忠犬瀬戸ノ院恭一

 

2話


 週末の誘い

 

「今週末お暇でして・・・・・・?」

 

振り向くと伊藤京子はサラダとキノコスープ<和風>をランチ用のトレイに移し優しい眼差しと微笑みで話し掛けてきた。

 

「あぁッ、はい、このあいだおっしゃってた棚の修理ですね、おじゃましますから」

 

俺は不意を打たれ少し動揺したが、その上ずった気持ちが嬉しく

 

「伊藤さん、大工道具とかそういうの、お家にありますか?」

 

「あら、どうしましょッ、いけませんわ困りました」

 

「あぁ、それなら大丈夫です。僕が一通り持っていきますから、はい」

 

目の前にあるポークソティーの皿を取りながら云うと

 

「瀬戸ノ院さんて優しくてね、いつも京子の髪ほめてくれて、ありがとう」

 

「そうよ、瀬戸ノ院さんは優しくてよ」

 

法務部の他の女友達が伊藤の真似をして、クスクスと笑っている。

 

伊藤の頬が少し赤らみ窓の外に目をやる。俺もつられて窓の外を見ているうちに、京子は法務部の二人と横を通ってパスタの売り場の方に向かっている。

 

伊藤京子、24歳、法務部文書課、A型、山羊座、趣味不明、小柄で身長148cm、お嬢様育ち風で清楚、会社でも人気者、恋心を抱く者も多い。

 

俺は幸せを実感して空いている席につき、ポークソティー定食に箸をつけると視線を感じる。すると、遠くから斎賀がジッーとこちらを見ている。慌てて目をそらし、あらぬ方を見ると貝間と木下が食べている。

 

貝間も視線を感じたのか向き手招きしているが、俺も手招きをすると二人はこっちにトレイを持ってやってきた。

 

貝間が開口一番。

 

「伊藤さんと随分よろしいようで?」

 

すると木下が。

 

「貝間さんが二人はできてるってうるさいんです」

 

木下淳也、26歳、AB型、双子座、趣味ギャンブル、貝間より年下だが趣味で気が合うのか、金曜日は週末の競馬のことで昼食時はいつも、スポーツ紙を広げ喧喧囂囂である。

金曜日の午後

 

 

食事を済ませ、午後のセールスに出ようと車に乗ると斎賀が書類袋を持って「待って〜」と追いかけてくる。昼食の時の視線と云い、何か嫌な事が起きるのではないかと一瞬たじろぐ。

 

「チョッと待って、銀行まで乗せてって」

 

斎賀は助手席側に回り込み、ドアを開けるよう窓をノックする。ロックを外すと乗り込んできた。

 

「御免なさい、急ぐの今日振り込まなきゃいけない事すっかり忘れていて」

 

車を走らせ信号待ちをしていると斎賀は薄笑いを浮かべ。

 

「あなた、伊藤京子さんが好きなのね、清楚でいい子よね〜」

 

あの日以来、長話をしていないが既に一週間が過ぎている。

 

「ところであのハンカチ汚した?」

 

突然聞かれ、一瞬ブレーキを踏んでしまい後続車からクラクションを鳴らされる。斎賀は少し慌てたが俺を見て大笑いしている。

 

「その顔は大分しちゃっているのかな〜・・・・・・?瀬戸ノ院君は若いしね、たくさん染み作ってるのね〜」

 

3分ほど走り、銀行の側に車を止めると斎賀は降りしな。

 

「帰る時でいいからハンカチ返してね」

 

斎賀を降ろし、俺はあの夜の事を思い出し舌打ちした。

 

しかし、いったい何だろう。斎賀がただ銀行やハンカチを返してと云うだけのために乗ってきたのだろうか?車を走らせながら、いろいろ考えるがこれといって何も思い当たらない。

 

金曜日だし、発注が出ている得意先と来月新規セールスになりそうな店3軒をソコソコ回って会社に戻る。

 

エレベーターは少し混んでいて、隅っこで停止する階の数字をじっと見ながら胸の内ポケットに忍ばせた斎賀のハンカチを思い出す。

 

返す前に最後の放出をしてやろうとトイレに向かう。途中、さり気無く営業統括課を覗いてみたが、葛西は留守のようで見当たらない。

 

