<続・回転木馬> 夏の海

恵子

 

1.バカンス

 

「なんや、ウキウキしてるやんか。」

「わかる?」

同僚に声を掛けられ、倫子は弾んだ声で返事をした。

一週間の休暇が取れて、友達と夏の海を堪能しようと計画をしていたのである。

「もしかして・・・・、彼と?」

「ちゃうねん。夏休みが取れてね、あさってから一週間の『お・や・す・みっ』

なの。」

「ええなー、そんな長い休み、よーとれたなー」

 

つまらない前置きは、省略してさっさと本題に入りましょう。

 

倫子は仲良しの仲間と3人で、無人島の夏休みを楽しんでいた。

無謀と言えばそれまでなのだが、ラジオも携帯せず、天候のことも考えず、

遊ぶことだけを考えていた。無人島であるという開放感から、日常の束縛を解か

れバカ騒ぎの毎日を過ごしていた。

全裸で泳いでは疲れると、そのままの姿で浜辺に横になって昼寝を楽しんだ。

女三人が破廉恥な事をして、全てを忘れて無邪気な日々を過ごしていた。

三日目ともなると、周囲への警戒心も無くなり、安心しきって浜辺を全裸に

なって走り回ったり、そのままで海に飛び込んで遊び、開放感を満喫していた。

洋服を着て仮面をかぶり、周囲に合わせて社会生活を営んでいるが、今は、

何もかも忘れて心の赴くままで、暮らしているようだった。

倫子は一人で海に入りクラゲのように浮かんでいた。

元の生活に戻れば、再び周囲に合わせた生活が待っている。心の中の全てを吐き出して、

もっと遊びたいと考えていた。波に身体をまかせて浮かびながら、ふと、なにやら

思いついたように、浜に向かって泳ぎ始めた。

浜辺では、珠美と藍子が並んで寝ていた。倫子はふざけるように珠美に抱きつき、

乳首を口に含むと、珠美も待ちかまえていたように倫子を受け止めた。

「あらら、のりちゃんは甘えたさんですね。」

まるで、赤ん坊をあやすように背中を軽く抱きしめた。

おふざけも、時として本気に転ずることがある。この二人もこうして、次第にそ

の気になり、炎天下での痴態を演じ始めた。

藍子は直ぐ側で、やれやれといった風で昼寝を楽しんでいる。隣で、二人がキスを

しようが、互いの股間を慰め合おうが、心此処にあらずで眺めていた。

倫子と珠美も母子ごっこを楽しむと、心地よい疲れのなか寝入ってしまった。

 

ぴしゃー!!

「いたー!! なんやの?いきなり」

倫子は、お尻をひっぱたかれて目を覚ました。

「罰ゲームやるで」

藍子がいつもの調子で、冷ややかに言った。

倫子と珠美は顔をあわせ、やれやれまた始まったと、諦め顔で藍子の話を聞き、

大人しく従うことにした。

夏の浜辺には付き物の”スイカ割り”が始まった。藍子の思いつきなので、スイカ

なんて用意をしているはずはない。倫子のお尻がスイカの代用品になる。

ぶつぶついいながら、倫子はお尻を太陽に向けて身を丸めるた。

「スイカが、ごちゃごちゃと文句ゆーたら、あかんわ。静かにしてぇ」

藍子が目隠しを手にして、スイカに注文をつける。

珠美は少しでもスイカらしくするために、倫子のお尻や谷間に海藻を張り付けて、

メイクを施した。

「どうえ、これで。」

藍子が得心したように頷いて目隠しをする。珠美が鬼さんを誘導する。

ピシャー。

倫子の谷間に鬼の一撃が命中した。割れた割れたと悦び、倫子のお尻を叩く。

スイカ割りが終われば、鬼ごっこ、鬼さんこちらと、無邪気に遊ぶ。

こうして三人三様に遊びを思いついては、ふざけ合い、この日も飽きることなく

馬鹿騒ぎを続けて、疲れた三人は浜辺の陰で寝入っていた。

 

次第に好天から俄に雲行きが怪しくなり、空は暗雲が立ちこめ突如

として豪雨が襲ってきた。

全身を打つ雨の痛みで飛び起きた倫子は、真っ先に二人の姿を探した。

しかし、珠美、藍子の姿はどこにも見あたらなかった。

「たまみー!!」

「あいこ!!」

大声で呼んでは見たが、豪雨の中にかき消されてしまい、いくら呼んでも反応が

ない。倫子はずぶ濡れになったジーンズとティシャツを鷲掴みにして、林の中へ

走り出した。浜辺の砂に足を取られ、何度も転けては立ち上がり這々の体で林の

中に潜り込んだ。

僅かな木々の林では、この豪雨の勢いを止めることは出来ず、ねぐらにしていた

場所も流されていた。

夏の昼間だというのに、身体が急激に冷えてきて唇は既に紫色を帯びている。

海辺の周囲だけで遊んでいたせいで、避難場所も確保していなかった。焦る気持

ちで、急いでずぶ濡れの衣服を身につけて、その場から離れ倫子は走り出した。

 

2.避難

 

倫子は、丘に登ることを避けて、海岸沿いを夢中で走った。なぜそうしたのか、

倫子自身にも説明がつかない。そう、気が付けば走っていたのである。

豪雨の雲が全天を覆い尽くし、暗闇に近い状態だった。素足のまま砂浜や岩場を

走り抜けているので、足の裏は傷だらけになっている。

しかし、素足には痛みはなく、全速力で走っていた。雨足は衰えを知らず、無限の

ごとく空から落ちてくる。友のことも忘れあてもなく、ひたすら走った。

暫くすると、前方に一点の光が、豪雨の中に薄く見えた。何かは分からない。

ただ、夢中で駆けた。

近づいてみると、それは小さなクルーザーだった。荒れる海面に浮いている

のが不思議だったが、人の姿を見て緊張感が緩み、助けてと呟いた。

 

「もう、これ以上は待てない!! いくぞ。」

クルーザーのコックピットから、男が怒鳴るように言った。

倫子は激しく揺れるクルーザーの船尾に、タイミングを見て飛び移り、転げるように

キャビンに潜り込んだ。

すぐさまけたたましいスクリュー音を海面下から唸らせると、海水を白濁させ

船尾を沈めた状態で小型クルーザーは岸を離れた。

高回転で海中を撹拌しながら、海水に白い帯を付けて嵐の中に姿を消した。

間一髪で飛び乗った倫子は、転げ落ちるようにしてキャビンに入り、荒れ狂う海

の中、震えながら珠美と藍子の無事を祈った。

 

夢中で飛び乗ったものの、二人の行方が気がかりだった。しかし、今は、それど

ころではなかった。右に左に、そして上下に、キャビンの中で振り回され、

慌てて支柱にしがみついた。

男は、レーダーを頼りにクルーザーを操り、豪雨の中、波と格闘を続けていた。

海図は朧気ながら頭の中にある。それを頼りに、男はクルーザーは進路を北西に

向けた。転覆を免れようとして、全神経を集中させて操船をしている。

一時間、二時間と疲れを忘れてクルーザーを操った。

 

3.夜明け

 

男の名前は、野中太一。岬三平と余暇を無人島で過ごしていた。

倫子達とは一日違いで島に来ると、反対側でのんびりとしていたのである。

太一は、島を離れる直前にクルーザーに飛び乗ったのは、仲間の一人と信じて

いたのである。

 

一昼夜、台風と格闘して疲労困憊の体で太一は、コックピットを離れた。

倫子は濡れた服のまま、身体を丸めてうとうととしていた。台風が過ぎ去って、

洋上を漂う小船は静かに揺れていた。

甲板の扉が開き、男の脚が見えると倫子は不安な眼差しを向けた。

「詳しいことは、後でな。」

一言、そう言うと太一はブリーフ一枚になって床に横になった。余程疲れたのか、

横になると直ぐに寝息を立てて眠りについた。

男の様子を見て、倫子はあっけにとられ暫くぼんやりとしていた。

そして、脳裏をかすめたことを恥じた。

洋上で、一艘のクルーザーに男と女。きっと、身ぐるみ剥がされて犯される。

何時来るかわからない救助の手を待ちつつ、辱めを受けるんだ。そんな、妄想が

一瞬浮かんでしまった。

疲労困憊の様子で寝入っている男の前で、バカな妄想から目覚め顔を赤らめた。

静かに呼吸をする男の胸板を見つめ、視線が下に移ってブリーフの膨らみに

釘付けになった。

「こんな非常時に・・・・、何を考えているの!」

倫子は顔を赤らめて、自らを叱責した。妄想を振り切るようにして、密室の

キャビンから脱出をした。天井の扉を開き、外気を胸に吸い込んだ。

台風は過ぎ去り、夜が明けようとしている。朝焼けの洋上は美しく、嵐の過ぎた

波は穏やかにクルーザーを運んでいた。狭いデッキに立ち上がり、朝日を受けて

潮風に身を晒すと徐々に気持ちが落ち着いてきた。

 

