花畑・・・・・。」
ここは、賽の河原、極楽浄土への通り道。渡船の通行料は六文銭、一枚だけで
渡れる船着き場です。
まさか、驚きを隠せなさい美佐代だった。
地獄に仏、地獄の沙汰も金次第。次から次へと耳鳴りがして、まだまだ続く
驚愕の言葉。どうしよう、この身に付けているものは、何もなく、見れば薄汚れた
紗一枚。これでは、一文にもならない。
たった一度、肛門の不思議な魅力に気を取られただけなのに、それだけで地獄行きの
片道切符を手にしたと・・・・。美佐代はこの身を罵った。
ミノキチは、『恐怖の館』から連絡を受けて事務所から急いで戻った。
客の一人が、絞首台の上で異変に気づき、通報をした。通報を受けて、係員が
到着をしたときには。既に美佐代の心臓は停止していた。
しかし、係員達は急いでお化け屋敷内の楽屋に美佐代を運んだ。心臓マッサージやら
電気ショックなど楽屋内のものを使って、蘇生に勤めた。
徐々に美佐代の身体には、赤みが増して、非常にか細いながらも心音も感じられる。
直腸内の体温を測定するために、ミノキチが肛門に体温計を差し入れると、
気のせいか美佐代の頬が緩んだ気がした。
数人の係員とミノキチに手当を受けて、美佐代は死んだように横になっている。
美子も側にいた。
「まだ、確率は半々だな」
体温計を抜き取り、片手でちらりと見て呟いた。美佐代の生きる力に頼るしかない、
とも言った。
美佐代の様子を見たミノキチは、係員二人に後のことを指示して、楽屋から
出ていった。係員からの報告では、館内は客に動揺はなく、遊技は続けられている
のでミノキチは安堵していた。
美佐代のことは、不慮の事故であるし、今は、本人次第である。
ミノキチに出来ることはない。何かあれば、美子に任せるしかないと思っていた。
ここが三途の川と知り、美佐代の心は揺れた。
死の淵まで来たときに浮かんだことは、美子に教わった肛門の不思議な悦びであり、
その奥に潜む未知の世界。生あるうちに、この身で知りたい願望が芽生えた。
いいえ、芽生えたことを自覚したのかも知れない。
『戻りたい』
そう思った。しかし、戻る道は記憶をたどっても、ぷつんと途切れている。
背後の河原は、霧に包まれその先は見えない。
ぴしゃー!!
また、お尻を叩かれた。振り返っても、誰もいない。
美子は、美佐代の両脚を持ち上げて、係員に足首を持たせた。生死を彷徨う
相手にする行為としては、非常識にも見えたが、美子のとった行為は、
美佐代を呼び戻すきっかけを与えていた。
赤ん坊がおむつを取り替えるときのように、脚を持ち上げられて汚物で汚れた
お尻を拭き取る姿になった。そして、美子は、何度もその尻を叩いたのである。
肛門に指を入れて、身体で体温を測っていた。
係員が見た美子の指は、変色していたが、美子は気にも止めず続けた。
美子が椅子に腰掛けると、係員の一人が美佐代の胸に耳をあてた。
係員の耳には、か細い美子の身体から聞こえる鼓動を、確実に捉えていた。
蘇生は成功したかに見えている。今のところ、横になっている美佐代の意識は
戻ってはいない。何しろ、常識はずれの救助方法である。
美子の呼び戻す努力の甲斐もなく、美佐代は眠り続けた。自発呼吸もしているし、
心臓の鼓動もしっかりとしていた。本来なら、救急病院にでも運び込むべき所だ
が、黒岩から指示があり園内で処置を続けることになった。
ミノキチが戻ってきて、皆にそう伝えた。幸いなことに、美佐代が一命を取り留
めたことで、美子や係員たちも異存はなかった。
専門医の治療を受ければ、直ぐにでも快復するかも知れないところであるが、
美子たちも美佐代がそれを望んでいないような気がしていた。
美佐代は意識が戻らないまま、園内にある事務所に美佐代を移すことにした。
4.三平の覚悟
美佐代をベッドに移した頃、夜中遊園地では随所で観客たちが騒いでいた。
夜空は陽が差し始め、小鳥たちのさえずりの声が聞こえ始めていたが、閉園間際
まで観客は帰ろうとしなかった。
三平は舞台の裾で美紀の様子を見て、少しずつ美紀の精神が崩れていることに、
気がついていた。そして、舞子の標的となり最後の見せ場で、美紀が崩れる予感が
した。しかし、この舞台を潰すことは出来ない。
美紀は、標的の重みを肛門に感じ、それがナイフの標的である事に、全身が身震い
していた。うつろな瞳ながら舞子の姿は理解している。
瞼の裏に焼き付いた、ナイフの恐怖を乗り越えて、この場をやり遂げようと必死の
思いだった。
舞子は目隠しをして、私の股間に出来た隙間を標的にしている。完全とは言えな
いまでも、舞子が標的を外すとは思えない。しかし、『しかし』と考えてしまう。
外せば、女の突起物を切り落とされるかもしれない。その事を想像すると、恐怖
で失禁してしまいそうだった。失禁して、助かるならその方が良い。
そんな思いも脳裏に浮かぶ。
ふとしたことから、美紀は、この身の秘密を知ってしまった。
それは、ここに来る途中のことだった。三平について行くと、突然、ナイフを出
して突き出された。美紀は冗談だと思い、三平に背を向けて笑いをこらえた。
その時、背後に感じた恐怖感。冷たい刃物のはがねの味を、美紀はお尻の谷間
に受けた。刃先は、徐々に肌を伝わり下に降りていった。
肛門を切り裂くように刃先は伝わり、遂に亀裂に沿って停止した。美紀は、刃物
の刃先を跨ぐようにして立ちすくんだ。
その刹那、股間の亀裂の奥から今までにない快感が、体中を走り回り、気が付く
と失禁と呼ぶには激しすぎる程の尿が、ほとばしっていた。恐怖からの失禁ではない。
驚きは、美紀だけではなかったようだ。金属に対して、これほどまで肌が反応する
ことに、美紀は驚きを隠せなかった。その後は、尿にまみれて淫乱な女の性が
剥き出しになり、三平のペニスを哀願して身体に受けた。
小柄な三平の身体にしがみつき、美紀が狂ったように暴れ、ペニスを身体に受け止
めながら、ナイフを懇願した。三平が、美紀のお尻に薄くうすく刃先を滑らせて、
血が滲んでくると、美紀は果てた。
舞子の一投は、正確に美紀の股間までの高さに合わせ、右足の横をかすった。
続いて、左。舞子の狙いは正確だった。見ていた三平の目が光った。
壇吉の目つきも変化した。舞子の腕が上がる。
「美紀、骨は拾ってやる。やり遂げろ。」
三平は、胸に秘めた思いを込めて、視線を美紀に投げた。美紀は鋭い視線を感じ
て一瞬身を震わせたが、身を静止して舞子のナイフを待った。
美紀は興奮の絶頂のなか、クリトリスとの決別を覚悟をしていた。
