マリコ 

 ウンターメンシェ

その1

 

 夏を前にしたある日のこと、私は憂鬱な気分で電車に揺られていた。

 私の左腕には肩から手首にかけて包帯が巻いてある。

 それは、二週間ほど前に、誤って火傷をした後だった。火傷の痕はまだ完全には癒えず、じくじくとうずいている。

 巻いている包帯は、湿度を吸って気持ち悪く、傷口はじわじわと痒い。

 たまらなく不快だった。そのうえ、この痕は完全には治らない。

 夏に水着を着ることも、袖の無い服を着ることも諦めなければならない。

 私は自分を襲った理不尽な運命に苛立っていたのだ。

 そんなある日、

 毎日包帯を替え、薬をもらうために通っていた病院で私は男の人に呼び止められ、一枚の名刺をもらった。

会社の名刺だ。男は岡倉という名前らしかった。

 略してミッドメドと言うその会社は主に代替器官、つまり人工臓器の開発をしている会社だという話だった。

 その会社で新しく開発をした人工皮膚を見に来てくれないか、という話だった。私は興味をそそられた。充分な面積の皮膚があれば、私の火傷は治るのだ。

 しかし、当然高価格な筈だった。

 そう、と岡倉は言った。しかし、わが社の宣伝に一役買っていただければ、無料で、提供しますと言われた。

 ミッドメドのビルは、都心にあるかなり大きなオフィスビルを10階分借りている、立派なものだった。

 私は受け付けで名刺を差し出した。しばらくすると、岡倉が現れた。

 エレベーターは耳がつんとするほどの早さで、たちまち私と岡倉を持ち上げた。

 樫のドアの向こうにあった窓の向こうには皇居の緑。そして珍しく富士山。

 木製の、クイーンサイズベッドほどもあるデスクがある。応接室ではなく、岡倉のオフィスらしい。

 大理石のテーブルを挟んで私たちは向かい合って座った。どこまでも沈み込んでいくような、バターのように柔らかな革のソファ。

 岡倉は自分の手でベノアの紅茶を入れてくれた。私は圧倒されっぱなしであった。

 暫くの世間話、といっても、話題などはない。岡倉が何もしないのに壁の一部が開き、スクリーンが現れた。

 会社の概要。人工皮膚や人工骨、人工筋肉など、未来のものだと思われていた技術が現代のものになっているのに、私は素直に感銘を受けた。

 ビデオが終わって、本題が切り出された。

 「このようにわが社の製品は大変に優れています。しかし規制の多い日本では何かと理由を付けて認可がおりません。そこで、わが社の技術力をアピールして民間からの要望を増やし、認可を下りやすくしたいのです」

 と、岡倉は言った。

 「なるほど」

 「しかし、我が社の製品は、人間の外見を何も変えず、むしろ元通りにするためにあるので、アピールしにくい点があります。そこで、技術的デモンストレーションとして人間の外見を全く変えてしまおう、と計画しました」

 「何に変身すればいいのですか」

 「犬です」

 「犬?」

 「はい。外見的には完璧な犬が、実は人工皮膚で変身した犬で、言葉を喋ったりすればとてもいいデモンストレーションになると思われるのです」

 「犬ですか・・・・」

 「おいやですか?」

 「犬はちょっと・・・・」

 私は断った。見世物になるのはいやだったし、犬とは恥ずかしすぎる。第一元に戻れるのか。

 岡倉はもっともだといい、一つ一つ説明してくれた。

 確かに見世物だが、外見を完璧に替えるので、絶対に素性が気づかれることはない。恥ずかしいのはわかる。だから、代償を払う。もちろん左腕をのぞいて完璧に元通りになれるし、希望すれば気に入らない部分も整形してくれると言う。

 

 私は考えさせてくれ、と言って自宅に戻った。

 その晩は特にじめじめしていた。

 私は寝付かれなかった。

 火傷のかゆみが増し、つい、掻いてしまうと薄皮が包帯の下で破れたのを感じる。更に湿気が増していた。

 私は、決心した。二週間、犬になろうと。

 

 その2

 

 私の決心は歓迎された。早速、契約書にサインし、ミッドメドと契約している病院に移された。

 私は、女ばかりの手術チームに引き渡された。

 リーダーの女医は、女にしては筋肉質で、冷たい感じがした。

 私はまず、シャワー室で徹底的に身体を洗われた。そして、女医の手で、検査をうけた。

 女医は私の体中を撫で回したり、押したり、つねったりした。その手つきは、何となく私を愛撫しているような気がして私は少し寒気を覚えた。

 更に私はアレルギーなどの検査を終え、いよいよ手術室に入った。

 「この顔ともしばらくお別れですね」と女医はいった。

 まず私は全身に医療用の強化プラスチックで出来た外骨格を取り付けられることになった。

 外骨格は不自然な状態の私の骨にかかる負担を軽減することと、身体のラインをなるべく犬に近づけることが目的である。

 外骨格は私の身体を檻のように包み込んだ。私の肉体は、自らとともに動く牢獄に閉じこめられてしまったようだった。

 次に、下腹から胸の下までをおおうカバーを取り付けられる。

 そして私は人工皮膚で出来た全頭マスクを被ることになった。

 ピンク色のそれは、私の皮膚にぴたりと張り付き、皮膚呼吸を損なうことなく新陳代謝を代行する。つまり、私の素肌の状態を少しも悪化させないかぶりもの、というわけだ。私は目鼻と口だけ開いたピンク色の坊主頭となった。