潮の流れは緩やかで、台風の過ぎた後の潮風が心地よく、髪に手をやると湿りは

残っていたが次第に乾き始めていた。仲間の安否も気がかりだったが、今の倫子には

どうすることも出来ない。それより、倫子だけが逃げ出したような後ろめたさが

あって、やり切れなさを感じた。

嵐の中での緊張感が取れると、気が緩み冷えた身体から急に尿意を覚えた。

男はキャビンで寝ているし、周囲に見えるのは海面だけで誰もいない。

勝手が分からない船の上のこと、果たして便所があるのかないのか、考えながら

脚を震えさせている。

 

目を閉じて、夜中遊園地から美佐代の救出と、慌ただしく過ぎた一年前の出来事を

思い起こしていた。

 

倫子は身に潜む淫乱さを認め、認めながらも忘れようとした。日常生活の中で、

隠し続けることに疲れて無理にでも、押し込めようとした。

しかし、一度知った味を忘れることが出来ず、悩んでいたときに珠美や藍子と

知り合った。彼女たちといるときは、不思議と本音でつき合うことが出来、

寝た子を起こしてしまったのである。それを望んでいたのかも知れない。

このバカンスに来る前にも、何度も逢って遊び確認済みだった。

物思いに耽ることも、そろそろ限界に近づいてきた。膀胱が満タンになり、

溢れ出そうになってくると、倫子の心に遊び心が生まれた。

 

生乾きのジーンズを脱ぎ去り、ジーンズをデッキに置くと下半身は裸だった。

あのとき、慌てていたので下着をはいていなかったのである。

キャビンの扉は閉まっている。デッキの端にたたずみ、脚を開き気味にして

腰を海に突き出した。右手で割れ目を開き、上に向けて溜まりに溜まった

尿を海に向かって噴出させた。

男の子のようには飛ばないけれど、一応は前に飛び出し排尿の開放感を

味わっていた。自然に笑みが零れた。

 

静かな海に流し込まれる放水の音が、妙に恥ずかしさを駆り立てて、倫子を

興奮させた。両の脚にも飛び散る噴水の滴がかかり、尿のぬくみを感じて

しまう。膀胱の大きさを疑いたくなるほど、いつまでも身体から尿が出ていた。

終盤にさしかかると、勢いのない尿は谷間にまとわりついた。肛門に向かって

滴が垂れている。

興奮の中で、尿で汚れた割れ目を手のひらで愛撫する。

クルーザーにいる、もう一人の事も忘れてしまい、手のひらを股間に張り付かせた。

排尿の満足感と相まって、その場に崩れ落ちるように倒れた。

 

4.変身願望

 

倫子が気が付いたときには、陽は高く汗ばむほどの熱さになっていた。

脱いでいたジーンズも乾き、慌てて脚を通して何食わぬ顔でキャビンの様子を

のぞきに行った。男は同じ姿勢で寝ていた。

ひげ面の日焼けをした逞しい身体をしていた。外は熱いし、中に入ろうか迷っていた。

何しろブリーフ一枚で寝ている男の側でいることが、倫子には恥ずかしくて

決心が付かないでいる。男の寝顔を覗き込みながら考えた。倫子がキャビンの扉

を開けたことで、外気が入り込み新鮮な潮風に男の鼻が匂いをかぎ分けた。

潮の匂いに気づいた男は、ゆっくりと起きあがり大きく背伸びをして、倫子を

発見した。目線が一瞬あったが、倫子が直ぐに顔を背けた。

倫子は悪戯でも見つかったかの様に、男の目を見ることが出来ずデッキに後ずさ

りをした。キャビンから男は陽を求めて這い出してきた。

「だれだ。おまえは・・・?」

「・・・・・」

唖然とする倫子を見て、太一は尋ねた。

台風で避難するためにクルーザーに飛び乗ったことを、倫子がようやく伝えると、

男はやっと理解したようだった。

「そうか、あれは三平じゃなかったのか。」

それっきり、太一は黙ってしまい海を見つめている。

 

二人の間には奇妙な間ができた。

倫子は、何とかしてこの空気を取り除きたいと思った。

そして、その一心で、男に向かって助けて貰ったお礼を言おうとするのだが、

舌がもつれて声にならない。

「もしかして、・・・・・・のりこじゃないか?」

男が振り返りざまにそう言った。

「は・・・・はい。そうですけれど、でも・・・・どうして?」

太一の顔はあの当時とは、別人のようなひげ面だ。倫子に分かるはずがない。

 

「やっぱり」

太一は頷いて、名を名乗り夜中遊園地のことを話した。ようやく倫子にも、太一が

誰なのか理解できたようだった。

その後のことは、聞きたいことが山ほどあったが、倫子は言い出せず口から出た

言葉は、このクルーザーがどうなっているのかだった。聞けば、いろいろと倫子自身の

事にも触れるし、今はそれ以上に早く帰りたかった。

しかし、太一の説明は倫子の期待に反して悲観的なものである。

燃料は残り少なく、通信機も故障しているという。それだけではなくて、現在地も

正確には分からないと太一は説明した。

 

「それじゃ、私たちは・・・・」

「ああ、救助を待つしかない。幸い数日分の食料はある。」

そう言ってキャビンに戻り、食事の用意をして倫子を呼んだ。食事と言っても

緊急食料なので空腹感は癒されることはなかった。二人はキャビンで食事を

済ませると、これからのことを話し始めた。

と言っても、倫子は聞いているだけで太一の指図通りにするしかない。

一つ一つ聞いていると、漂流していることが実感として沸いてきた。同時に不安も

出てきた。倫子の不安は、今の太一が本物なのか或いは、木馬の時が本物か

決めかねていたことだった。それは、倫子自身の気持ちでもあったのである。

 

「さあ、上で見張りをするか」

倫子に言ったのか太一自身の独り言か、不明瞭な言い方で言うとデッキへ

出ていった。一人、キャビンに残るのも辛く、その言葉に便乗してついて

行くことにした。

四方を見張り続けても一向に船は見つからず、これが本当に日本の海なのかと

疑いたくなるほどである。相変わらずクルーザーは潮の流れに乗って、

動いている。しかし、何も目標物がないので停泊しているようにも感じた。

夏の太陽は、大きく熱い。僅かな海風も熱風となり、倫子の体内から水分を

奪い去ってゆく。全身から汗が滲み出て行くのが、毛穴が感じていた。

白いシャツが汗ばみ身体にまとわりつく。胸を見ると、乳首さえも浮かび出て

乳房に張り付いていた。襟元を掴み外気を間に入れるため、ぱたぱたとさせる。

背後から、海面に放水する音がした。

振り返ると、太一が小便をしていたのだった。それも、ブリーフを太股まで

ずらして両手は手摺りにあった。

倫子は恥ずかしがるどころか、身をずらして太一の前を覗き見た。

露出したペニスの先から、綺麗に放物線を描いて海面に注がれいる。視線を逸らさず

見入っていた倫子は、思わず生唾を飲み込んだ。手を伸ばせば届きそうに感じた。

無意識に脚が動き、半歩、また半歩とにじみよって行き、太一に近づいた。

大海原の上では太陽が見つめている。倫子の心に変化が生まれた。

いいえ、変化ではなく仮面を外しただけかも知れない。とにかく倫子の目つきまでが

違っていた。

放尿しながら太一が振り返り、倫子の目を見て、その変化に気づいた。

目線が合うと、倫子は一気に太一の元に歩み寄った。そして、放尿が続くペニスに

手を添えた。

 

5.はじまり

 

倫子は首輪を付け、衣服を脱いで全裸でデッキの手摺りに繋がれていた。

船が近づけば救助を求めるために、此処で見張りをしている。小水だけは自由に

海にする事を許されていたが、水分補給が十分ではないのでそれ程尿意を感ずることは

なかった。それでも、何度かは海に向かってお尻を突き出し排尿をしたが、最後が

問題だった。紙はなく、犬猫のように舐めて綺麗にすることも出来ず、いわば垂れ流し

同然なのである。唯一臭いを消し去ることが出来るのは、倫子にとっても驚きだった。

 