そして、全身の沸き立つ血を感じたとき、お尻の傷からは赤い血が滲みだしていた。
5.休憩タイム
便器になって間もなく、排尿の全てを正視することが出来るようになると、
心にも余裕が出てきた。口で受け止めることも、胸や腹に放尿されている間も、
慌てず処理が出来るようになっていた。
若い客が来ると、パンツの中からペニスを取り出すお手伝いをすることで、
乱暴なペニスも優しくしてくれる。臭いのきついお客様の場合は、少々辛いこと
もあるけれど、息を殺して耐えることにした。
排尿の始末方法も覚えた。
身体で受けたオシッコの流れが、おまんこに流れ込むときがある。その時が、
チャンスです。要領は、お風呂で掛かり湯をしながら誤魔化すのと一緒なのです。
お風呂のお湯と違って、色が似たようなものだから殆どバレル事がありません。
客の流れが途切れると、便器仲間ともお喋りをすることが出来る。隣の女の子は、
名前を麻美さんと言い、便所世界を一通り経験しているそうです。麻美さんに、
不思議な壁の穴のことを教えて貰いました。
便器を真面目に務めた人に、ご褒美としてあなぐら生活をさせて貰えるそうです。
俗っぽい表現をすれば、性処理のための道具になるのです。お客様の中には、遊
戯の途中で、勃起した男性自身の始末をすることも、必要な方がいて、おまんこを
提供するのです。顔や身体は、必要ないのであの穴から、お尻だけを露出して
お手伝いをするのです。
便器をしていると、遊戯の休憩タイムを利用して便所に来た人から、あちこちの
遊技場のことが知ることも出来ます。
射的場での痛ましい妙子さんの、身体についた傷跡のことも知りました。
勇ましい美紀さんの態度も教えて貰いました。倫子さんの努力のあとも、朧気な
から想像することが出来たのです。
しかし、美佐代さんのその後だけは、耳にすることがなかった。
6.終焉
舞子は全身の神経を尖らせ、最後の一投を放った。
美紀の表情に恐怖はない。舞子を見つめる瞳は、しっかりと開いて、瞬き一つ
していない。空を舞ったナイフは、一瞬にして美紀の股間の隙間に命中をした。
肛門に玉止めの錘を残し、わずかな糸片を残して標的の玉は床に落下した。
刃は、正確に美紀の花びらの隙間を通過していた。ナイフの刃に付いた鮮血は、
突き出たつばに溜まり、糸を引くように床に流れた。
一人の観客が拍手をした。静まり返った小屋に響く一つの喝采が、呼び水となり
客席が沸いた。自ら目隠しを外した舞子は、客席に向かって深々と頭を下げ喝采に
応えた。沸き立つ舞台の裾から、静かに三平は、姿を現し美紀に近づいた。
陰核を裂かれ花びらで刃を受け止めた事で、美紀は再び陶酔状態で意識が
飛んでいた。はがねの味に身を委ねた美紀の瞳は、目の前の三平を認識できず、
虚空を見つめていた。
無言で、傷ついた美紀を的から外して、背にのせた。小柄な三平が、美紀を背負う
姿は観客の目には滑稽に見えた。朦朧とした意識のながら、美紀は三平の首に抱き
つき身を任せていた。美紀には、観客の喝采は聞こえていない。
舞台から下がるときに、美紀を背負う姿に観客から失笑の声や、嘲笑も出たが
美紀はしがみついた手に力を込めた。
その頃、射的場では最後のゲームが終わりの時を迎えていた。
丸太の踏み台を抱いた妙子がいた。
お尻には無数の弾痕が赤い痣をつくっていた。的を外した後は、肛門の周囲にも
赤と青の弾後の数を、おまんこには妙子の持ち物の色はなかった。
無造作に投げ捨てられた、射撃用の銃、ボウガンなどの武器が散在している。
清掃係が片づけをしている間も、妙子は放置されたままだった。
「おい、美子さんは遅いな」
「そうだな、いつもは時間前に来て、待機してるんだが・・・」
清掃係の二人は、道具を手にして、的を見ながら困惑していた。
「何時までも、ここに置いておくこともできないし、道具置き場にでも移動され
せるか。」
「そうだな、道具も片づいたし、そうするか」
美子が来ない理由を知らない清掃係は、傷だらけの妙子を抱えるようにして、
道具置き場の傍らに妙子を寝かせた。
普段は、美子が連れて行くので遊戯中の的掃除はするが、最後の清めはしたこと
がなかった。
乳房や腹に受けた傷はさほどでもなかったので、妙子はほっとしていた。
しかし、臀部の痛みと肛門、陰部の痛みは尋常ではなかった。特に、肛門から
襲ってくる痛みに耐えきれず、清掃係にかつがれている間も、涙が止まらず俯せ
で泣き続けていた。
二人の清掃係は、妙子の傷跡を見て、迷いを感じたが、次の清掃が待っている
ので、一言声を掛けた。
「途中で、美子さんに知らせてやるから」
そう言い残し、道具置き場の扉を閉めた。
「次は、どこだった?」
「ああ、便所掃除だ」
「蚤掃除は、いいのか?」
「おお、あそこは太一さんがやってくれると言っていた」
「ふーん、今夜に限って、何かあったんだろうか?」
「詮索は、禁物だ」
口に指をあてて、口を閉じた。
射的場の外に出ると、夜空は既になく朝日が射し込み始めていた。人影も消えた
園内を清掃係の二人は、無言で歩き始めた。
7.旅立ち
恵子は、小便器を務めただけで、遊技場に出ていないことに、物足りなさを感じて
いた。しかし、ここ夜中遊園地は閉園時刻となり、清掃係の臭い落としを受けて、
事務所に向かっていた。
事務所のドアには鍵が掛かっていなかった。無人であることに一末の不安を感じ
ながらも、二階の更衣室まで上がっていった。
更衣室にも美子の姿はなかった。待ち受けていたものは、テーブルに置かれた
一通の美子からのメッセージだった。
恵子さんへ
ここで貴女を迎える予定でした。詳しくは説明できないけれど、
手が離せない用事が出来てしまいました。
貴女のためにと用意をした着替えを、脱衣籠の中に入れてあります。
お気に召すかどうかご覧下さい。
そして、温かい飲み物も支度しておいたので、ごゆっくりと
休んでから帰宅して下さい。
美子より
恵子は裸のままで、美子からのメモを手に取った。そして、読み終えると
テーブルの側に置いてある籠に目を移した。何故か、悲しかった。
籠の中にあったもの、それは布製のおむつと可愛いおむつカバーだった。
籠の前にひざまずき、そっと手を伸ばした。
紙おむつにはない、柔らかい肌触りが手に伝わってくると、一枚のおむつを思わ
ず頬にあてて、目を閉じた。おむつの感触に包まれると、今までのことを
忘れて無性に美子に会いたくなった。
ここに来てから感じていたこと、それは遊園地でのことが、おむつ離れの