 四つん這いの人間と犬とを前から見た場合の第一の違いは、幅である。人間はどうしても前から見た場合の幅がありすぎる。しかし幅を狭くすることは出来ないので、なるべく首から肩の線を消すためにコラーゲンで出来たパッドを首の両脇に張り付けられた。

 つぎに、犬と比べて人間の両腕は足との比率が大きすぎる。それを解消するためと、四つん這い時の負担をなくすために、私の両腕には、医療用プラスチックで出来た、腕を延長するための義肢が取り付けられる。

 私の両腕は奇妙に長く伸び、上半身はピンク色の様々な物体に覆われていた。上半身で覆われてないのは乳房だけである。

 顔の前には犬の鼻と口を模したものが取り付けられた。

 最終的に毛皮が張り付けられるまで8時間もかかった。全ての動きは優しく暖かで、私は最後の方になると居眠りをしてしまっていた。

 私が起こされたとき、上半身はすっかり完成していた。まず、目を開くと視界のすぐ下から、黒と茶色の短い毛に包まれた犬の鼻が伸びていた。

 私は、思わず顔に手をやったが、それには非常な努力を要した。背を丸め、顔を下に向けて、不自由な、今や前足となった手を上に持っていかなければならなかった。更に前足には犬のそれとそっくりな肉球と、黒い爪が伸びていた。

 「鏡で見てみる?」と女医が言った。

 私は頷いた。

 鏡が差し出された。そこには、上体を起こし前足を前につきだした完全なドーベルマンの姿が映っていた。

 私のお腹は完全に短い毛で覆われていた。

 私は思わずおびえた。

 こんなに近くでドーベルマンの姿を眺めたことはなかったのだ。

 しかし、目だけは私のものだった。

 完全なドーベルマンが目だけ人間の形でそこにある。

 「上半身はこんなもの、出来はいいでしょう?」

 「はい」

 私は返事した。

 美しい犬だった。私は段々と自分の姿になれてきて、首を左右に振って鏡を眺めてみた。

 犬だった。犬なのだ。

 今の所、まだ犬の顎は私の顎と同調せずに動いているけれども。

 私は腕を降ろそうとしたけれども、無理だった。

 その前足を、女医は握って上下させた。

 「全ては18時間で、完全にあなたの身体になじむはずです」

 「はい」

 「18時間後に、下半身の整形を開始します」

 「わかりました」

 鏡が、大きなものと交換された。そこに映ったものは。

 ショートパンツを穿いた女の下半身が横座りに座っていた。

 そして上半身は前足をつきだしたドーベルマンだ。全く奇妙な光景だった。

 私は、慣れ親しんだ私の下半身を、始めて場違いなものと感じていた。自慢できる腰から足首までのラインも、今となっては毛無しの犬の、妙に色っぽい曲線に過ぎない。

 神話に出てくるような化け物の姿を私は恥じた。

 早く、完全な犬になりたかった。

 私は、病室に移されることになった。

 

 ベッドで私は、横向きに寝るように指示された。すでに、外骨格のせいで人間のような仰向け寝は出来ないのだ。

 私は腰から下に毛布を掛けられた。その姿を見た女医が、頷きながら鏡を向けてくれた。

 私は本当に、ベッドに横たわったドーベルマンそのものの姿をしていた。

 妙な安堵感があった。

 でも、その皮の下には素裸の私が存在しているのだ。

 ぬいぐるみと言うにはあまりにもリアルすぎるかぶりものをした私は、思わず「私はどうなってしまうんでしょうか」と女医に尋ねていた。

 「18時間後には、毛皮から伸びた神経があなたの神経と繋がって、完璧な感覚を提供します。全てが終わった後には、あなたは自分が毛皮を被っているという感覚もなくなるでしょう。寿命は二ヶ月。今回は二週間ですから、何も心配はいりません。」

 「・・・・・・」

 

 18時間後、女医の言葉通り、毛皮はすっかり私の身体と同化していた。ぬいぐるみのお腹をさすられると、私は腹をさすられる感覚がして、ぞくっと身体を震わせた。

 「やめてもらえますか、」

 「何を?」

 「さするの。何か、ちょっと変な感じがして」

 「あら・・・・」女医は少し笑って、「ごめんなさいね」といった。

 どうもこの女医の私を見る目は人と違っていた。

 