トイレの個室に入り、今日食堂で会ったときの伊藤京子の顔を思い出してオナニーをする。せつない胸の疼きに想像はふくらみ、制服のスカートを捲くり上げた恰好など思い描き、ペニスをシゴくと快感と共に、少し黄ばんだ臭いが強く、濃い精液があてがったハンカチに溢れ出る。

 

シゴきを続け夢想していると、斎賀の陰毛の無い陰部から欲情汁が滴っているのや葛西の性器から半分はみ出したバイブとその震動音、伊藤京子の顔に精液を激しく吐射し塗りたくっていることなど思いつつ、二度目を放出する。尿道に残った精液をシゴいき、ハンカチに塗りつけるように拭き取る。

 

自分の席に戻り、伝票の商品コードのエントリーなどしていると、掲示板にコメント3件の表示に気がつくが先に伝票とハンカチを斎賀に持って行くことにする。

 

「伝票お願いします。」

 

ビニールに入れたハンカチを手渡されたときと同様、茶封筒に入れ伝票の下に隠して手渡す。

 

「瀬戸ノ院さん、今日はこれだけ伝票枚数チョッと少なくない?」

 

わざと課の皆に聞こえるよう大きな声を出し、俺がうつむいていると左手を股間に滑り込ませ、強く握り絞めクスクス笑っている。

 

「今出してきたでしょ?匂うわよ。若い男のって濃いわね〜」

 

小声で云う。

 

「はい、いいですよやっておきますから、来週は少し頑張らないとねッ」

 

立ち去ろうとする俺に、斎賀はハンカチが入った封筒を振ってウインクをし、モニターに向かいキーボードを打ち始める。

 

「チェッ」

 

まるで頭が上がらない、席に戻ると皆はそ知らぬ振りをしているがどこかヨソヨソしい。

 

IDとパスワード入れ、掲示板を開くと伊藤京子から1件、貝間から1件、係長から1件である。この掲示板は個人宛用で、秘匿性を保障していて業務用の掲示板とは別である。

 

伊藤京子より、

「お昼は失礼しました。明日11時くらいに来てください。午後は楽しく過ごしましょう。京子」

 

貝間の伝言は分かっている。最近会社の近くにできたダーツバーに行こうという事だ。係長の1件は、来週前半出張だから係長の顧客に見積書を出しておけとか、その他幾つかの会社も回っておいてくれとか虫のいいことを書き込んである。

 

「さ〜て、帰ろうかな〜」

 

俺がボソッとつぶやくと、前の席の先輩が顔を上げ早く帰れと云いい。残ったみんなも口々に帰れと云う。

 

「どうしたんですか〜?みんな変ですよ〜」

 

その中の一人が「京子ちゃん、京子ちゃん」と笑いをこらえながら云うとみんなが笑い出し、先輩にこれからデートかとからかわれる。

 

「違いますよ〜、今日は帰ります」

 

「それじゃ〜明日がデートか?」

 

これ以上いるとどんなことになるか分からない。さっさと帰る事し、通路に出るとみんなの大笑いが聞こえる。

 

葛西の目

 

 

エレベーターの前で貝間と出くわした。伊藤京子との事はおそらく貝間が言いふらしたに違いない。どこかにやけている。

 

「お〜帰るのか?この後どうすんだ〜?」

 

「大きなお世話だ。みんなに言い触らしただろう」

 

貝間は、開き直った様子でニタニタしていて何も云わない。

 

やがて、下りのエレベーターが来て扉が開くと葛西が乗っている。俺は一瞬凍りついたように体が硬直し、背筋が伸びたまま乗り込む。

 

「瀬戸ちゃんはお帰りなの?京子ちゃん好きなんだってね〜、若いっていいわね〜」

 

何で葛西まで知っているのだ。貝間か?それとも斎賀か?これはまずいと思い話題をそらそうと

 

「何階ですか?」

 

「6階、京子ちゃんは可愛いいわね〜」

 

話が反れない、俺はひたすら焦る。

 

「以前からいいな〜って思っていただけで、まだ何でもないんです」

 

葛西は眉を少し動かし、俺の目をジーと覗き込む。

 

「嘘おっしゃい、恥ずかしいの?そんなのすぐ分かるのよ!嘘をつくなんて悪い子ね〜、今度お仕置きね」

 

「いや〜本当に何も無いんです。ただの憧れです」

 