きっかけになるような気がしていた。その決心が曖昧なときに、目の前に
突きつけられたおむつ。なんて意地悪なの。
美子がいない更衣室におむつが用意されていたことに、腹立たしく思い、
それなのに恵子の心に迷いが生じた。
手にしていたおむつを籠に戻した。そして、立ち上がり周囲を注意深く観察を
した。やはり、誰もいない。
「一度だけ、一度だけ・・・・・」
言い聞かせるように呟いた。
床に広げたおむつカバーとおむつ、その上に股を広げてお尻をそっと乗せてみる。
夢に見た布製のおむつに股間を包み込んだ。おむつの上から、そっと手を当ててみた。
お洗濯をしたての柔らかい感触が、大人の印がある事も忘れて、幼児の様に
両脚を持ち上げて戯れてみた。おむつカバーを閉じて、起きあがると胸の膨らみが
妙に恥ずかしく両手で抱いた。
「いけない。これ以上は、いけないわ」
恵子は、切なさで溢れる涙を頬をぬらした。目の前の誘惑に勝てず、身につけた
おむつを外すことが出来ないまま、きがえを済ませて更衣室を飛び出した。
夜はすっかり明けていた。
事務所から見た園内は、開園時間前でひっそりとしていた。夜中遊園地の誰とも
顔をあわすことがなく、同窓生達の姿も見えなかった。
「今夜のことは、夢の中・・・・・」
振り返らない。心残りを、胸の内に納めた。そして、遊園地のゲートを目指して
歩き出した。
8.誘惑
夜中遊園地から戻り、数日間はあの夜のことが忘れられず、悶々とした日々を
過ごしていたが、変化の少ない日が繰り返して行くに従って、少しずつ
落ち着きも取り戻していた。
その日、恵子は、勤め先から帰宅してパソコンの電源を入れた。パソコンが、
カチャカチャと音を立てて、勝手に動き出していた。その間の時間を利用して、
普段着に着替えをすました。電子メールの使い方を覚えたものの、滅多に
メールは来ない。それでも、帰宅すると真っ先にパソコンの電源を入れている。
期待もせず、画面を見ると、他愛のない何通かのメールに紛れて、「ご案内」と
題するメールが夜中遊園地の差出人で受信していた。
めーるを開こうとした手が、一瞬、止まった。薄れ掛けていた記憶が、鮮明に
恵子の目の前に浮かび上がった。
美子との出会いが、恵子の心に波紋を投げつけた。
何食わぬ顔で人と接している時も、おむつを付けているのだから、『変態』と
呼ばれても、返す言葉は無いのです。
成人になり、排尿も人並みに出来るくせに、おむつをして生活しているのだから。
秘密にしている間は、わくわくしながら楽しんでいる。慣れてくると、始末が悪い。
『見つかりたい』などと、とんでも無いことを考えるようになる。
かといって、認めて欲しい訳じゃない。からかわれて、罵声を浴び頭から血が引
くような辱めを受けることを、心密かに望んでいる。正常人には理解しがたい
感情なのだから、始末に悪い。
あの日の、恵子がそうだった。
朝の通勤電車のなか、漏れ始めた尿は次第に量を増し、おむつに包まれた股間を
温めていた。尿の臭いに馴染んだ恵子の臭覚には、嫌悪感はなく、むしろ安らぎ
を感じていた。と、同時に周囲の目線に恐怖も感じていた。
「今日も、誘惑に負けてしまった・・・」
冷えてくる股間を感じながら、胸の内には呟き声が出ていた。背後に美子が
いることは、その時の恵子には知る由もない。
乗換駅に到着して、ホームに出たとき美子に呼び止められた。
「スカートの後ろが、汚れているわよ。きっと、電車の中で悪戯されたのね。
かわいそうに・・・・。一緒にいらっしゃい」
恵子の返事も待たずに、腕を引っ張られるようにして連れて行かれた。
駅の外には、平太の運転するワゴンが停車してあった。
「美子さん、その子は?」
運転席から顔を出して、美子に聞いた。駅まで、美子を迎えに来た様子だった。
恵子は、スカートの汚れも確認するまもなく、美子に急かされて車に乗り込んだ。
濡らしたおむつが、恵子の対応を鈍られていた。それが、恥を晒す事になるのが
ここへ来て、初めて気が付いた。
パソコンの画面を見ながら、あの日のことを思い出していた。
ここまで来れば、メールを見るくらい、大したことではない。またしても、誘惑に
勝てず、受信したメールの中から選んで中を見た。
目に飛び込んできた文面を、興味深く読み終えた。
次回の夜中遊園地の開催は未定ですが、と始まり回転木馬仲間の連絡先が書かれて
いた。それぞれの人からの同意も添えてあった。
どうやら、私が最後の様で、「恵子さんが望むならご連絡を」と締めくくられていた。
恵子は、便器仲間のことも気になったが、やはり、お尻を並べた仲間に逢いたくなった。
9.倫子の変化
話が前後することになりますが、ノミの駒になった倫子のことに触れるには、
夜中遊園地のことに戻る必要があります。
倫子は、初戦でノミのペニス運びに挑戦をして、大敗をして引き上げた。
舞台裏で、散々、太一に馬鹿にされることになる。
「どうして私が、人前で破廉恥な事をしなきゃならないの?」
気位の高い倫子は、いたたまれず太一に顔を背けて、悔し涙を流していた。
倫子の本心を見抜いてか、太一は声を出して笑い出した。笑いながら、倫子の背中に
に近づき、「好きなくせに、無理するな!!」と、小声で囁いた。
図星を指された倫子は、言葉を失い、急に態度を変えて太一に従った。
その後、太一に蚤の動きの特訓を受けて、蚤のペニス運びに再挑戦、糞転がしな
どの駒に挑戦を続けた。
奇妙なノミはひっくり返ると、起きあがることに苦労することも身体で知った。
こうして、周囲の笑いも、無様な姿も忘れたように、ゲームの駒に成りきってい
った。
次第に、不思議な事に倫子は気が付いた。
人に馬鹿にされた扱いを受けることが嫌で、あれほど自分押し殺して振る舞って
いたことが、今は、馬鹿馬鹿しく思えた。
それどころか、身体が反応して、股間が洪水状態になっていた。薄々は感じていたが、
倫子の奥深く潜めていた淫乱な心までが、呪縛から解き放たれて、自由に、
はしゃぎ廻っていた。
思いがけず不思議な体験をして、夜中遊園地から戻った。
倫子は翌日から人が違ったように、明るく周囲の人を驚かせた。
とは言え、日常生活の中で、破廉恥な姿や淫乱さをむきだす程の勇気はない。
時には、自身の体を持て余していた。一人暮らしの倫子は、寂しくなるとノミに
なって、誤魔化す日々が続いていた。
そんなある日のこと、差出人「夜中遊園地」とした一通のメールを受け取った。
『倫子さんへ
夜中遊園地は如何でしたか?