 下半身の整形はお尻にカバーすることから始まった。犬のお尻は人間ほど割れていないのだ。そして、太股のラインを変えるために、カバーがされた。爪先にプラスチック製の犬の足が取り付けられ、皮膚に毛皮が張り付けられた。

 私はドーベルマンとなった。

  「立派な犬になったわ。これならどこのドッグショーに出しても優勝ね」

 女医は自分の仕事ぶりに満足していた。

 鏡に映っているのは、白衣を着た女医と、ドーベルマンだけだった。多少、足が長く、太いけれども。妙な犬だった。

 人工皮膚は完全に私となじみ、私は何も着ていないような頼りない感覚をしていた。この犬の皮は、特殊な処理がしてあって、私一人では脱ぐことが出来ない。

 四つん這いで歩くことの負担は、人工骨格が吸収してくれた。全く負担がないわけではないが、想像していたよりもはるかに楽ではあった。

 この犬の皮の下には何も着ていない私がいるのだ。

 私の面影を残しているのは足周りだけだった。でも、これではどうみても、私が中に入っているとはわからないはずだ。

 

 その3

 

 スタジオには沢山の人がいた。

 一番目立つのは、壁から床へとしかれた白い大きな布だ。カメラや、私にはわからない機械がいっぱいある。そして、テレビでいわゆるスタッフと言われている人達がいっぱいいる。

 スタジオの明るさと言ったら光で熱いほどだった。

 私は女医や岡倉と一緒にスタジオに入っていった。四つん這いの私が入っていくと、スタジオの喧噪が一瞬やんだ。

 私の動きをみんな、目で見ている。私はとても気恥ずかしい気持ちと、注目される快感が入り交じった気持ちになった。

 「おはようございます」私は元気よくいってみた。業界人はこう言うのだ。

 大きな返事が返ってきた。

 私はこればっかりは仕方がない、のたのたとした歩き方で白い布の上に立った。

 CMの筋としてはこうだ。

 私がステージの上を歩き回る。

 匂いを嗅いだり、お座りをしたりしてうろつき回る。画面上ではその度に、火傷や痣のついた人達が映し出され、それを治療するミッドメドの技術が映し出される。

 そして最後に犬だった私がかぶりものを取って、「本当の自分へ」と台詞を言うのだ。

 しかし、撮影は、どうしてもうまくいかなかった。私が、外見ほど犬に見えないと言うのが原因だった。

 そんなことを一方的に言われてはたまらない。

 私は犬の格好をしているだけで、三日前までは普通の人間だったのだ。

 ついに監督が怒りだし、岡倉も怒りだした。

 私も腹が立った。

 スタジオの雰囲気が悪くなってきたときに、女医が助け船を出してくれた。

 「仕方がありません、少し練習してもらいましょう」と言った。

 私は犬の格好が長引くことになったが、腹が立っていたのと、撮影が終わるまで今の格好でいることが契約の条件だったので、仕方なくそれを引き受けた。

 私は、しばらく女医の家でトレーニングを受けることになった。

 それが、私が人間だった最後になった。

 

 目覚めたとき、私は檻に入れられ、更に鎖のついた首輪までされていた。

 何か手違いが起きたのかと思った。

 私は檻に入れられていることが信じられなかった。それだけではない、鎖のついた首輪までされていた。

 不安が胸をよぎった。

 「誰か!」

 私は叫んだ。しかし、口から出ていったのは犬の遠吠えだった。

 何度叫んでも、犬の吠え声でしかない。

 誰かがやってきた。私を手術した女医だった。

 「マリコ、うるさいでしょ!しずかにしなさい」

 私は本名で呼ばれたことにショックを受けた。しかし、怒りが勝っていたので「何いってるの、ここから出して!」と叫んだが、その答えは酷いものだった。

「あなたのいってることはわからないわ」女医は檻の扉を開き、鎖を引いて私を連れだし、私の犬の鼻をひっぱたいた。痛みは直接やってきた。

 私は怒って、なおも吠えてしまった。すると女医は、私のお尻を平手打ちし始めた。

 その痛みは酷く、私は屈服せざるを得なかった。

 女医は私がおとなしくなったのを見て、再び私を檻にいれ、いなくなった。

 

 全ては手遅れなのだ。犬になってしまった私は、首輪をつけられ鎖で繋がれても文句の言えない立場に墜ちてしまったのだ。完璧な犬になるまでは。

 悔しさと後悔で涙が落ちた。

 私は狭い檻の中で後悔し続けた。

 

 その4

 