もう駄目である。葛西の怪しくヌルッと潤んだ目の輝はあの夜の、あの目である。

 

誰か乗ってこないのか、いつもなら誰かが乗ってくるのに、9・8・7階まだ乗ってこないのである。

 

葛西は、俺の右腕を掴み乳房に当て。

 

「このおっぱいも好きでしょう?」

 

手の平に下着の感触が無く、ふくよかで柔らかく温かい。

 

「あッ、はい」

 

生々しさに気が迷い、オロオロしていると。

 

「瀬戸ちゃん違うわ〜」

 

口調とは裏腹に鋭い目つきで見据える。俺はかすれた声で。

 

「ワン、ク〜、ワン」

 

全身から冷や汗が噴出し、ただ葛西の目を見ていた。

 

「そう、そうよね、可愛いいワンちゃんじゃないといけませんよ」

 

やっと、エレベーターは6階に着き扉が開く。

 

葛西が降りる間「開ボタン」を押し続けていると葛西は左右を見回し、振り向きざまにスカートをたくし上げると黒のオープンストッキングを穿いているだけだった。

 

俺は思わず後ず去ると、陰毛の無い陰部を迫り出して見せ、振り返るや何事も無かったように歩いていった。

 

ドアが閉まると思わずへたり込み、頭を抱えていると3階のドアが開き、片桐ミサ子が乗ってきて

 

「あら、瀬戸ノ院さんどうかしたの?」

 

俺は、額の汗をふきながら

 

「いや〜別にチョッと疲れてるだけです」

 

 

幸福の電車とマンション

 

俺はトンカチや釘など簡単な大工道具を用意して電車に乗り、ターミナル駅で郊外の高級住宅地を走る電車に乗り換える。品のいい家並みを35分ほど見ながら伊藤京子の住む町の駅に着いた。

 

俺の今日の服装は、少し濃いグリーンのジャケットにボタンダウンのシャツ、スラックスは薄いグレー靴下も同じ色でベージュのバックスキンの靴である。

 

京子のマンションは駅から歩いて5分ほどとの事、大手マンションメーカーの11階建マンションは駅の周りには京子の住むマンションしかないとの事である。

 

電車から降りて、ホームから回りの景色を見回すと確かに大きなマンションある。シックでなかなか感じのいいマンションだなと思いながら商店街を歩いて行く。途中、店を開いたばかりの洋菓子店でケーキを買い8階3号室へ向かう。

 

「ピンポン、瀬戸ノ院です」

 

チャイムを鳴らすとインターホンから。

 

「鍵は開いています。今チョッと手が離せないから上がってください」

 

ドアを開け玄関に入ると京子の小さなハイヒールが揃えてある。その内の一つを思わず手に取り中の匂いを嗅ぐ、革の匂いとほんのり足の匂いがする。裏返すと「21cm」と刻印され、何と小さな靴かと微かにペニスが疼く。

 

お邪魔しますと云いうと奥の部屋から。

 

「どうぞ、ソファーに座っていてくださいな」

 

という京子の声がする。

 

俺は廊下の先にあるリビングのソファーに腰をかけ、部屋を見渡しながら女性の部屋にしてはシックな調度品や置物が目につき、女性の趣味しては奇妙だなと思い、ひょっとしたら男でもいるのか?など、勝手な想像をしながら午後の楽しみに思いを馳せる。

 

5分ほどして彼女は現れた。いつもは制服や通勤着姿しか見ていないが、今日は、インクブルー地のノースリーブのポロシャツに、生成り地に赤や黄、青の小さな花柄を配した短めのタイトスカートをはいている。

 

耳には大きなピアスリング、髪はいつもと違いきつくひッ詰め、真っ赤なベルベットのリボンで縛った姿で現れ、今お紅茶を入れますからと云ってキッチンに消えていった。

 

化粧もいつものように薄化粧ではなく、アイラインやアイシャドーにマスカラ、まつ毛にはビューラーもかけている。それに、赤いルージュを引いている。

 

俺の下半身は既に臨戦態勢、いざというときのために媚薬も用意してある。心が高鳴りボーと窓の外を眺めていると、紅茶セットとクッキーを用意して運んできて、テーブルに用意する。俺はケーキを出してお皿に取り分けるのを手伝う。

 

彼女は正面のソファーに深く座り、最近凝っているゲームのことや会社の噂話の事、貝間が京子とのことを吹聴して歩いたかもしれない事など話は尽きない。

 