楽しんでいただけたのなら、良かったのですが・・・・。こちらの不手際が
あり、不愉快な思いも有ったかと思いますが、ご容赦下さい。
次回の予定は、決まっていません。決まり次第ご連絡を差し上げることにします。
来る来ないは、貴女様の意志で決めて頂く事になり間が、宜しくお願いします。
さて、本日は”あの夜”の同級生とも呼べる五名の方に、ご案内を差し上げて
おります。
次回までの間、同窓会でも開催されて交友を深められてはと、僭越ながら、
私どもが初回の連絡係を務めることとしました。
貴女様のご了解が得られれば、ご返事を同窓生の方に回送を致します。
既に、快諾頂いた方のご返事を添付しますので、ご確認の程宜しく。
では、楽しく同窓会が開催されることをお祈りしております。
夜中遊園地一同より』
倫子は、読み終えると直ぐに、OKの返事をしたためた。
10.美佐代の運命
六文銭など、持っているはずがなく、そもそも、そんなものはこの世には既に
無いのだから。渡し船の順番を待つため、列に並んでいた美佐代は冷静さを取り戻した。
「なーんだ、これは夢なんだ」
夢を見ていて夢に気づく、よくあることだ。
軽く現実を見ていたが、気づいた美佐代は、同時に困惑をした。
「夢なのに、ゆめなのに・・・・・、どうすればいいの?」
「早く何とかしないと、夢の中で死んじゃう。」
なぜ、賽の河原にいるのか、それを考えた。考えても考えても、何も思い出せない。
焦る気持ちが深まる。
「さあさあ、前が開いているよ。ぐずぐずしていると、浮遊霊になってしまうよ」
そう言って、後ろのお婆さんに声を掛けられた。縁起の悪いことを言うお婆さんだと、
また、今はそれどころじゃないんだから。倫子はぶつぶつと言う。
ぴしゃー。お尻を引っ叩かれる。次に、お尻の穴に指を突っ込まれる。
「や、やめてください。お婆さん」
「おかしなことを言う子だこと。わたしャ、なーんもしとらんよ」
振り向く余裕もなく、悩ましい声を出す美佐代。続けられる指の動きに、お尻を振る。
お婆さんは、余程下界に未練を残しているのだと、哀れむような目つきで前にいる
美佐代を不憫に思った。思ったが、どうしようもない。
黒岩が部屋に戻ってきた。黒岩が見た光景は、まるで、死者を鞭打つ美子の遊びに
映った。思わず黒岩が口にした言葉に、さすがの美子も癇に障ったようだ。
「あ、遊んでるじゃナイワヨ!!」
「あっははっ、まあ、そうカリカリするな。意識がなくても、悦んでいるようだ」
美子には、美佐代の変化には気がついていなかった。
ところで、と黒岩が言い出したのは、時間がないので美佐代を移動させると言うのだ。
どこで手配したのか、寝台車を事務所の裏に廻してあった。
この辺は妄想の楽なところです。成り行きで何でも手に入るのです。(作者より)
死の淵をさ迷う美佐代の気も知らず、黒岩たちは、わいわいがやがやと美佐代を
寝台車に乗せて夜中遊園地を、走り去った。
移動中も、美佐代の「賽の河原、救出作戦」は、休むことなく続けられた。
最初は、電気ショックならず肛門ショックである。どうやら、黒岩が見たという
反応を信じて肛門の集中治療である。細身のバイブを差し込んで、刺激を与え
続けた。直腸の肉襞を通じて陰部内を攻撃だ。まるで、意識が戻っているのかと、
錯覚するほど美佐代の体は反応した。深層心理に淫乱心を埋め込むように、
延々と責めは続けられた。寝台車は、遊園地を出で郊外にあるマンションの前に
静かに停車した。
美子のマンションに美佐代を運び込んで、後のことは美子に任せて、黒岩たちは、
慌しくどこへともなく姿を消した。
仕事をもつ美子も、一日中眠りつづける美佐代の面倒を見るのは、さすがに無理である。
さりとて、誰にでも頼めることでも無いので、思案の末、思いついたことはこうである。
実は、隣にすむマゾの男の子がいる。美子は、以前から恵太が美子に気があることを
知っていた。恵太を使うことにした。
美佐代を妹に仕立てて、昼間は恵太に面倒を見させることにしたのである。
偶然とはいえ、恵太の背格好は美佐代と似ていた。そこで、美佐代の服を着せて恵太を
女性にした。恵太へのご褒美である。
美佐代の年齢は聞いていないが、恵太の方が年下に見えたのでついでなので、恵太を
美佐代の妹にした。
恵太の名前は、圭子である。恵子では紛らわしてから、語路合せでそうした。
美子は、今年で32歳になるが、マンションでは29歳と誤魔化していた。
美子の推測では、美佐代は26、圭子は24歳である。これで、奇妙な3姉妹の
誕生である。
ベッドに寝ている美佐代の傍らで、美子が圭子に言い聞かしていた。
「今日から、あなたは圭子なのよ。わかったわね」
女の子になった恵太は、もじもじしながら頷いた。美子は、男嫌いではないが、
かといって、こうなるとは予想もしていなかったので途惑いながらの、俄か主人である。
ピンクのワンピースを着せた圭子は、ショートカットが似合う女の子に見えた。
圭子の仕事は、姉の栄養補給である。自発呼吸をしているとはいえ、食事のできない
美佐代に食事を与える必要がある。口から与えることはできない。すると、当然、
方法はひとつである。それは、ブドウ糖を肛門から注入するのである。
点滴でも良いのだが、それでは病人になってしまう。
後は、尿の始末くらいで事足りる。簡単な仕事なのである。恵太を女の子にしたのは、
美佐代が意識を取り戻したときのことを考えて、美子の思いやりだった。
「じゃあ圭子、姉さんはお仕事に行ってくるから、頼んだわよ」
完全になりきっている美子だった。
11.見えない境界線
恵子からめーるを受け取った妙子は、返事の中で告白していた。
夜中遊園地で受けた刺激が元で、妙子はある境界線を失っていた。誰かに話を聞いて
欲しかったが、身近に言える相手がいなくて悩んでいた。
一人で静かな道具置き場で涙を流して、妙子は寝ていた。標的となった局部には無数の
痣が残り、肛門と膣には幾つもの玉を打ち込まれた。自力では取り除くことが出来ず、
痺れながらも異物の重みを感じている。