「マリコ、朝よ」朝が来た。

 女医が首輪の鎖を引っ張り、いやがる私を引きずり出す。

 私の身体を覆っている人工皮膚の部分を寄せて開くと、まるで穴が開いたように開き、穴の縁には寄せた筈のしわもなく、戻そうと思うまでは戻らない。

 どう言うことかというと、女医が私の身体を弄ぼうと思ったときには好きなところの皮を切り取ったように穴を開けることができて、用済みになると元通りに皮で覆うことが出来るということだ。

 女医は私のお尻を完全に露出させるのを好んでいる。

 これはもうかなり珍妙な犬だった。ドーベルマンの後ろ半分がくびれた女のウエストに続き、更に曲線を描いて膨らむ白いお尻と、太股に続き、そしてまた黒く短い毛に覆われた犬の足に続くのだ。

 最初にそうされたときに私はあまりの恥ずかしさに泣き出してしまったが、女医は容赦せず私のお尻を鞭でぶった。

 それはとても激しい痛みで、私にはとても我慢できなかった。

 顔はわからない、と女医はいった。それにお尻を露出させるのは二人きりの時だけだ、と言われて渋々私は従っている。

 

 私はまず排泄を強要される。確かに毛皮に覆われたままでは用は足せないのだが、問題は、用を足した後もそのままでいなければならないと言うことだ。

 (犬である間は恥ずかしさを捨てる)と言うのが私の覚えなければならないことだった。

 次にシャワー室で念入りに身体を洗われる。特に性器や肛門の周りは念入りに洗われる。全て女医の手を介して行われるのでとても恥ずかしいものだったが、手が使えない私にはなすすべもない。

 そして鞭を持った女医に「マリコ、庭へ」といわれる。

 私は女医の前に出てお尻を揺らしながら四つん這いで部屋を出て、庭へと先導するる。

 そうやって歩くとお尻は左右にくねくねと揺れ動く。そして私の後ろを歩く女医にはお尻の間の私の性器が晒されているというわけである。

 冷たい廊下の上を屈辱的なスタイルで這う恥ずかしさと無念さで、つい嗚咽が漏れてしまう。

 朝の散歩は女医の屋敷の中庭で行われる。朝の陽光を剥き出しのお尻に浴びるのはとても恥ずかしかった。日の光を身体に浴びてのたのたと地面を這い回り、その間にお手やお座り、チンチンと言った犬の作法を仕込まれるのだ。

 「マリコ、チンチン」

 そう言われると、私は直ちに上体を伸ばし、股を開き脚をM字型に曲げ、更に前足を顔の横まで持ち上げる。

 女医の指が股間に伸び、私の器官をいじる。

 四つん這いで、常にお尻を高く掲げていたり、露出していたりする生活が続いて、私の身体はすっかり性感が高まっていた。

 私の股間は、私の屈辱とは裏腹に喜んで女医の指を受け入れた。

 芸の出来た犬がエサをもらうのと一緒だった。

 (よくできるとご褒美がある)

 私は少しの快感と引き替えに恥ずかしいことをする身体にされつつある。

 達することは滅多にない。 

 女医の指は冷たく、私を感じさせようとはしていないことがはっきりとわかる。女医の指が引かれ、私は失望する。

 女医の目が私の目を見つめている。

 性器を触られるよりも、失望したことを悟られるのはもっと恥ずかしいことだった。

 私は満たされない気持ちのまま、中庭を歩き回らなければならなかった。身体の方は再び何か芸をするのを待っている。しかし散歩は終わった。

 散歩が終わると再び部屋に戻って、食事。

 私の犬の口は非常に良くできていて、直接物を食べられるのだ。ただし、私は常に女医の足下に置かれたペット用のボウルで食事した。常にボールは私の犬の舌で綺麗にされていた。そして女医の食べ残しが私のボウルに落とされる。私はそれも片づける。

 私は常に食欲がなかった。こんな生活では無理もないことだ。しかし、食事を拒むと、お尻を鞭打たれた上に無理矢理栄養をとらされるのだ。

 太い栄養浣腸をお尻の穴から注入されるよりは、犬のように物を食べる方がましだった。

 全てが終わると、女医は私のお尻の人工皮膚を戻してくれる。ただし、股間の大事な部分は穴が開いて露出したままだった。

 そうしないと一人では排泄できないのだ。

 そして私は心の惨めさと身体の惨めさをしょい込んだまま、女医が帰ってくるまで一人で放置される。

 

 その5

 