首輪に繋がれて二日目のこと、倫子は初めての便意に困惑した。どう見ても便所に

行かして貰える様子はない。我慢をしていたが、遂に耐えきれず太一に訴えた。

「うんちか? ちょっと待て。用意をしてくる」

そう言って、持ってきたものは長いロープだった。

ロープを首輪に繋ぐと、何をされるのかと不安顔をしていた倫子は、一瞬、身体が宙に

浮いたかと思うと、悲鳴をあげる暇もなく、ザバーンと音を立てて海に投げ込まれ

ていた。命綱は首に繋がれている。

一度沈んだ身は、直ぐに浮かび上がりクルーザーを見上げると、太一が笑ってこちらを

見ている。

「済んだら合図しな! 引き上げてやる。」

無茶苦茶しないでよ。と、倫子は少しムッとしたが、逆らっても仕方がない。

一度、もよおした便もビックリしたためか、引っ込んでしまったのである。これで、

上がるわけも行かず、かといって、泳ぎながら力むと沈んでしまう。

何度か挑戦をして浮力に身を任せていると、上から太一がロープを操り邪魔をしてくる。

何も言わず、ニヤニヤとして眺めている。悔しいけれど、弄ばれているのがよく分かる。

開き直って、大の字で浮かんでみた。晒しもんの姿である。今更、恥ずかしいもあった

ものじゃないけれど、またまだ、排便までは抵抗があった。

暫くすると、引っ込んでいた便意が蘇ってきた。出そうになると、沈んでしまう。

 

もう、こうなると自然な排便などおぼつかない。息を止めて沈んでも大丈夫なように、

準備をして置いて肛門の力を抜いた。

透明な海の中、足掻きながらも浮かんでは沈む倫子の股間から、泡と一緒に便が

排泄されるのが見えた。どうやら、漏らしながら泳いでいるように太一には見えた。

排便の中、太一の笑い声が船上から聞こえていた。

どうにかこうにか海中で排便を終えた倫子は、クルーザーに引き上げられて塩水ながら、

身体に染みついた臭いを洗い流すことが出来た。

 

食料がある間は、こうして船上生活を満喫していたが、食べ物も飲料水も底を突き出すと

焦りも出てきた。排尿と排泄は同じ事の繰り返しで、少しずつ、倫子の羞恥心は薄らい

でいた。

楽天家なのか太一の様子は、殆ど変化はなく倫子を相手に弄び、特別料理を与えることも

あった。特別料理は、当然、太一の勃起したペニスです。

太一は倫子の前ではいつも裸でいたが、勃起した時だけ、それも許可が出るまでは

触れることも許されていないのです。倫子自身に触れることもです。

倫子が欲しがり、目の前でちんちんしようがお尻を突き出そうが、太一は反応無しで

苛つく余りペニスをむしゃぷりつこうとしたときは、こっぴどく打ちのめされた

事があった。太一の膝に抱きかかえられて、お尻を叩かれた。何度も、何度も。

その時のこと、叩かれながら太一の膨らみを身体に感じて、ペニスの勃起を悟ると、

物欲しそうに倫子は、割れ目を濡らしていた。

それ以来、倫子は大人しくなり、作戦を変更したのです。

 

6.予兆

 

珠美と藍子は気持ちよさそうに寝ていたので、その場に倫子を置いて出かけた。

夕食の準備のために、飲み水と薪を集めに林の中へ入っていった。飲み水は、

持っては来たが長期間の無人島生活を賄うことは無理である。

現地調達のため案内人から聞いていた場所まで、ポリタンクを担いで汲みに行く必要が

あった。泣き虫の倫子を一人おいて行く事に迷いはしたが、あまりに気持ちよく

寝ていたので起こさずに出ることにした。

ポリタンク一杯にわき水を調達して、薪を集めているときに、突然の豪雨にあった。

二人は慌てて雨宿りをする場所を探していると、幸運にも洞窟を発見して逃げ込んだ。

通り雨程度に考えていたが、一向に雨足が落ちる気配もなく、それどころかますます

酷くなる一方だった。暫くすると、洞窟の直ぐ前は豪雨のため急流のようになって、

洞窟の中に閉じこめられてしまった。

 

同時刻、島の反対側で三平が同じように豪雨に晒されていた。

岩場で釣りを楽しんでいた最中の出来事だった。何しろ、突然の豪雨だったので

波から逃げることに夢中でクルーザーに戻ることが出来ず、かろうじて身を隠す場所

を確保するのが精一杯だった。

 

こうして、無人島の中、お互いが知らず一人の男と二人の女が閉じこめられる事に

なったのである。共に、食料を失いこれから数日の間、この無人島の中で生きて行く

ことを余儀なくされた。

倫子達の三人の女性を運んだ漁船は、一週間後に向かえに来ることになっているが、

船頭の漁師こと山辺良三は、約束したこと以外のことには関心がなかった。

そもそもが、僅かの手間賃で引き受けた仕事だったし、若い娘の無謀な試みには

反対だったのである。しかし、台風が近づいていたことを黙っていたことには、

少々引っかかりを感じてはいた。

台風の襲撃に備え、命同然の漁船を幾重にもゆわえ、万全の準備を終えていた。

豪雨の中、オンボロ小屋の窓から漁船の様子を見守って、いざとなれば

いつでも出かけられる体制にいた。

 

良三の住むオンボロ小屋は、漁村から山間に入った見晴らしの良い場所にあった。

漁師達が住む豪華な家とは違い、電気も無い暮らしをしている。

良三は漁船の無事を翌朝まで見張り、豪雨が過ぎ去ったことを確認して、小屋の中で

眠りについた。

 

良三が目を覚ましたのは、陽は高く昼を過ぎていた。

前日の豪雨は嘘のように晴れ、夏の天候に戻っていた。

山辺は40を過ぎて独身で、漁師としての腕は一級品だったが、近代漁業に馬が合わず、

小さいながら持ち船で意地を通して生きていた。組合には入っているものの、ほとんど

寄り合いにも顔を出さず、漁師仲間からは変わり者で通っていた。

良三は起きると小屋の裏手に廻り、雨水を溜めている巨大な水槽で身体を洗い始めた。

裸になると40過ぎとは思えない鍛えられた体をしていた。胸板は厚く、腕も太い。

何よりも、黒々とした股間の間から誇立した肉棒は、巨大でそそり立っていた。

この持ち物が災いして、いいえ、今ひとつの事があり連れあいに巡り会えず、

独り身でいる。決して女嫌いでもなく、独身をポリシーにしているわけでもなかった。

 

勃起させたペニスに無関心で水浴びをしている良三の姿を、少し離れた所から盗み見

している女性が一人いた。同じ村に住む純江だった。

純江は23歳で、東京の大学を出て一度は就職をしたものの、半年足らずで村に戻って

来たのである。親の反対を押して東京の大学に行ったが、大学在籍中は殆ど村には

寄りつかず、それが、いきなりの帰省である。いくら両親が問いつめても、頑として

その訳を言わず、親も帰ってきたのだからと、諦めていた。

純江は村に戻って直ぐに、良三のことを知った。知って興味を抱き、こうして

ちゅくちょく様子をのぞきに来るのである。初めて良三のものを目にしたときは、

純江も驚き危うく見つかりそうになったものである。しかし、二度三度と見ていると

興味はますます膨らみ、最近では毎日のように見張っていた。

純江が不思議に思ったことは、良三が水浴びしているときに勃起していることだった。

純江の知識では、理解できない事なのである。かといって、本人に尋ねるほど親しく

 

もなく、ましてや聞ける内容でもなかった。

東京の大学生活の間に、何度かセックスの経験をしているが、その中での知識では

良三のものは解決しなかった。

食い入るように林の中で身を隠して、水浴びしている良三の様子を伺っていたが、

良三は自身の勃起には手を触れようとはしない。それどころか身体を拭き終わって、

そのままの姿でその場を離れようとしていた。

 

褐色に焼けた逞しい漁師の姿は、純江には野蛮人のように映った。嫌悪感ではなく

、むしろ、良三に惹かれて行く事を避けられなかった。

良三は、そんな視線がある事など知らず雨水で身体を冷やして、小屋に戻った。

 

良三が小屋の中に姿を消すまで、純江は林の物陰で食い入るように見つめている。

姿が消えても、純江の瞳の奥には良三のペニスが焼き付いて、このまま小屋に

飛び込んでしまいたい欲望に駆られた。純江のスケベ心に火がつき、いたたまれず

右手が股間に忍び込んで、パンティの上からでもはっきりと濡れていることが

分かるほどだった。しばらくその場で立ち竦んでいたが、思いを果たせず純江は

小屋から姿を消した。

翌日のこと、良三は漁を終えて漁港に戻る船中にいた。大漁ではないが、納得が行く

漁が出来満足して漁船を操っていた。漁港に戻り、水揚げをすました良三が漁船の

清掃をしていると、いつのまにか純江がその姿を岸から眺めていた。

「すみちゃん、どうした?」

良三に声を掛けられて、純江は驚きの表情でうろたえながら、頭を下げて返事をした。

漁船の甲板に立つ良三、陸に立つ純江、二人の間にはさほどの距離はなく、小声でも

十分に会話が出来た。

純江は自分の名前を呼ばれたことに驚き、良三に尋ねた。良三の純江を見る表情は

おだやかで、緊張感は直ぐに解けた。

 