涙の原因は、痛みだけでは無かったのである。標的になって、臀部を打たれ乳房も痣
だらけにされたが、痛みが一点に集中してくると、強烈な痛みの中から不思議な興奮が
身体の中に湧き出てくる。内臓の細胞がプチプチと裂けて、肌に染み出てくる。
全身が痺れて痛みが消えて行く。
驚きが、恐怖とともにずんずんと大きくなり、意識が白くなり無になりかけた時、肛門に
入り込んだ玉の痛みで目を剥いた。正確には記憶していないが、意識が戻ったときには、
確信に近い形で、意識の底部に埋め込まれていたのです。
有無を言わせず信じることになったのが、道具置き場に放置されていた間の事だった。
それ以来、身体を傷つけることに、異様な興奮を覚え始めた。見守る相手がいなければ、
危険な領域までも踏み込んでしまう。
妙子の思い過ごしか、事実なのか、この頃は確信が持てなくなってきている。
妙子は、メールを出し終えて、通信を切った。
周囲からは、「大人しい」とか「物静かな」などと見られているのは、無口な性格が影響
している。職場での妙子は進んで人と話をしようともしないし、人付き合いも余りない。
と言っても、決して根暗な女の子ではない。
子供の頃は活発な子だったし、冗談も通じる愛嬌の良い子供だった。
小学校から中学校、そして高校生になり、子供から大人になるに従い、徐々に元来の
明るさを無くしていった。その代償に覚えた自慰は、エスカレートする一方だった。
しかし、「夜中遊園地」で覚えたような味を、自力で与えることはなく、常に踏み
とどまる一線を引いていた。
その一線が一挙に崩壊してしまい、跡形も無くなった今、元の位置が見つけられなく
なっている。通信の切れたパソコンの前で、物思いに耽ってると、手は股の間に
延びて行き、指先は陰核を捉えた。ソフトタッチで、十分に潤いを与えることが出来る。
ノーマルな自慰だった。しかし、狂うような味わいが、訪れる事は決してない。
ひとしきり自慰に耽り、気が付くと、随分乱れた姿で横になっていた。素面に戻れば、
恥ずかしさもひとしおだった。
照れ笑いをして誤魔化して、夕食の支度に掛かった。時刻は既に、10時も過ぎて
いたので、夜食兼用の夕食になりそうである。
ぽっちゃりタイプの妙子としては、10時を過ぎれば何も口にしない。誓いを立
てることは、何度もしていた。誓いは破るためにある、などと嘯いては成功しな
い。要は、いい加減なのである。
妙子もしかり、みんな明るくて楽しい人ばかりなのに、一歩外に出れば仮面を付
けて自分を隠している。淫乱な部分にこそ差はあるが。
妙子の悩みは、おまんこのぬめりが多いことなのだ。人と較べるわけにも行かな
いので、失恋するまで知らずにいた。ノーマルなつき合いだったが、人並みに恋
愛をして、一つの床を共にした。
この話は、退屈なので、適当にはしょります。要は、妙子の道具が濡れすぎて
セックスがつまらないなどと、男が妙子に不満をぶつけて、お終いになったとい
う、お定まりのお話です。
さて、妙子にすれば、それはそれで悩み事なのだが、それ以上に真剣な悩み事を
背負い込んでしまった。
つまり、痛みに敏感に反応して、見境が無くなってしまう。潜在意識が目覚めた
のかも知れない。
12.美紀の傷
びくんと体が弾けて、朝早く美紀は目が覚めた。
休日の朝にしては、目覚めが早い。ネグリジェ姿の美紀は、ベットから抜け出して
窓から外の空気を呼び込んだ。早朝の爽やかな空気は、美紀の火照りを消し去り
夢から引き戻した。
今日は、一昨日の夜、受け取ったメールに書かれていた約束の日だった。
高層マンションの一室で覗かれる不安のない窓を、大きく開け放ち、休日の朝を
迎えている。晴れた気持ちの良い朝だった。ネグリジェの胸のボタンを一つずつ
外してゆき肩から滑り落ちるように、ネグリジェが床に落ちると、全裸の美紀が
現れた。胸一杯に新鮮な空気を吸い込むと、背を向けてバスルームに足を運んだ。
白い肌が美しく全裸の後ろ姿は、自慢するだけの身体だった。しかし、臀部に
刻まれた幾筋かの切り傷が異様に見えた。その傷を美紀は誇らしく、見せつける
かのように、揺さぶりながら歩いている。
扉を開くと、バスルームは冷え切っていたが、直ぐにシャワーを全開で出した。
暫くすると湯気が充満して、美紀の身体を包んだ。
汗も出していないが、体臭を流したくて全身にシャワーの湯をかけた。
シャワーを股間に向けると、「うっ・・・」と声を出して身体を屈めた。
股間にあてられたシャワーの一筋が、美紀の突起物に命中をして、刺激を与えた。
美紀はシャワーを持つ手を固定して、突起物をねらい打ちにして、刺激を楽しみ、
その場にしゃがみこんだ。
美紀の股間は、クリトリスの表皮を三平に切り取られて、陰核が剥き出しになり、
裂かれた傷が残っていた。
敏感な突起物に、直接シャワーの攻撃を受けたのだから、堪らない。
朝早くから身体に火を付けて、辛い一日を今日も過ごすのかと、シャワーで弄ぶ
事に罪悪感を感じた。一瞬、脳裏をかすめたが攻撃の手は、止まりはしなかった。
バスルームでの悪戯も終わり、すっきりした顔で外出の支度にかかった。
下着を入れているタンスの引き出しを開けて、お気に入りの一枚を身につけた。
ショーツには改造を施して、剥き身の陰核を摩擦の刺激から守るために、特殊な
キャップを縫いつけてある。見かけを気にするよりも、実質を採用したものだっ
た。ストッキングをガーターで吊り、外出準備を整えていった。
13.生け贄
恵子、妙子、美紀、倫子、四人の女性は、それぞれに思いを胸に抱いて家を出た。
全員が、数日前に美子から同窓会の案内を受けて、この日が来るのを楽しみにし
ていた。四人とも、美佐代のことは誰一人として聞かされていないし、当然、
美佐代も同じく集まってくると信じていた。
その頃、美子のマンションでは圭子が生け贄にされるべく、時を過ごしていた。
「お姉さま、お食事の時間ですよ」
圭子もすっかり美佐代の世話に慣れてきたようである。寝ている美佐代に声を掛