 その日、女医は帰ってくると私に鑑札を見せた。私用の犬の鑑札だった。

 鑑札は首輪に取り付けられた。

 私はすっかり犬としての身分を確立したと言うわけだ。

 「お散歩に行きましょう」と女医は明るくいった。

 私は久しぶりに女医に抵抗し、剥き出しのお尻を嫌と言うほど叩かれた。

 女医はその後で二本の棒状の物を取り出した。一目でわかるそれは犬の私にくわえさせるものだった。

 私は文字どおり後込みしたけれども、首輪を押さえつけられた。そして私はお尻の間にあいている二つの口で、ローションをたっぷり塗ったそれをくわえさせられた。

 「!」

 ぬるっ、と前の穴に侵入してきたそれは、言い様のない快感を私にもたらした。私は思わず自分から腰を動かしてしまって、慌てた。

 女医は私の股間の人工皮膚を閉じた。これで、二本の棒は私の体重の一部となったわけだ。

 「マリコ、おいで」

 私は首輪の鎖を引かれ、通りに出た。

 そこはビルに囲まれた裏通りだった。まだ人の姿はない。しかし100メートルほど先の表通りには人が行き交っているのがはっきり見えた。

 私の心臓はどきどきと高鳴った。

 見られる。この姿を見られてしまう。

 しかし私はドーベルマンなのである。普通に歩いていれば、まず正体を見破られることはない。しかし、私がくわえ込んだ二本の棒の存在が普通に歩くことを難しくしている。

 溜息が洩れた。

 くわえ棒は私とは違った動きを取る。四つん這いの足を踏み出す度に腹筋が動き、その度にズンッ、と痺れが襲ってくる。

 「ああ・・・・」

 どうしても足が開き、お尻が下がってしまう。

 女医が立ち止まり、わたしを見おろしていった。

 「どうしたの、マリコ。まるでお腹を下したみたいよ」

  でも・・・・・私の喉はきゅーんと言う声を発した。

 「きちんと歩かないと、きっと普通の犬じゃ無いってばれるわね。犬が四つん這いで歩くのは当たり前だけれども、女の子が犬の格好で外を歩くのは変態だわ」

 そんな・・・・・

 女医の言葉は私に突き刺さった。

 「きちんと自分らしく歩くのよ」

 振り返ると、鎖を曳いて歩き出す。私は自分らしく、お尻を高く掲げ、まっすぐに四肢を踏み出して歩き始めた。

 ヒールの音がビルの間に響き、鎖が鳴る。

 表通りに出た。人々は一瞬、怪訝そうな顔をして私を見た。そしてその目に映るものを理解した。

 犬・ドーベルマン。別にだれも私に注目したりはしなかった。夜に犬を散歩させることはよくあることだから。

 私は何か突き抜けてしまったような気がした。

 お尻と、その中心が熱い。汗が私の皮膚から人工皮膚へと抜けてゆく。短い毛に覆われた人工皮膚が、ねちりと音を立てる。

 !・・・・

 異物感でしかなかった股間の棒が急に熱を帯びたように感じた。

 私の神経は周波数を感じつつある。股間の棒ははっきりしないラジオのように、雑音を発しつつも明確な信号を私に発信している。私の穴はもどかしくダイヤルを回しつつ周波数を探っている。

 立ち止まって、棒の発する信号を追いたかったが、立ち止まることはまだ許されていない。

 あっ・・・・・

 わずかな電波を感じた私の穴はそれを離さぬようにしっかりと棒を締め上げる。

 電波は強くなり、私は思わず立ち止まりかけ、膝をすり寄せた。

 鎖が引かれ、首が曳かれる。私は内股気味で歩き続ける。

 自動販売機の冷たい明かりの前を通る。車達は延々と私達の右側をすれ違い続ける。夜は冷たく、排気ガスの匂いがした。

 私は、股間の電波を感じ続けながら犬を演じている。でも私の女の部分は最大限に能力を発揮し、周波数を求め続けている。そのラジオは犬である私とはかけ離れたところで機能を発揮している。四つん這いで町中を歩くという体験で、私の身体の奥からは、訳の分からない興奮が沸き上がっている。 

 そして人工皮膚は私が分泌する全ての液体を吸収し続け、私は訳が分からず、ただドーベルマンに見えることを願って、粛々と這い続ける。

 そう。世界中で今の私ほど犬になりたがっている女はいないはずだった。

 犬になりたい。

 でも私の女の部分はすっかりと発情し、高く掲げた忌々しいお尻は熱を持ち、私を女に引き戻そうとしている。

 四つん這いの今、女の身は恥ずかしい。犬は四つん這いで当たり前。

 犬でいなければ。見た目通りの立派なドーベルマンに。私は股間の感覚をなるべく切り放そうとして、すたすたと歩いた。

 誰の目にも立派な犬に見えるように。

 でも、私の穴は、すっかりと周波数をつかみあげて離さない。

 いつまでそれを無視できるか。それが私の犬でいられる限界のような気がした。

 女医が立ち止まり、私を優しい眼で見おろした。

 「ウゥッ!」

 私は突然の衝撃に身体を震わせた。くわえていた棒が、振動を始めたのだ。疼いていた私の性感はものすごい刺激に襲われていた。

 もうだめだった。

 私はアスファルトの上に崩れ落ちた。

 「マリコ、立ちなさい。公園まで行くのよ」女医が私の鎖を引く。

 「みんな見てるわ」

 その言葉に私ははっとなった。

 そして何事もなかったように立ち上がった。犬になりきらなければならないのだ。

 「おいで、マリコ」

 私は股間を占拠した棒の振動を無視して歩き始めた。

 緊張を持続させなければならない。気を抜いたら今度は立ち上がれないだろう。私は棒を締め上げた。

 甘美な波が全身に広がった。

 しかし私は平静を保って歩き続けている。といっても機械的に手足を動かしているだけだ。お尻を思いきり振りたかったが、そんなことは出来ない。だから刺激はまっすぐに私を襲う。