「そりゃー、すみちゃんのことなら、赤ん坊の頃から知っているさ。それに・・・」

「それに?」

「いや・・・・、いいんだ。それより、何か用事か?」

純江は、あの事を言い出すわけにも行かず、優しく話をしてくれる良三のそばに

居たくて、「ここにいてもいい?」と返事をした。

もうすぐ終わるからと合図をすると、良三は漁船の清掃を続けた。

「どうだ、めしでも食うか?」

良三の誘いに頷くと、オンポロ小屋へ二人は歩き出し、他愛もない会話をしながら

坂道を登り始めた。オムツを換えたこともあるし、肩車をして遊んでやったことも

あると、昔話をすると純江は恥じらいもなく、「今でも、してくれる?」と冗談半分で

言った。既に周囲は民家から外れ、林道にさしかかっていた。

はたから見れば親子のような二人は並んで歩いていたが、純江の一言で良三の心にも

変化が現れた。

純江の股に頭を入れ、両手で純江の太股を支えると、軽々と肩の上に純江を乗せた。

成熟した純江の身体は、肩車をされるには大きくなりすぎたが、純江はしっかりと

良三の頭にすがり、そして、両脚に力を込めた。

良三は首に掛かる純江の太股から何かを感じたが、その事には触れずまるで子供を

担いでいるかのように林の中をオンボロ小屋に向かって歩き始めた。

 

良三の肩の上で朧気な記憶を辿り始めていた。それは、純江が幼稚園に通って

いた頃のこと。あれが良三だったに違いないと、今、確信に近いものを感じて

いる。純江は、大きな男の人の膝の上に抱かれて、裸で巨大なおちんちんが

付いていた。手の中には納まらないほどの大きさで、何を聞いたのか記憶にないが、

「すみちゃんが大きくなったら」とだけ覚えている。思い出に耽っていると、

小屋の前に付いた。

小屋の前で肩から降りた純江の目には、何故か涙が滲んでいた。

 

良三は何も聞かず、純江を小屋に招き入れて囲炉裏の側に座らせた。

動こうとする純江を目で制して、鍋を囲炉裏かけ、取れたての魚を囲炉裏の廻りに

刺した。夏の日差しは長く、小屋の外は6時を過ぎても、まだまだ明るい。

夏の暑い時期に囲炉裏に鍋でもあるまいが、独り身の良三にとっては唯一の

もてなしのつもりだった。

そして、水浴びをしてくるからと言って、その場で良三は裸になった。

純江もそれが普段どおりであるかのように、驚きもせず間近で良三の仕草を

見つめている。純江が見たものは、萎えたままの男性自身であり、あの時のように

そそり立っては居なかった。

それがなぜだか寂しくもあり、良三が小屋を出て直ぐに、純江も裸になって

後を追いかけた。全裸のまま全てを晒し、雨水を溜めた樽の所まで行くと、

既に水浴びを始めていたが、突進するように良三に抱きついた。

純江の胸は程良く隆起して、腰のくびれもあり若々しい裸体をしていた。

ただ、一点、股間には翳りがなかった。

無毛症ではなく、この日の覚悟として、純江自身の手で剃り落としたのである。

何をしても無言で受け入れてくれる良三の態度が、純江には救いのように思え、

萎えたペニスに手を触れて、そして口に含み吸った。しかし、純江の期待にどおりには

ならず恥ずかしさの余り、顔を落とした。

こうして、純江の一度目の勇気は見事に失敗をした。

 

7.台風一過

 

洞窟に逃げ込み急場を逃れた珠美と藍子、豪雨の雨音を暗闇の中で抱き合って

様子を伺っていた。闇から逃れたくて集めた薪に火を付けようとしていた。

火種がないことにはどうにもならず、枯れ枝だけでは燃えなかった。

藍子が言い出したことは、服を火種にすることだった。珠美の目を見つめる、

ぎくりとする珠美、少しの間をおいて珠美が諦めて頷いた。頷いて、服を脱いで

藍子に差し出すと、「よしよし、いい子だ」と子供をあやすように頭を撫でる。

藍子は手にした鉈で服を切り裂き薪の下に入れて、ライターで火を付けたが、

少し燃えると火は直ぐに消えて、やはり、薪には火が付かない。

窮地に追い込まれれば、何か知恵が生まれてくるもの。藍子も失敗を繰り返して、

挑戦したことは珠美の服を小さく切り刻み、薪も削って小さくして手作りの

火種をたくさん作って点火した。大成功です。

火がともり大きな薪に火が付けば、注意さえしていれば、もう大丈夫です。

すすだらけの藍子の顔を見て、珠美も大喜び、上半身を裸にされたことなど

忘れて藍子を誉めた。洞窟の外は相変わらず大雨だったが、幸い風が大したことが

なく、焚き火の火の前で二人は夜を過ごした。

当然、安心して二人がエッチなことをして楽しんでいたことは言うまでもない。

さて、洞窟で朝を迎えた二人は、外に出ようとして濁流のようになっている

目の前の様子に呆然とした。出るに出られない状態になっていた。

倫子の様子も気がかりになっている。ああ見えても、倫子が泣き虫なのは珠美が

良く知っている。きっと、今頃は一人で泣いているに違いないと珠美は思った。

 

「たまみ。この洞窟は、まだ奥があるみたいやわ。」

「ええっ!! ほんなら、うちら助かるんか?」

「そんなん、いってみなわからへんわ」

顔を見合わして、決心が付いた二人は洞窟を奥に進むことにした。

藍子は珠美の目を見る、何かを訴えているように。

「あーあ、また〜〜〜、ほんまに藍子にはまけるわ」

「そんなんゆうたって、こわいもん」

とにもかくにも、裸の珠美が先陣を切って、薄暗い洞窟を奥へ進むことにした。

狭いながらも、どうにかこうにか身体が通るくらいの広さがあった。

四つん這いになり進んでいると、後ろから藍子がお尻にちょっかいを出す。

こんな非常事態に何すんねん、と叱ると大人しくするものの、暫くすると再び、

肛門めがけて指でつつきに来る。困った藍子である。

いつでも油断すると、ふざけあう二人だった。突然、珠美が止まった。

「あいこ!! なんや明かりが差し込んでるわ」

「ほんま? はよ行こっ」

「うん」

それまで四つん這いで進んでいた二人は、広くなった洞窟内で立ち上がって、光が

覗いている上を見上げた。

「たまみ・・・・、こんな時に乳首たてて、やらしいなぁ」

「あほ!! 藍子が変な事するからや」

「ほんまかぁ?」

まだ、ふざけてる藍子を無視して、登れるかどうかを真剣に考えている。

どうにか両端の壁に両脚両手で突っ張れば、よじ登れそうである。珠美は、藍子の

顔を見て伝えると、顔を左右に振って拒否した。

大丈夫やと、何度も説明したが藍子は嫌やという。

「恐いこと無いから、藍子が先や」

「いやや」

「なんでや?」

藍子が言うには、下から浣腸するやろ、と疑っているのである。あまりにも馬鹿馬鹿

しくて怒る気にもならない。

仕方が無く藍子を説得することを諦めて、挑戦することにした。

今まさに、壁に飛びかかろうとした時のこと、「まって!!」と藍子が呼び止めた。

「もーっ、なんやのー?」

「ひとりで此処に残るの・・・・・、いやや」

 

と、まあこんな具合に我が儘な藍子を相手にして、どうにかこうにか地上へと

無事に二人は出て来た。

 

8.出漁

 

翌朝午前四時、オンボロ小屋の中では、出漁の身支度を手伝う純江の姿があった。

仁王立ちになった良三の前に、全裸姿で足元に膝まつきサラシを巻き付ける姿には、

満足げな表情が読みとれた。良三のペニスは勃起して、浮いた血管が破裂しそうだった。

純江は勃起したペニスを目の前にして、昨夜のことを思い出していた。

 