け、足元にまわった。優しく布団を剥いで姉の世話を始めた。眠り続ける姉を
まるでお人形遊びでもするように、露わになったネグリジェをたぐり寄せる。
今日の圭子は、白いブラウスにピンクのミニ、レースを胸にあしらったエプロン
姿、当然、美子が着せたものだった。圭子も部屋の中にいるだけなので、女の子
をしている。美子が処女趣味だったことは、意外な気がした。
姉の美佐代の食事の度に、圭子は男の部分を抑えられなくなってきていた。
初めての頃は、女の子になった恥ずかしさで余裕もなく、美子の指示を守る
ことが精一杯だった。日に日に余裕が出てきて、数日後には姉がこのまま
眠り続ければなどと、不埒な事を考えていた。
ネグリジェを腰まで捲り上げると、姉の股間に顔を埋めて食事前の清掃を
始めた。舌で一通り舐め終わると、食事入りの注射器の先端を肛門に入れた。
美子にきつく注意されていたが、圭子のスカートは膨らみを見せていた。
美子の忠実な妹が、姉の股間に刺激を受けて、禁断の実を食べたくてショーツの
中で暴れ始めていた。
圭子としての経験が浅く、食事の度に圭子の股間は、ショーツとパンストに虐待
され続けていた。スカートの膨らみを美子に悟られまいと、懸命に努力をするが
空しく膨張した。
こういうときに限って、美子がタイミング良く現れるのが悔しい。
玄関のドアが開いて、誰かが入ってくる気配がした。
「ほーら、案の定、お姉さまのご帰宅のご様子だわ」
圭子は舌打ちをした。このまま、お出迎えすれば見つかるに違いないので、この
場で誤魔化すことにした。
「あら、美佐代の食事タイムだったの?」
「は、はい・・・・・。手が離せず、お許し下さいませ」
空になった注射器を肛門に差し込んだまま、頬を赤らめて圭子は言った。
「いいのよ。でも、余り長く空のままでは、可哀想よ!」
圭子の様子など全てお見通しの美子である。
「圭子。こちらへおいで」
やや俯き加減で、圭子は指示に従った。
いきなりスカートの上から圭子の股間に手を当てて、「なんなの?これは。」と
圭子の失態を叱責した。
圭子は誤魔化すどころか指摘を刺激されて、このままでは、大切な下着も
スカートも汚してしまいそうだった。美子は、更に圭子を追い込むかのように、
スカートにあてた手に力を込めて、我慢をするように言い付けた。
「今日は、大切な同窓会の日なのよ。こんなだらしのない妹を持って、恥ずかし
いわ!」
「美佐代だって、きっと、悲しい思いをして涙してるかもね」
独り言を言っているように言い、圭子の膨らみを弄んだ。圭子は、憧れの美子の
手の下で刺激に耐えているが、一度始まった膨張も限界に来ていた。
美子の手が圭子の失態を感じていた。そして、圭子の身体から放つ匂いを感じる
と、泣き出しそうな圭子に向かって、言った。
「ミスは、償いをしないといけませんね。分かっているわね、圭子。」
美子の手は、スカートの上から中へ移っていた。そして、さんざん汚した股間に
あてがい圭子のものを下から支えていた。
圭子は何も言えず、冷たい美子の手のひらを感じながら、ただ頷くだけだった。
その後、圭子の汚れを落として、着せ替え人形で遊ぶように圭子を変身させると、
圭子を連れてマンションを出た。
14.再開
三平がステアリングを握るワゴンは、後部座席に二人の姉妹を積んでいた。
美子と圭子だった。
「この子か?」
「ええ、そうよ。可愛い妹なの、よろしくね」
美子に紹介されながらも、恥ずかしくて声が出ないでいる。
「まったく・・・・、照れ屋も程々にしないと、失礼よ」
真っ赤なルージュの唇から、聞き取りにくい声でぼそぼそと圭子が何やら言った
が、三平は気にせず、美子に向かって、行き先の確認をした。
軽く頷いた美子は、圭子の膝を叩いて最初の役目を念押しした。
圭子は、役目の内容より恥ずかしさで、胸の鼓動が止まりそうな気持ちだった。
なにしろ、着ているものが全て女性用で人前に出て行く必要があり、四人の女性
を無事に、この車まで案内しなくしてならない。美子のマンションで、圭子とし
て過ごしていたときとは訳が違う。
圭子の迷いなどとは、お構いなしにワゴンは二人を目的地に運んだ。
待ち合わせの場所には、既に四人とも集まり他愛のない会話を楽しんでいた。
美佐代が来ないことが、唯一残念そうにしていたが、約束の時刻がまだなので、
さほど心配はしていなかった。
どこで見つけてきたのか、美子の用意したハイヒールを履いた圭子が、カツカツ
とヒールの音を立てて四人が集まっている所へ近づいてきた。
ちょいとお目にかかることがない、アニメの中から飛び出しような少女趣味の
洋服を着た女の子が近づいてきた。
「あ、あのー・・・・・」
圭子は目の前の妙子に、話しかけた。
倫子が、くすくすと含み笑いをすると、「失礼よ」と美紀が窘める。すると、
顔を真っ赤にして、圭子は美子の妹ですと自己紹介をした。
すると、全員が目を丸くして、圭子を注視した。四人の視線をまともに受けて、
圭子は恥ずかしさで身が縮む思いだった。しかし、恥ずかしがっていては、
美子の指示を全うできないし、一時も早く車に戻りたくて勇気を振り絞り
言葉を発した。
「遠路お疲れさまでした。姉の美子から会場までお送りするようにと、
言い使っていますので、ご案内します。詳しいお話は、お車のなかで・・・」
「こちらでございます」
一気に案内を喋ると、指をさしてワゴンの止まっている方を示した。
マニキュアの色が太い指の先で、震えていた。
圭子に従い、四人の女は何やら訝しげに後ろ姿を見ながら歩き出した。
ワゴンの運転席に目を移すと、そこには懐かしい三平の顔があった。圭子は、
隠れるようにワゴンの中に一足先に乗り込んだ。なかで、美子が圭子を迎えて
横に座らせ、木馬の四人を後部シートに招き入れた。
何やら聞きたそうな四人の口を制し、三平に発車を頼んだ。左手を軽く挙げ、
了解を示した三平は、フットブレーキを外して静かにワゴンを発進させた。
木馬の乙女と姉妹を乗せたワゴンは、異様な静けさを快調なエンジン音に乗せ、