 お尻が小刻みに震えだしていた。

 「いい子ね。その調子よ」女医は私の努力を買ってくれていた。

 何故か嬉しかった。

 「あうっ」

 私は四肢を突っ張らせて立ち止まった。不動だったお尻の方の棒が前と同じように振動を始めたのだった。

 電気のようなものが走った。

 「公園まで普通に歩けたら、イってもいいわ」

 お尻がこんなに重い物だとは思わなかった。力の抜けてしまった足で無理矢理お尻をもちあげた私は、犬でいるためと、ご褒美をもらうためにふらふらとしながらも足を運び続けた。

 

 その6

 

 私が日中一人で置いて置かれる部屋には大きな鏡があった。映っているのは一匹の大きな犬だった。

 私は、自分の意識と外見の差を吸収し切れていない。鎖をジャラジャラとならしながら、部屋を歩き回る。

 鏡をじっと見る。黒く突き出た鼻、長い口、とんがった耳。でも、目だけは間違いなく私のものだった。そして、お尻の間も。

 私は、やることもなく、あくびをすると床にうずくまって眠った。

 日が高くなって、部屋の温度が上昇する。私は寝苦しくなって目覚める。と、そこには黒い一匹の犬がいる。

 びっくりして、悲鳴を上げるけれど、すぐにそれが自分の姿だと気づいて、安堵とも、諦めともつかない溜息をもらす。

 下腹に尿意があった。

 私のトイレは、かなり高い位置にある。

 四つん這いの私がそこで用を足すには、かなりトイレに近づいて、両手と片足で重心を取りながら思いきり股を開き足を高く上げないと、届かない。

 よくできている。

 私は恥ずかしさもあったが、慣れと一人だと言う安心感もあって、トイレに近づき、片足を上げて用を済ませた。

 トイレの隣には、同じ高さの、巨大な綿棒のようなものがある。私はそこに近づいて、再び片足を上げ、股間をこすりつける。 

 手で拭くのとは全く違って、ぎこちない動きが刺激を呼ぶ。

 でも私は、足を降ろして急いでトイレから離れた。そして、再び部屋をうろつき回る。

 鎖がジャラジャラとなる。

 部屋の隅まで行くと、鎖がピン、と張って私の首を引っ張る。これは経験してみるまでわからなかったが、ものすごい衝撃を感じるのだ。

 私は軽く呻いて、お座りをした。

 慣れてきたので、今ではこちらの方が楽に座れる。

 お尻の下に鎖がある。

 しばらく、そのままでいて、ジャラジャラと鎖をならして部屋の隅に行く。

 鎖は私のお腹の下をまっすぐ通っている。

 私はじわじわと前に進む。

 鎖が張り切る。

 私の首から胸を通って両脚の間から抜けていく鎖は、私の股間にじわっと食い込む。

 「あん」

 私は体重を器用にかけて圧迫感を楽しむ。

 いやらしい犬だった。

 

 散歩は毎日決められた時間に続けられていた。

 相変わらず股で棒をくわえたままだ。棒は、私を緊張させ、犬らしくするというのに必要なアイテムになってしまった。

 悲しい私の心は犬であることを受け入れ始めていた。ただし、四つん這いの女の子であるという正体が割れるのだけは嫌だった。だから、犬の訓練を素直に受け入れた。

 

 股で棒をくわえたまま、女医の左側について歩く。

 私は優雅に歩く方法を覚えた。

 普通に歩くときは、例えば右手を出した後に左足を出し、次に左手を出して右足を出す。

 急ぐときは、右手と左足を同時に出し、次に左手と右足を同時に出す。

 女医は私の首輪の鎖を軽く持ち、私の歩きやすい速度で歩いてくれる。

 するとおもしろいように楽々と歩くことが出来た。

 股間の棒は、今や私の身体の一部となって、一定の刺激を与えてくれる。私は、犬歩きをしながらそれを楽しむ余裕すら出てきた。

 そして散歩の最後に到着する公園で私は達するのを許されるのだ。もちろん女医の言うことを聞かなかったり、犬らしく出来ない場合は別だが。

 私は、嫌々ながらも快感というエサほしさに女医に従うしかない。

 公園に着くと、女医は私の鎖を外し、私を何周も歩かせる。私の歩き方が犬らしく堂々としていると、くわえている棒がしばらく振動する。

 しかし絶頂には至らない。

 駄目だと、出来るまでやり直させる。

 私は一度感じた快感と、絶頂に達したいという焦燥感で何度でも犬歩きを繰り返し続けた。

 