気落ちしている純江を猫でも掴むようにして、良三は小屋に戻り囲炉裏の前に

あぐら座りをした。焼けた魚と鍋をすすり、純江にも食べろと言う。

餌を与えられた猫のように扱われ、床に置いた餌皿で食べろと良三に言われて

躊躇していると、膝に抱きかかえられて何度もお尻を叩かれた。叩かれて赤く腫れた

お尻を突き出すように、四つん這いになって餌皿に口を付けた。

餌皿には、鍋からすくった具と焼けた魚が無造作に盛られている。手を使うことは

許されていたが箸もスプーンも用意されていなかった。

純江にとっては初めての経験だったが、何故か心に安らぎを覚え、恥ずかしさを

抑えて餌を食べることに集中していた。お尻を少しでも下げようとすると、

ひっぱたかれて、ぐいっと、持ち上げて突き出す。

食べながら良三の様子を覗くと、あぐら座りの中でペニスがむくむくと動き始めていた。

思わず見入っていると、餌がまだ残っていると注意をされて、お尻を叩かれた。

餌皿を見ると、残っているのは魚の骨と汁だけなのに、どうすれば良いのか分からず、

餌皿を睨み付けた。手を出して、そーっと魚の骨を掴もうとすると、パシーッとお尻を

叩かれて手を引っ込めた。何度叩かれたのか分からないけれど、ひりひりとしてきた。

まさか骨まで食べろと、言うわけはないと勝手に考えて、残った汁をすすることにした。

口をとんがらせお皿にキスでもするように、吸い込み、随分とはしたない音をさせて

汁を飲んだ。最後は、もう、舐めとるしかない。

舌は長い方だと思う、なにしろ鼻に付けることが出来るほどなんですから。自慢の舌を

にゅるっとだして餌皿を舐め始めた。

まるで誉められているかのように、良三の手が臀部を優しく撫で回し始めた。

そうかと思うと、お尻の穴や割れ目までつつき始めたのです。こうなると、純江は汁を

舐めとる仕草も思い通りにはならず、妖しい声がこぼれそうになる。

恥も外聞もなく、ただ、股間の痺れに耐えきれず声を出して、その場に伏してしまった。

 

食事が終わり、気が付くと囲炉裏の鍋も片付けがされていて、純江の身体には

奇妙な気怠さが宿っていた。良三の姿を探すと、相変わらずあぐら座りで純江の側に

いて、目線があった純江に笑顔で応えた。

純江は良三のペニスが勃起していることが、何よりも嬉しく感じた。純江の知識では、

喜んでいることの証だとしか考えられないから、純江が猫になることで喜んで貰えたと

信じていた。勿論、純江自身も全身で悦びを感じたことで、満足感を得ていた。

しかし、良三のペニスはまだ勃起したままだったので、純江は身体の中に注がれて

いないことが寂しく感じていた。

良三にしてみれば、射精することは大した意味を持っていなかったが、純江にそれが

分かる筈もなかった。

 

「本当に一緒に、漁に出るのか?」

良三に問いかけられて、思いに耽る純江は現実に引き戻されて、頬を染めた。

「はい、連れていって下さい。決して邪魔をしませんから」

漁に女を連れて行くなど、漁業組合では考えられなかった。純江の父は網元で、

漁師の生活を知っているが母はいつも帰りを待っていて、水揚げされた魚の面倒を

見ていただけだった。だから、良三が漁船に乗るかと、言い出したときは直ぐには

信じられずからかわれている位にしか思えなかった。

 

良三の言葉に嘘はなく、こうして身支度を手伝いに来ている。良三の顔を見上げる

ようにして、傍に居たいことを伝えた。目の前に勃起したペニスを突きつけられても、

無断で触れてはいけないことは、昨夜、身体に教え込まれていたので、見て見ぬ振りを

していた。

 

純江を乗せた漁船は、ディーゼル機関のエンジン音を夜明け前の海に響かせて、

漁港を離れた。良三の操船する漁船は、目指す漁場へと静かな海面をかき分けながら、

速度を増した。

借りてきた猫ならぬ、褌を締めた猫となって舳先に捕まり、海上の潮風を受けて朝陽が

上るのを眺めていた。褌は、良三のサラシを少し分けて貰って、つんつるてんで

剥き出しの股間を辛うじて包み隠していた。胸は上着で包み裸の猫にはならずに

済んでいた。純江はどちらでもよく、漁船に乗るためなら裸も辞さない覚悟で家を

出てきたのだから。服装はともかく、首に付けた鈴は気に入っていた。

振り返ると、残念ながら良三のものはサラシの中で拝むことは出来ない。

再び、沈黙が訪れ漁船のエンジン音だけが体に響いている。そして昨夜の続きを

思い出していた。

 

9.冒険

 

此処は無人島の反対側にある岩場の中腹、大きな岩が重なり合って、

海燕の巣でも見つかりそうな場所だった。その岩の隙間から、珠美と藍子の

顔が覗いた。

「なんや、ここも大変な場所みたいやな。」

「うん」

「とにあえず、下におりよか?」

「うん」

「なんや! さっきから、うんばっかりやで」

「うん」

今にも泣き出しそうな藍子、生返事ばかりで顔色も悪い。どないしたんやと、

心配で珠美が聞くと、小さな声でお腹が痛いという。

もう、完全に珠美に頼り切って、普段の藍子とは勝手が違ってきている。

泣き虫倫子の捜索に加え、藍子までがこうでは珠美としてはお姉さん風を

ふかしてでもしっかりしなければ、どうにもならない。

「しゃないなー、洞窟で冷えてうんこでもしたくなったんやろ」

だーれも見てへんから、ここでやり。そう言って藍子のジーンズを引き下ろし、

しゃがませた。潮風に乗ってうんちの臭いが運ばれて行く、出るわ出るわで、

巨大なうんちの山が出来た。笑い事じゃなく、身近でしたものだから鼻が

曲がりそうである。

「たまみー、すんだで」

お尻をあげて藍子が言う。

「え゛ーっ、済んだ後まで、面倒見ろ言うんか?」

「せやかて、紙持ってへんもん」

珠美は、やけくそで何を思ったのか裸になって、藍子のお尻に向かっておしっこを

かけ始めた。出るときは、出るものなんだと妙な関心をしながら、藍子のお尻に

股間を近づけた。

「紙がないから、これで我慢しとき」

倫子がどうなっているのか知らず、暢気な二人である。

さて、倫子の捜索をどうするのか二人が相談をするが、一向に良い知恵も出ず、

海辺の周囲を歩いて探すことにした。その為には、先ずこの臭い場所から降りる

事にした。珠美は上半身裸、藍子は下がすっぽんぽんの出で立ちで、岩場から

降りていった。

 