美佐代の待つマンションの前に移動させた。
美子のマンションに入ると直ぐに、美佐代への疑問は解けた。
四人が通された一室に、美佐代は寝ていた。ベッドに寝ている美佐代を見ると、
恵子たちは、新たな疑問が出て戸惑いを隠せなかった。
誰もが知りたくて言い出せず、美佐代の前で呆然としていたが、恵子が口火を
切って美子に尋ねた。
「これは・・・・、どうして、美佐代がここに?」
「それより、いつまでも立っていないで、おかけになって」
これで同窓生が全員揃ったわけになると美子は言いだし、恵子たちが座るのを
きっかけに少しずつ、これまでの経緯を説明しだした。
圭子は、美佐代の食事の用意をするために、一言断りをして、席を外した。
圭子が姿を消すと、美子はみんなに相談があると、小声で話を持ちかけた。
妙子は、「そんなにうまくいくかしら」と、いぶかり、倫子は木馬仲間のためなら
何でもするという。恵子も美紀も同じだった。
美佐代を浮遊霊にしないためには、何としてもこの世に引きも戻さなければならない。
美子の案は、美佐代の前でみんなに協力して貰って、賑やかに騒ぎ美佐代の未練を
利用して意識を回復させようと企んでいた。それを聞いて、倫子は提案をした。
「いっそ、誰かに美佐代の所へ行って連れ戻して貰ったら。」
「えっ!! なんて、大胆なことをかんがえるの。」
「一体、誰が行くのよ。」
倫子の案に対して、美紀と恵子は驚きの態度をとった。
ところが、妙子だけは、直ぐに『すごーい!!』と思わず口に出てしまった。
恵子も、内心名案だと思ったが、下手な相づちをして、指名されるのも辛いので
様子を見ることにした。ずるがしこいヤツめ。
妙な沈黙が出来た。
沈黙を破るように、圭子が戻ってくると、美子は「結論を急ぐことはないわ」と
その場の雰囲気を変えた。誰もが肩から力を抜いた。
「圭子。お姉さんにお食事を。」
「はい」
隣室で、盗み聞きをしていた圭子は不安を隠せず、落ち着きを欠いたようで、
姉の美佐代に食事を与える支度をした。
今日は特別の日なので、姉の身体をひっくり返して下腹部に台をあてがった。
その様子は、まるで、可愛い洋服を着た悪魔のように振る舞い、病人を弄ぶかに
見えたことでしょう。なにしろ、眠り続ける姉の割れ目を舌で拭った後、肛門を
丁寧に舐め始めたのだから。お尻の谷間に顔を差し込み、四つん這いになった
圭子の姿は、後ろから見ればミニスカートのなかを、丸見えにしていた。
妙子の視線を背後に感じながら、圭子は美子に教えられたとおりに動いている。
圭子の行動を見ていた四人は、唖然として見ていて浣腸器が肛門に刺さると、
美佐代の食事が注入され終わるまで、声にならず見とれていた。
圭子は誇らしげに、浣腸器を抜き取り肛門から漏れないように、指で押さえた。
再び圭子のスカートの中は危険な状態になっていたのは、言うまでもない。
15.儀式
妙子は先ほど見た圭子の股間を思い出していた。
女の子だと信じて疑わなかったのに、圭子の股間に見たものは、明らかに
男のものだった。ショーツの中に埋もれてパンストで覆われていたけれど、
見間違えるはずは無い。気づいたのは、私だけだろうか?とハラハラしていた。
妙子は、それを思うと自らの割れ目に疼きを感じていた。好きなのである。
「そろそろ、はじめましょうか?」
美子が四人にそういうと、圭子を呼びつけた。
「圭子。私の言いつけを覚えているわね」
「はい」
何が始まるのか妙子は、ドキドキしていた。
呼ばれたときから、圭子は観念していたのである。毎日世話をしている間に、姉
に対する思いが募り、美子に対するものとは別の感情が芽生えていた。
だから、姉を連れ戻すと耳にしてから、興味津々だったのである。
スカートの膨らみを隠そうともせず、美子の前に立った。妙子だけでなく、恵子
もそれが何か、悟った。恵子には、圭子とスカートの膨らみとどちらが本物なのか
分からず、圭子を見つめていた。
圭子を目の前にして話しているが、妙子を始め誰もが、実を引き締めて聞いていた。
「今日まで、美佐代姉さんを助けるために、手を尽くして来ました。
でも、意識は戻って来ない。そこで、圭子に連れ戻しに行く役目を
お願いするつもりです。
行くのは圭子だけれど、ここにいる全員が気持ちを同じくしています。」
一息入れると、皆が頷いた。それを見た美子は、黙って圭子のスカートの中に手をさし
のべて、優しく包んだ。
「良いこと。必ず、戻ってくるのよ」
圭子は軽く頷いて、スカートの上から美子の手を抑えた。連れ戻すための方法は、聞い
ていない圭子だったが、美子の態度から何かを感じている様子だった。
「ねえ、楽しくしないと美佐代が迷っちゃうよ」
倫子が言った。
「そうね」
声をそろえてみんなが言う。倫子の一言でその場の雰囲気が変わり、圭子の旅立ち
の準備が始まった。圭子の衣装は、今日の服のままで出発させることにした。
真っ先に倫子が裸になると、美紀も、妙子も、そして、恵子も続いて裸になった。
四人で美佐代をベットからおろして、部屋の中央まで運んだ。
圭子が迷わずに探し出せるように、圭子と一つにすることにした。圭子がきょとん
としていると、妙子は「よろしくね」と言って、圭子を仰向けに寝かせて、
下着を外しにかかった。どうしても、スカートの中を確認したいようだ。
大人しくされるままに横になった圭子は、スカートの乱れも気にせずに、妙子に身を
任せていた。焦る気持ちで、妙子は手が震えながらも、一気に圭子の下着を取り去った。
女の子の姿をした圭子は、横になり、その股間に覆い被さるようにして、妙子は
四つん這いになった。
目の前の餌に耐えきれず、圭子の勃起したペニスに手を添えて、妙子は口に含んだ。
喉頭奥深くまで飲み込んだまま、妙子は唇を閉じて圭子の陰毛に顔を押しつけた。
恵子は妙子の狂いぶりに、やや、圧倒されていた。何故か、羨ましく感じた。
妙子が痴態を演じている間に、美佐代は3人に抱きかかえられて、圭子の足元に
運ばれてきた。3人掛かりとは言え、意識のない身体は扱いにくく、恵子の足取りは