 その7

 

 私が完璧に犬らしく歩けるのを確認した女医は、ある日、私をドッグショーに出すことにした。

 私は、見世物にされるのはいやだったが、まさか断れない。

 というわけで私は、血統証明書まで発行されてしまった。血統証明書というのは、いわゆる血統書という奴で、犬の愛好団体が発行する。

 犬の愛好団体がドッグショーを開催するのだ。

 私は、たちまち正体がばれてしまうにちがいない、と思ったが、それもやむをえない。

 普通、犬の場合は猛特訓が必要なのだが、私は犬よりは物覚えがよいので、何とかドッグショーに出られるレベルには達していた。

 いよいよその日、私は女医の運転する車の後部席に載せられて、会場へと向かった。

 私と犬達はまず出場番号順に並ばされた。

 牝犬と牡犬は別れるので、私の前には牝のドーベルマンがいた。牝のドーベルマンのお尻は細く引き締まり、短い尻尾の下には肛門とアソコが縦に並んでいた。

 私は何か汚らしいものを見た感じがして、目を背けた。

 するとリードが軽く引かれ、女医に「まっすぐ前を見ていなさい、審査はもう始まってるのよ」と言われ、しかたなく私は顔を前に向けたが、なるべく他の犬のお尻を見ないようにしていた。

 それよりも気がかりなのは、私のお尻である。私のお尻はカバーがしてあって、なるべくドーベルマンのように見える筈だが、それでも横幅があり、丸すぎて本物のドーベルマンと比べるとはっきりと違う。おまけに太股のラインは人間のままなのだ。そして何よりも、私の股間とお尻の穴はむき出しのままだった。

 と言うのも、人工皮膚で覆ってしまうと、お尻の穴もアソコもない妙な犬と言うことになってしまうからだった。

 私の後ろに並んでいる犬や飼い主には最初から丸見えなのだ。

 ひどいわ・・・・・・

 私は恥ずかしくて、人工皮膚の下の頬を真っ赤にしていた。

 「それでは回ってください」

 審査員がマイクでいった。一番の犬から列となって審査員の前を何周かするのだ。私も女医の左側の位置をしっかりとキープして、歩いた。

 股間を晒したまま、犬達と一緒に衆人環視の前で四つん這いで歩くことで、私は犬と同じ立場に墜ちてしまった自分をはっきりと思い知らされた。

 暴れ出したくなるような屈辱が胸を焼いたが、同時に疼くような快感がわいてきた。

 しかし次にはもっと恥ずかしい審査が待っていた。

 クリップボードを持った審査員達は席を立ち、それぞれ分散して私や犬達を個別に審査しだしたのだ。

 私は審査員達に、前後左右あらゆる角度から観察された。

 私のシルエットはドーベルマンとはやはり違うので、私は生きた心地がしなかったが、審査員達は何も言わなかった。

 他の審査員は他の犬達に近付き、身体を撫で回している。

 私にも審査員が近付いてきた。

 私は一気に心拍数が高まった。

 「マリコちゃんですね」

 審査員の問いかけに対し、私は思わず自分で頷いてしまった。

 しかし審査員はそれを無視して、女医に二つ三つ質問した後、私の審査にはいった。

 審査員がしゃがんで私の目をのぞき込む。私は反射的に目を閉じた。審査員は構わず私の犬の口をめくりあげ、歯のかみ合わせを調べている。

 次に審査員は私の身体を撫で回したり、つかんだり、し始めた。

 首や肩は問題なかった。審査員は私の背中を撫で回し、二の腕をつかむ。そして、胸。

 胸は、皮の下の乳房の柔らかさを確かめるように何度も撫でられたり揉み上げられたりした。

 乳房の一つ一つを確認するような手の動きで私は確信した。

 ばれている。

 

 どうしよう。

 犬の格好をして四つん這いで暮らしている変態女。そう思われてしまった。

 私は生きた心地がしなかった。出来れば説明したかった。しかし、今は注目を浴びるようなことはしたくない。

 私は時が早く過ぎてくれることを願った。

 審査員は私のお腹をさすり、足を握り、最後にお尻へとやってきた。ギュッ、とお尻をつかまれ、なで回される。

 審査員がいった。「おっ、この子のアソコはちょっと違ってますね」

 その瞬間から私は何も考えられなくなってしまった。

 「そうなんです」

 女医は平然とこたえている。

 「どれどれ」

 私のお尻の向こうで、女医と、審査員が私の股間について議論している。「おーい斉藤さん、ちょっと来てご覧」

 審査員が人を呼んでいる。

 「なんだい」

 私は怖くって後ろを見ることが出来なかった。

 「おっ、これは」

 斉藤さん、は私の陰唇をめくり上げる。「変わってるけれど、綺麗な色じゃないか」

 「でも、犬にしては形が変ですよ。女性のもののようだ」

 「まさか、女性がこんな恥ずかしい格好でドッグショーに出ているわけないじゃないか、ねえ」

 斉藤さんは私の陰唇を指で揉みながら女医に尋ねた。

 「ええ、まちがいなく犬なんですよ」と女医がこたえている。

 「どれ」

 ひっ!