もう少しで海辺に降りることが出来る、その時、藍子が突然悲鳴をあげた。

藍子が指さした先を見ると、男が倒れていたのである。男は、三平であるが、

藍子達は当然知らないし、無人島で誰もいないと信じていただけに気味悪がった。

「し・・・死んでるんか?」

珠美が尋ねると、藍子は顔をぶるぶると振るだけだった。

先ほどまでのおふざけも、一気にどこかへ飛んでいった。そして、怯えながらも

倒れている男に歩み寄り、生死を確かめようとのぞき込んだ。

どうやら外傷は無いようで、見ただけでは分からず、二人は顔を会わせる。お互いが、

拒否している。

珠美が藍子を前に押し出した。先ほどまでの甘えたもこの時だけは、押されて仕方なく

男の傍にしゃがみ込んで、手首の脈をとった。准看とは言え、慣れた手つきで脈を

とると、生きていると珠美に伝えた。珠美も生きていると分かれば、げんきんなもので

お姉さんに早変わりである。

小柄な三平だったことが幸いして、何とか二人掛かりで岩場から男を運び出すことに

成功して、近くの木陰に寝かすことが出来た。夏とは言え、濡れた服のままでは

良くないと判断をして、二人は男の服を脱がし始めた。

トランクス一枚まで脱がしたところで、「これ、どうしようか?」と藍子に聞いた。

「けが人に、同情は禁物や。それもぬがさなあかん」

「ほんまか?」

「うん・・・・・、たぶん」

いい加減なものである。恐いもの見たさで、言っている気がしないでもなかった。

藍子が積極的になり、三平のトランクスをはぎ取り裸にした。そして、衣服を乾かす為に

木の枝に干すことにした。外傷もなく意識不明の男を裸にして、丁寧に身体を拭いた後、

藍子も珠美も処置に窮した。

このまま放置するわけにも行かず、かといって、男が気が付いたときに二人の姿は

恥ずかし過ぎる格好なのである。

倫子の捜索とけが人の面倒と二つのことを、解決する必要がある。

二人とも困り果てて、動こうとしない。喉も渇いてきたし、お腹もすいてきた。

「そうや、この人の荷物がどっかにあるんとちゃう?」

「探してみよか」

「藍子、ここで見張りしといてぇな」

「いやや」

また、藍子のいややが始まった。これが始まると、珠美にはお手上げである。

おまけにお尻丸出しで、探しに行くのは嫌やと言い、ジーンズまで取り上げられて、

珠美は裸で見張りをするはめになった。

「こんなんでレイプされたら、藍子のせいやで!! そん時は、覚悟しときや」

「何ゆーてんの。命の恩人つかまえて、犯す男はおらへんわ」

冗談か本気か分からないことを良い残して、藍子は男の荷物探しに出て行き、

裸の男女が残った。あれほど恐がりの藍子も、洞窟を出ればこの通り元気な

ものである。直ぐに藍子の姿は見えなくなった。

さっさと服を着せれば良いものを、好奇心からか男を裸のまま寝かしている。

するとどうしても、気になるのはちんちんなのは、自然の摂理であり、珠美も

例外ではない。幸いここには一人だけだし、そーっと触れてみた。

珠美には、それが大きいのか小さいのか判断は出来ない。男性経験はあっても、

手で触れたことがなかったから、触れたときの柔らかさが不思議に思った。

一度触って男の反応がないことで、安心したのか今度は大胆に握ってみた。

病人相手にこんな事をしても良いのかと、少しは良心が痛んだけれど、

珠美は中止することが出来ず、いろいろと試してみる事を止めることが

出来なかった。その内に、それはどんどんと膨らみ始め大人の形になって、

おちんちんとは呼べない形になった。顔を見ても気が付いている様子はない。

少し恐くなり触ることを止めたが、それは陰毛の中から大きく飛び出して

珠美の悪戯を咎めている気がした。

そっと、珠美自身の花びらに指を添えると、ヌルリとして蜜が零れだして

淫乱な気持ちに火を付けていることを隠せないでいた。

藍子に早く戻って貰わないと、犯されるどころか犯してしまいそうな

危険を珠美は感じていた。珠美の心の中に、これほど危ない心が棲んでいたとは、

珠美自身意外な思いで驚いている。大人のおもちゃで遊んだことはあるけれど、

これは決しておもちゃではなく、生きた人間なのだから。

指を股間に張り付かせながら、自制心が薄れて指を使い、クリトリスに刺激を

与え続けている。

「おねがい。目を覚まして!!」

勃起したペニスの前で、心の叫びを口にした。

もうダメ、と男に跨ろうと立ち上がったその時、藍子の声を耳にした。

「あったー・・・・、荷物、見つけたよー」

遠くから、藍子が叫んでいる。間一髪のところで珠美は、靄から抜け出し、

ふらつく足取りで藍子の声が聞こえる方へ歩み寄った。

「なんやなんや、どうしたん?」

泣きつく珠美に藍子の方が、ビックリしていた。

珠美の谷間の匂いと勃起してペニスを見て、藍子は状況を察知した。

「しゃあないやん。うちも好きやし、気にすること無いやん」

持つべきものは、やはり、友であり、藍子の顔を見て珠美は大声で泣き出した。

男の傍で、珠美の泣きやむまで藍子は珠美を抱いていた。すると、寝ていた男が

「うっ。」と屈声を出したかと思うと、意識を取り戻し頭を抱えながら起き出した。

様子を心配そうに二人が見ている前で、裸にされた三平が上半身を起こして、

ここはどこだと藍子に声を掛けた。

まだ、肌になっていることに気が付いていないようだった。

珠美が背中に隠れ、藍子は掻い摘んで状況を三平に話し始めると、そうかそうかと

相槌をうち意識がはっきりとしてきたようだった。

 

10.捜索隊

 

裸でペニスを勃起させていることなど、どこ吹く風で三平は笑いながら、

足を滑らしたところまでは記憶にあると言い、二人に礼を言った。

まあ普通の男なら、裸で女二人の前で剥き出しにしていれば、それなりの

反応があるところだが、並の男じゃないのである。ましてや、珠美は全裸である。

平然として、三平は全裸のまま藍子達の話も聞き、三平も相棒を捜す必要が

あるから、三人で探そうと言った。

いつまでも萎れない三平のものが、珠美には不思議に映ったが言い出せるわけが

無い。寝ている間に弄っていたなどとは。

藍子が見つけた三平の荷物を差し出すと、中から食料を出して、藍子と珠美に

食べるようにと手渡した。

三平は、枝に干された服を着ると二人に向かって、出発だと合図をした。

全裸の珠美がいるというのに、その事には一切触れず無視しているかのよう

見えたが、「この天気だし、裸でいるのも気持ちがいいだろう」と、

あっけなく言い放った。

珠美にしても、良からぬ事をした後ろめたさも手伝い、さばさばした三平の

態度に開き直って、裸のままで覚悟を決めた。

そうなると、藍子は服を着ていることにかえって恥ずかしく感じたが、

まさか、進んで脱ぐわけにも行かず、奇妙な捜索隊の結成と思った。

三平は、最初に相棒のクルーザーを接岸した場所へ向かうことにした。

 

目的地までは道らしきものはなく、藪や林の中を通過し、岩場もある、とにかく

大変な道のりだと三平は説明をした。

ちょっと大げさに聞こえたが、真偽のほどを確かめる術もなく信じるしかない。

三平は二人を裸にして、と言っても珠美は初めから裸であるが、腰に縄を通し

股にも掛けた。番犬なら首輪がいるが、盲導犬なみである。

危険な場所もあるので、万一のためだと説明を付けたが、藍子には納得が

行かない。珠美がされるがままなので、仕方なく従うことにした。

四つん這いにされないだけましだと思うことにした。ところが、そうは行かない。

三平は目印を付けておくから、お尻を出すように二人に言い、魚釣りの浮きを

なんと肛門に差し込んだのである。

蛍光塗料が塗ってあるので、目印にはもってこいだという。

 

準備が出来ると、二人の分の縄を手にして三平は歩き始めた。

その姿は、まるで2匹の犬を散歩させている飼い主にも見える。少しでも違った方へ

歩こうものなら、後ろから縄を引っ張られ股間を通る縄に伝わり、割れ目に刺激が

来るのだから自然と足が止まってしまう。

三平の説明どおり、大変な道だった。林の中と言っても道はなく、三平が迷わず

案内できることが不思議なくらいだった。中には、腰の背丈ほどもある草藪を

通ることもあった。先の細い草が脚の間に潜り込むと、やらしい草が割れ目やお尻を

擽るように入り込んできた。そんなときは、後ろから三平が裸だから慎重になって

安全だと、笑って説明をした。

どうやら草藪も抜けて、藪を出たところには川が流れていた。

どうするのかと、振り返って三平に尋ねると、三平曰く、川などこの島には

流れていないと言う。

おそらくは、あの雨で何処かに雨が大量に貯まり、川になって海に流れ込んでい

るのだと考えるしかなかった。

 

しかし、ここは渡るしかない。問題は、その方法である。

同時に、三平と藍子が裸の珠美を見る。珠美は直ぐに察知して、嫌やというが、

藍子のようにはゆかない。何で藍子の”いやや”が通じて、私のは無視されるのか

おかしなものです。

「うちが渡れても、お二人はどうすんの?」

ちょっとした反撃を試みた。しかし、三平に逆襲をされてしまった。

つまり、三平がロープを取り出し、その端を向こう岸に括り付けてくるのが

珠美の役目というわけである。珠美の意志などお構いなしに、どんどん支度が

進んで行く。

鵜飼いの鵜に珠美をしようと企んでいるようだ。付けている縄の点検を始めた。

きつくして動けなくなるのも困るし、かといって、緩んで外れては何にもならない。

腰の具合はどうだ、やれ股はきつくないかと、弄くりまわすものだから、

珠美も堪ったものじゃない。三平はなにやら楽しそうにしているし、藍子は目の前で

にこにこしてみていた。

川に入ると、以外に流れが緩いのでどうにか泳げそうだった。三平がロープを

操り絡まないようにしているので、手足は不自由なく動かせる。

鵜がカエル泳ぎというのもおかしな話だが、珠美はそれしか出来ないので、これも

仕方がない。足を開く、縄が食い込む、足を閉じる、擦れて妙な気分になってくる。

幸い痛みがないので我慢をして泳ぎ続けた。対岸に着いた頃には、ぐったりしていた。

 

こうして無事に川も渡り終え、クルーザーの接岸場所までたどり着いたが、

そこには一艘の船もなかった。藍子達が来た場所と同じだったので、三平に聞くと

一日違いで来たことが初めて分かった。

クルーザーが無くなっていることから、三平の相棒はこれで避難したと思われる。

しかし、あの豪雨の中無事に避難できたかどうか疑問が残った。倫子は一緒に行った

のだろうか、それとも、この島のどこかで泣いているのだろうか。

一つの疑問が、次の疑問へとつながり次々と疑問が浮かび、不安は増すばかりだった。

俄捜索隊の隊員も疲れが出てきて、二次遭難になっても拙いので今日の捜索は中止を

して、明日に体力を備えることにした。

さすがに男性がいると、何事もテキパキと進むもので、あっという間に野営の準備が

整った。焚き火の用意やら夕食の用意ができ、空腹感が無くなれば疲れが表に出てきて、

軽い眠りに落ちていった。電気という文明から隔離されると、自然に暗くなれば眠り

陽と共に活動を開始してしまう様だ。

三平と藍子は、熟睡しているようで、焚き火の近くで肩を並べていい気なものだった。

珠美一人、うとうとしても肌に当たる海風に起こされて、遂に寝ることを断念して

浜辺まで歩いた。

時刻は分からないが、夜空は満天の星だった。裸のまま浜辺に座り、美しい星に見とれて

いると、一粒の流れ星が見えた。珠美は流れ星に願い事を使えようと手を合わせ、

倫子を助けてあげてと呟いた。

「なくな!! のりこーー」

今度は大声で海に向かって叫んだ。叫び終わるといつもの珠美に戻っていた。

 