ふらふらとしていた。そっと、床に寝かすと「選手、交代よ」と、倫子が妙子のお尻を
叩いて合図をした。
圭子の樹液を十分に受けた妙子は、美佐代のために場所を譲り、美佐代の姿勢を
整える手伝いをした。
圭子と美佐代は、両の脚を絡ませ、圭子のペニスを宙に震えさせた。
美紀と倫子が、美佐代の割れ目にペニスを導いて、手を離すと深々と根元まで潜り
こんで、姉妹は一つになった。
裸の四人に囲まれて、いよいよ、圭子は捜索の旅路についた。
美子が四人の木馬をむち打つ音が響いた。恵子、妙子、美紀、倫子と順に打ち据えた。
美子は、二人の妹に届けと言わんばかりに、四人の尻を幾度と無く打ち続け、
夜明けまで、木馬仲間を救い出す悲鳴と嬌声が室内に響いていた。
16.夜中遊園地の幻想
股間で結ばれた圭子と美佐代。周囲には、眠りこける全裸の女性が四人。
お尻は腫れ上がり、股間は汚れがこびり付いていた。
目覚めた恵子は、夢から抜け出たように朦朧としていた。確かに、現実のことで
ある証拠は目の前にも、恵子自身の身体にもあった。這うようにして、テーブルの
所まで行くと、美子の姿はなく、書き置きがしてあった。
「二人のことは、何も心配をせず一週間後に、遊園地で会いましょう」
と一言書かれてあった。妙子達は、まだ眠りの中にいた。
恵子は、木馬達に気づかれないようにして、一足先に出ることにした。
そして、美子の言葉に疑いも持たず、一週間後に再び訪れることを約束をして、
マンションを後にした。
淫乱な心を剥き出しに四人の木馬仲間は、「美佐代のために」と言い訳を持ち、
好き勝手な醜態を晒した。
卑猥な言葉であそび、美子に弄ばれて酔いしれた。
いつしか眠りこけて過ごした一夜。忘れることもなく、身体に染み込んだ味は、
数日の間、夜になると睡眠の邪魔をした。しかし、少しずつ、気持ちも落ち着き
を見せ始めた。
圭子は無事に美佐代を連れて、戻ってきているのだろうか。倫子はどうしている
のだろう。妙子は、美紀は、と次々に名前を呼んでは、過ぎた日々の出来事が
走馬燈のように脳裏を駆けめぐった。
「昼間の遊園地」に出かける日が、いよいよ訪れた。
山は紅葉も終わり、枯れ葉で埋め尽くされた景色を見せていた。
山肌に埋もれた枯れ葉も、朽ちて土に戻って木々の肥やしになるのでしょう。自然は、
人の心などお構いなしに、生き残る為に同じ事を繰り返している。
恵子は一人、肌寒い山の姿を眺めて遊園地の中にいた。
休日でも、人は少なく疎らだった。寒さの中で、子供達が元気良く走り回って、
遊んでいた。遠くに観覧車が静かに廻り、ジェットコースターの蛇のような姿が
見えている。
周囲は見覚えのある景色だったが、遊園地の事務所は、建物が違っていた。
懐かしい仲間の顔が浮かんで、足早にその裏手へと進んだ。
そこに見たものは、古びて動かない回転木馬だった。興奮を覚えた滑り台も、ガラスの
木馬もそこにはなかった。
一歩足を進めて、恵子は立ちすくみ、呆然として錆び付いた遊技道具を見つめている。
楽しそうに木馬に跨る子供の姿もなく、見守る母の眼差しもない。
回転木馬の周囲には、倫子達の姿はなかった。
「美佐代は・・・・、」
呟くと、背後に人の気配を感じた。清掃の人達が恵子の姿を不審に思い、近づいてきた
様だった。
17.黒岩と仲間達
黒岩を先頭にその仲間達は、ワゴン車の中にいた。
美佐代の願いが通じて、圭子と共に一行の中に混じり、後部座席に並んで座っていた。
圭子は死線を彷徨いながらも、美佐代の体内に収めた命の杭は、萎えること無く脈打ち、
美佐代を捜し求めていた。美佐代の花びらも、圭子にまとわりつくようにして
離さなかった。その結合部分は、何も入り込む隙間はなく、一つの肉体となって、
眠っていた。美子が時折、確認のためにのぞきこむが手助けの必要を感じなかった。
そして、圭子が旅立った三日後に、静かに美佐代は目を覚ました。
股間に息ずく熱い杭を打ち込まれたまま目を覚ましたが、美佐代は驚きもせず、
割れ目に繋がる圭子を見て安堵した。そっと手を伸ばして圭子の脚を掴んだ。
その翌日に圭子が帰還した。
圭子と美佐代は、姉妹になることを決意して、美子に哀願した。奇妙な姉妹だと思い
はしたが、真剣な眼差しの二人を見て、美子は二人を妹として認めることにした。
黒岩に連絡をして、事の経緯を全て話して了解を取り付け、行動を共にすることに
なった。しかし、周囲の目もあるのでここを引き払い、見知らぬ土地へ移ることにした。
圭子と美佐代に依存があるはず無く、二人は身一つで姉の美子に従うことになった。
ワゴン車の中で、男達は新たな遊園地を求めて、気ままな旅が始まり楽しそうに
歌声を口ずさんでいた。
美子は、ステアリングを握る三平の横顔を見て、笑顔を差し投げ、後部座席に座る
二人の妹を振り返るように見た。
その瞳には、妖しい光が宿り始めていた。
* おわりに
私には、回転木馬に乗った記憶はなかった。
子供達が楽しそうに乗っている木馬も、大人になってからは恥ずかしくて
乗ることもない。ましてや一人で遊園地に行くこともなくなっている。
それなのに、あの幼稚にすら見える木馬にあこがれを見てしまう。
時には、異常なまでの妄想が駆けめぐり、言いようのない苛立ちを覚えることもある。
それは現実と妄想のギャップなのかも知れない。妄想は、所詮、妄想だと多くの
方が言います。否定はしません。
現実には無い猥褻な事、卑猥な言葉で自責の念に駆られることもあります。
聖人君子にはなれないのでしょう。凡人には凡人の生き方がある。
いいえ、すけべぇな女と認めれば済むこともある。なかなかそれが出来ずにいる。
小説と呼ぶには、稚拙な文章で恥ずかしく思っていますが、室井先生のご厚意に
甘えて公開しました。
この場をお借りして、室井先生を始め感想を頂いた皆様に、深く感謝してお礼申し上
げます。
回転木馬・後編 (完)
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