 いきなり中に指が入ってきた。指は探るように私の穴の中で動いている。「川端さんもどうです?」

 やめてっ!

 斉藤さんの指が退いて川端さんの指が入ってきた。別の声も聞こえる。「いや、まるで人間のようだ。」

 「とてもいやらしい形だわ」

 いろんな人の手が伸びてきた。

 「アゥッ!」

 私はクリトリスを摘まれて、思わず悲鳴を上げた。

 あっ、そこはいやっ!

 更にお尻の穴にまで指が侵入してくる。

 「発情してますね」誰かが言う。「濡れてきた」

 なんと言うことだろう。私はもう死んでしまいたかった。

 地獄のような時間が過ぎていった。

 「そろそろ、やめてくれませんか」

 女医の声がして、慌てて指は退いていった。

 私はあまりのことに呆然として涙を流していた。

 女医がしゃがんで私の涙を拭いてくれた。「よくがんばったわね、偉いわ」

 今までにない優しい言葉だった。

 私は思わず女医を見上げた。女医は大きく、たのもしく見えた。「立派な犬だわ」

 私はその言葉をとても嬉しいものに感じた。

 周りでは私と同じ格好の犬達が、お行儀よく審査されている。私もその一員なのだ。

 そうなのだ。もう人間ではないのだ。私は犬なんだ。

 私は何かを吹っ切ってしまった。

 股の穴の内側からもどくどくと熱いものがわき出している。それが外気に触れ、急に冷めていく感覚が、いじり回されて熱を持った股間に気持ちよかった。

 次は歩き方の審査が待っている。

 私は今までに教えられたことを忠実に守って、女医のためにいい成績を取ろうと決心した。

 

 おしまいに

 

 私は、特別賞をもらった。女医はそのことをとても喜んでくれた。

 みんなが私のことをほめてくれた。私はとても誇らしい気持ちになった。牡犬を飼っている人達から交尾の申し出が何件もあったらしい。

 でも女医は、それらを全部断ってしまった。女医はすっかり私の守護者として君臨している。

 

 「マリコ、朝よ」朝が来た。リビングのテレビの中では、人間だった私が「本当の自分へ」と言って、微笑んでいる。

 それが私が最後に発した人間の言葉だった。

 女医が首輪の鎖を引っ張ると、私は四つん這いで小屋の外に出る。

 私の人工皮膚は寿命が来て、私は人間の姿に戻ってしまっていたけれど、今でも私は女医の飼い犬だった。

 もちろん左腕の火傷は完璧に治っていた。

 四つん這いの私は全裸のお尻を振りながらシャワー室に向かう。

 私の陰毛はすっかり抜かれ、換わりに陰唇にリングが通され、あのドッグショーでの特別賞のメダルがぶら下がっている。

 私は女医の手でシャワーを浴び、化粧をし、髪をアップに整える。そして人工皮膚の変わりに、私の白い肌に映える黒いガーターベルトとメッシュのストッキング、そしてエナメルのハイヒールをつけてもらう。

 私は庭へと向かう。剥き出しの乳房を胸の下でぶらぶらと揺らし、くねくねと振る白いお尻の間に陰唇もお尻の穴も丸だしに晒して。

 陰唇に吊したメダルは常に私を引っ張り続けている。その重さは私を誇らしい気持ちにさせている。

 お手、伏せ、チンチンも私は完璧にこなす。こなした後の女医の愛撫は私にとって何物にも代えがたいエサとなっている。

 女医はボールから棒が生えたような格好の私用のおもちゃを取り出して、投げる。

 「マリコ、行け」

 鎖を外された私は、急いでボールを追いかける。

 着地したボールは、常に棒を上に向けるように出来ている。私はボールの上にまたがって棒を股間でくわえると急いで四つん這いで戻り、女医の前に高くお尻を差し出して足を開く。

 「よーし、マリコ、いい子ね」

 女医は私のお尻を撫で回し、ボールをつかんで棒を出し入れしてくる。

 私はそのエサが大好きだった。

 運動を終えた後、私は女医の足元で手を使わずに食事をとり、女医が化粧をするときにはドレッサーの前で女医の体重を支えた。

 そして、女医を送り出す。

 私は何もせず、一人で帰りを待つのだ。本当の自分らしく。

 

 おしまい

 

 


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