11.漁船の航路

 

舳先で首の鈴が並に揺られ、心地よい音色でちりんちりんとなっている。

催眠術にでもかかったように、鈴の音に誘われてうとうととし始めた。夢心地で、

 

こっくりしていると昨夜の続きが蘇ってきて、褌の中を湿りが零れ始めていた。

餌皿を空にして、はしたなく気絶をした純江が意識を回復させると、目にしたものは

あぐら座りの中からそそり立ったペニスだった。

純江の誤解がこの後、痛い目に会うとは知るはずもない。純江は、許された気持ちで

良三に尽くそうと思い痺れたままの下肢を引きずるようにして、その棍棒に手を

伸ばした。手に余るような堅い骨のような肉を、握りしめると悦ばれると信じて

口を近づけようとした。その時のこと、いきなり良三の手が純江のお尻に伸びて、

きつーい一撃が来た。純江は何がなんだか分からず、臀部を襲った痛みに声を

上げそうになった。辛うじて悲鳴を飲み込んだが、その後の良三のした行為は、

ますます純江を混乱の中に陥れた。

立ち上がった良三は純江の両足首を持ち、逆さ吊りに持ち上げ小屋の窓枠に

縛り付けたのである。純江の知識では、射精のお手伝いをすることは悦んで

貰える行為で、慣れないまでも思い詰めた結果の行為だった。

 

逆立ちに吊されただけでなく、逆大の字にされて気絶するまでお尻をぶたれ

続けた。平手で何度も何度も叩かれ、悲鳴を出せば出すほど強く叩かれた。

何度目の事か記憶にないが、ついには失禁をしてしまい、噴水をあげて気絶

したらしい。らしい、と言うのは本人の記憶が無いのだから仕方がない。

次に気が付いたときには、逆立ちのまま蕾の皮を剥がれた上、刺激を受けて

開ききった割れ目に攻撃をされた。良三の太い指で体内を掻き回され、狂い

ながらも採寸されていたような気がする。朧気ながらも逆さにされて、

下から勃起した良三のペニスを見て、何れこの身で受け入れる日が来ることを

夢の中で信じていた。何度気を失ったか開放されたときには、一人で立てず

蹌踉けながらも無理矢理帰宅を強いられた。

 

「こんな海で何をしているんだ」

良三は漁を邪魔するなと言わんばかりに、誰にともなく叫んだ。

純江は突然の大声に引き戻されて、うたた寝から起きあがったとき、股間の布は

シミだらけの状態だった。そして、良三の目線の先に一艘の小型クルーザーが

洋上で漂流していた。

良三の向かう漁場はもう少し先だったが、こんなところで遊んでいるクルーザー

に腹立たしさを感じ、表情が怒りを物語っていた。

人目に晒すには恥ずかしすぎる。純江はこのまま離れていって欲しいと祈る気持

ちで、良三の様子を伺っている。純江の願いとは異質なものにしろ、結果は

同じで漁船の速度は落ちることはなかった。

ほっと胸をなで下ろし、その場に伏せるようにして近づくクルーザーを見つめて

いたが、一瞬この目を疑った。

猫が犬を不審がるのもおかしな話だが、どう見ても全裸の女性が犬に見えた。

海上になれていない純江には、相手の船までの距離なんて分かるはずがない、

随分と離れているように感じたが、不思議と犬の顔まで読み取れた気がした。

穏やかで優しそうな表情をしていたのです。純江には、そう見えた。

 

太一は遠くで小型船舶のエンジン音を耳にしていた。その音は確実に近づいて

いることを確信するとキャビンから乗り出し、デッキに立った。

デッキには放心したような顔で倫子が座っている。太一の姿を見ても瞳に反応は

なく、まるで置物のように動かないでいた。今、取り立てて騒いでみても仕方が

無いと考え倫子のことは、そのままにした。

太一は裸のままだったがデッキで仁王立ちのようにして、近づく船舶を凝視し、

それが漁船であることを確認したのである。漁船をみて、操縦している男の様子

を確認できると、救助を求めるどころか顔を背け倫子の方を見た。

赤い首輪をつけロープで手摺りに繋がれた倫子は、太一と目線を会わせると

嬉しそうに微笑みを返した。微笑む表情をしながらも、その瞳の中には悲しみが

潜んでいるように太一には感じられた。

倫子は四つん這いで太一の側にゆっくりと移動して、足元でへたり込むように

倒れた。お尻には、いいえ、肛門に差し込まれたロープが、ひくひくと揺れて

いる。身体を動かした弾みで、ロープに刺激されて肛門が動いただけかも

知れない。

太一はそれを見て、ペニスを勃起させた。萎えてぶら下がっていたそれは、

倫子の前で確実に固く上を向き始め、頂点に達したとき倫子の口元に近づけ、

口に含ませた。幸せそうに倫子は吸い付き、口に含んだままで目を閉じた。

 

良三は漁船を操りながら一部始終を、遠くからではあるが見ていた。

遭難しているのか、楽しみの最中かはっきりしないが、いずれにしても漁船を

停止する気はなくクルーザーに接近することなく、漁場へと急いだ。

ふんどしの猫は、お尻を濡らしたまま舳先で寝そべっている。

一瞬良三の顔に笑みが浮かんだが、直ぐに元の無表情な顔に戻った。

 

12.帰路

 

朝は三平の確保した新鮮な魚介類でお腹を満たし、相変わらず裸で三平の

お供のようにして倫子の探索を続けていた。小さな無人島とは言え、人一人

道無き場所を探すことは並大抵のことではなかった。

操作犬のように鼻が利くわけでもなく、倫子の匂いを嗅ぎ分ける事なんて

出来るはずはない。泣き虫の倫子が一人で遠くまで行くとは考えにくいので、

別れた場所の周囲や、荷物の置いてあったところに的を絞って、何か手かがり

が無いかと探した。

あの豪雨で落とし物があったとしても、流されてしまった可能性が高く、

地面に鼻を擦り付けるようにして、探したが何も見つからないまま、時間が

過ぎ陽が暮れた。日が暮れるとどうしようもなく、疲れ果てて寝ることになる。

珠美もこの夜は、熟睡していた。翌朝も三平が食料を見つけてくれて、有り難く

餌にありつくと活気が戻ってくる。

普段は服を着ている三平も、朝の食事時だけは、惜しみなく全身を二人に

晒し、今朝など藍子の目の前でペニスを大きくするものだから、大喜びの

藍子だった。と言う、珠美も例外じゃない。

長く一緒にいて、特に隠すものがこれ以上ない裸でいると、羞恥心も薄れて

行く気がする。気がするだけで、完全に無くなるものではない。

平気で珠美の前でうんちをした藍子も、流石に三平の前では、いややが

連発するようだ。十分に食料を与えられ、運動もさせられれば、出るもの

は拒めない。

しかし、困ったことに大抵は三平にロープで繋がれているので、隠れてする

のは無理なのです。恥ずかしくても、したいと言い出すしかなく、それも

”したい”だけでは惚けられる。はっきりと何がしたいのか、言わされるのであ

る。餌を恵んでくれる三平には逆らえない。

何度も繰り返している内に、藍子も躊躇いもなく、うんちがしたいと平気で

口にするようになっていた。躊躇いがないことが災いして、ある時、藍子の

口から出た言葉がなんと、ち○ぽがしたいである。

三平は大笑いをして、今は無理だというと、藍子が気が付いて真っ赤かの

お猿さんになった。倫子の捜索をしながら、なんと不埒なヤツだ。

珠美も似たようなものだから、笑うわけには行かないので笑いを堪えるのに

随分と苦労をした。

 

遂に倫子を発見できず、無人島での最後の夜が来た。

明日は、約束の漁船が迎えに来るはずだった。その夜は、いつもと違い日が暮れ

ても三人とも寝ようとはせず、三平も協力をしてくれた。

藍子の失言様々で、二人とも三平に長い時間お世話になり、心身とも満足をして

眠りについた。

翌日、裸の女二人を従えて三平は、漁船を待った。

漁船にはふんどしをした女性が舳先で寝そべっていたが、三平は無視をする様に

良三と話し込んでいる。藍子と珠美は一足先に漁船に乗り込み、珍しそうにして

首に付けた鈴を見て、猫の側で待っている。

三平が良三に経緯を話すと、「わかった」と言い、三平を乗せて無人島から

漁船を出発させた。直ぐに、藍子たちにも話をして安心するように言った。

 

13.猫と犬

 

S県の小さな漁村、人口は僅か百人程度で村全体が親戚同然の付き合い

をしていた。山辺の両親がこの村に住みついた頃は、なかなか村人が

受け入れてくれずに随分と苦労をしたようだ。もう、あれから数十年の

月日が流れているが、未だに山辺家は村人から疎外されたままでいる。

村には昔からの網元である瀬賀家が、今なお村を取り仕切っていた。

良三の両親と瀬賀家とは何やら因縁がありそうで、村人に聞いても誰一人として

口を開こうとはしない。そんな瀬賀家の一人娘が、純江だった。

村人の大半が、瀬賀家には何らかの世話になっているので、良三とも余り

親しくしようとしない。そんな村にあって純江だけは幼い頃から、良三に

懐き、親の意見などどこ吹く風で、無邪気な顔で良三にまとわりついていた。

瀬賀家の主人、喜助は一人娘の純江には弱いらしく、良三に近づく純江に

快く感じていなくてもきつく咎めることが出来ないでいた。

娘も成熟してくると、父親には手に負わず何時しか遠い存在となり、親離れを

して反対を押し切って村を出てしまったのである。

そんな純江なので、戻ってきたときには喜助も大喜びだったが、戻るなり

良三のオンボロ小屋に入り浸りになり、困惑していた。

 

良三の漁船が漁港に戻ってくると、客人をオンボロ小屋に案内をして、

ここで待っているように言った。三平の話を聞いて心当たりがあるから、

救助に行ってやると言う。

「宜しくお願いします」

珠美と藍子は声をそろえて、頭を下げた。

「何もない、オンボロ小屋だ。何でも好きに使えばいい」

ぶっきらぼうに言うと、良三は小屋を出て支度を始めた。

「純江もいきたい・・・」

「ダメだ、ついてくるな!!」

きつい口調で突き放し、三平に向かって一緒に来てくれと言って二人して、

小屋を出ていった。

 

藍子と珠美は裸のままだった。誰一人として、裸の姿を見て何か着せてやろうと

いうものもなく、また、それを不審に思いもしない。自然に受け入れてるいるこ

とが、二人にとっては有り難かった。

そして、二人は囲炉裏の側に座り、純江の様子を見詰めていた。

首に大きな鈴を付けて褌をした純江に、二人とも親しみを持っていたので、

可哀想になり「一緒にいましょ」と、肩に手を掛けた。しかし、純江は小屋から

飛び出し軽い身のこなしで小屋の屋根へ駆け上がっていった。

どうやら小屋の屋根から、良三の漁船が出港するのを見守るようである。

裸でいることに馴染んできた二人、こうして人の住む場所にいると、次第に

恥ずかしくなり、小屋の中を何か無いかと探し始めた。

殺風景な小屋の中だったが、これでも人が住んでいるのだから何もないわけはない。

見つけたものは、良三のものと思われる服だった。身につけてみると、上着だけ

で十分隠すべき所は隠すことが出来る。

これで普段の生活に一歩近づいた事を感じて、少し寂しくもあった。

無人島で生まれたままの姿で過ごし、違和感無く楽しんでいたことが夢のように、

時間が過ぎ人と触れ、日常の生活に近づくに従い二人とも少しずつ、羞恥心が

表面に出てきていることを悟っていた。

小屋の外に出て部屋を見ると、屋根の上には純江の姿はなく、不審に感じは

したものの、純江を探す気は起こらなかった。

良三の帰りを此処で待つことにした。藍子は落ち着かないらしく、暫くうろうろ

していたが、窓の外を覗いて言った。

「あっ。たまみ、こっから漁港がよー見えるわ」

「うん」

「のりこ、大丈夫やろか?」

「うん」

「あっ、あれ、すみちゃんやわ。なんか男の人と話してる見たいや」

「うん」

窓から見える様子を藍子が説明しても、珠美の返事は、「うん」ばかりで

次第に会話が途切れてしまった。暫くすると、純江が戻ってきた。

純江は二人のために家に戻り、洋服を見繕っていたという。

差し出された服は純江の服で、素直に受け取り、礼を言った。現代の姿に

戻った二人はますますじっとしていられず、漁港で待つことにした。

 

埠頭では、漁師の家族が慌ただしく港で働いていて、活気づいている。

漁船が戻るたびにかけ声が上がり、水揚げした獲物を次々と始末している。

遠くには海遊びに来ている様子も見えた。

その後も、漁船が入港するたびに期待をしたり落胆したりして、数時間が

瞬く間に過ぎた。そろそろ陽が海に沈む頃、ようやく待ち望んだ漁船の陰が

見えた。藍子と珠美は息をのんで接岸するのを待っている。

いくら探しても漁船の上には良三の姿しか見えず、心配そうに二人はお互いの顔

を見合ったが、共に声が出なかった。

良三は普段と変わらず漁船を接岸して、急ぐともなく、いいえ、ゆっくりした

動作で岸に上がった。駆け寄る二人の不安顔など無視するように、一通の封書を

差し出した。

「三平さんという男から、これを渡すように頼まれた。」

それだけ伝えると、さっさと漁船の後片づけに戻った。

藍子がそれを受け取り、中には今ひとつの封書、そしてメモ書きと現金が入って

いた。

「何?何が書いてるん?」

「ちょ・・・・ちょっと、待って・・・今、読むから」

 

二人が手紙に集中している間に、一人の初老の男性が良三に近づいた。

「良三さん」

良三が後片づけの手を止めて、顔を上げるとそこにいたのは、瀬賀喜助だった。

「瀬賀のご主人が、何のご用ですか?」

「儂んとこの一人娘を返して欲しいのだが」

少し間をおいて、良三は静かに言った。

「はて?返すも何も、すみちゃんを奪った憶えはないが・・・・、連れて帰る

というなら、いつでも好きなときに連れて帰りゃいい。」

良三は続けて、「最近住みついた猫が腹を空かして待ってるので」、そう言って

無愛想にすら見える態度でオンボロ小屋へ帰っていった。

 

村のバス停は、海岸沿いの狭い道路にベンチを置いてある。多少の雨なら

しのげる程度に屋根もあり壁には時刻表が貼ってあった。

藍子と珠恵の二人だけがベンチに腰を掛け、最終バスを待っていた。

良三に手渡された三平のメモを、もう一度読み返していた。

「おふたりさんへ

探す倫子さんは無事だ。『何も心配をすることはない』と言っても、無理かも

知れない。しかし、無事だという事実は信じて欲しい。

倫子さんからの伝言を同封するが、出来ることならその通りにしてあげて

下さい。いつの日かきっと、お二人にはきっと、改めて連絡をさせましょう。

なお、同封の現金は遠慮なく使ってくれれば幸いです。

あっ、そうだ。珠美さんには犯されかけましたが、残念でした。

三平より」

 

もう一通の伝言はこうだった。

「あいこ。たまみ。

ごめんね。誘拐されたわけじゃないので、安心してね。

ただ、一緒にいる太一さんについて行きたいの。ホントにごめん。

きっと、藍子と珠美にはいっぱい迷惑をかけることになると分かっています。

でも、でも、お願いですから、倫子を助けると思ってこのまま行かせて下さい。

        倫子より」

 

短い手紙だった。あの泣き虫の倫子が何を思い、これを書いたのか二人には

分からない。分からないけれど、仕方のないことだと感じていた。

最終バスが海岸沿いのくねった道に遠くに見えた。見えては隠れ、次第に近づい

ているのがわかる。

「あいこ・・・・、うちも帰りたないわ・・・」

「あほ!!」

「あほ・・・でも・・・ええ」

「うん」

「のりこ・・・泣いてへんやろか?」

「うん」

バス停の前に古びた最終バスが停車をした。そして、扉が開いた。

 

14.そして

 

夏のバカンスはこうして終わり告げた。

何が幸せなのか?

変態と呼ばれようがへっちゃら。

しかし、寂しくなることもある。

他愛もない馬鹿馬鹿しい妄想なのでしょう。

今、倫子がいなくなり、珠美と藍子が誕生した。

さて、何時までも倫子に関わっている暇はありません。

なにしろ、美紀のこともあり、恵子も見つけだして

様子を聞く必要があるのですから。

では、この辺で一足先に旅立つことにします。

 

 

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