京子が俺の隣に座りなおし。

 

「お紅茶おかわりいかが、このケーキおいしくてね。商店街の通りのお店ね、私も時どき買ってよ」

 

京子はポットから紅茶を注ぐのももどかしげに俺の顔をじっと見詰め、その目が少し充血して顔が赤く少しのぼせているようである。

 

 

花見の追憶

 

 

こうやって二人一緒に座り、見詰め合うのは2ヶ月ぶりだろうか?総務部や法務部、営業部の合同お花見会を思い出した。会社帰りのターミナル駅近くの公園で、京子も他の部の女性達と一緒に参加していた。

 

それまでに何度か映画を見に行ったり、コンサートに行ったりして何となく恋心を抱き、別れ際に口づけするようになっていた。

 

お花見の帰り、公園の奥の植え込みに誘うと京子は拒むこと無くついてきた。芝生にしゃがみ口づけと抱擁の後、服を着たまま京子のパンティーを脱がそうとすると腰を浮かせ、靴に引っ掛からないようにしてくれた。

 

俺はファスナーを下ろし、剥き出しの思いを表すようにベルトを緩め、トランクスを半下げた状態にして既に勃起したペニスを露わにする。

 

京子の小さな手の平が、煮えたぎったペニスを握り優しくシゴく、俺は陰部を指で愛撫した。欲情汁が溢れヌラヌラとした感触と臭いが一層欲情を掻き立てる。

 

上気した思いの中、陰毛のこすれが無いのに気づき、陰部のそこかしこをそれとなく触れてみたが毛の感触が無く、皮膚のスベスベした感触があるだけだ。

 

「もしかしてパイパン?」

 

公園の茂みということや誰かに見られているかも?という興奮が先行したこともあり、何も云わず京子を四つん這いにして後背位で交わった。

 

俺の思は早い時期から情交を求めていたが、京子の頑なさに負け果たすことができずにいた。ドライブに誘った時などその話題を少しでも出そうものなら、車から降りて帰ってしまいそうな勢いだった。

 

この花見の夜は、法務部の友達とは別に俺の隣に何気に座り、いつもとは別人のように笑い大きな声で話をした。ときより闇夜の薄明かりに潤んだ瞳を向け、ものうげにしなを作り寄りかかってきた。

 

俺の気持ちは息苦しく疼き、今日は何が何でもとの思いを強く、ペニスは今にもいななきを発し、尿道口からは高圧の蒸気が噴出するかのように熱気が溢れ出ていた。

 

京子が心なし尻を左右に振る仕草をしたように思え、煮えたぎったペニスを膣に突き立てる。一瞬、京子の腰が引け、膣の襞に引っ掛かったが構わずめり込ませた。

 

「アッゥ イッ ア〜ア〜ィ」

 

小さくくぐもった声を発した京子は、鼻息を荒げながらダラシなく振り向く、小鼻を膨らませ、口を半開きに、瞼を薄目がちに開き微笑む顔は、いつもの見慣れた京子ではなくなっている。

 

まるで、この日この時を待っていたかのように、京子は体を開きこの瞬間を味わうかのように体をくねらせ、自らの乳房を片手で揉みしだいていた。

 

京子は俺の反復周期に合わせ、肉襞がかたみに噛みつき、絞るような圧迫感で応えた。俺はひたすら、ボクシングのように亀頭パンチを子宮口に見舞った。

 

京子はその度に小さな喘ぎ声を発し、この強烈なパンチを防ごうと片手を下腹部に膣口に這わせ邪魔をしようとするがその手を払いのけ、角度を変えながら打ち込んだ。

 

お互いの呼吸が合い俺のペニスは心もち膨張し、京子の膣口から陰唇は強張り肉襞は突き出されたペニスを捕まえようとギリギリ締め上げる。

 

「よく絞まる膣だ」

 

何人もの女と情交したが、この全体を覆うように絞る痺れ感には正直驚いた。潤沢の欲情汁が辛うじてピストン運動を容易にしている。

 

小アクメが小刻みに何度か京子に訪れているようで、喘ぎ声がいやが上にも高まる。相乗的にその声が俺の脳髄を刺激し、俺も高みに向かって走り出し性急に高まっていった。

 

きつい圧迫感がカリを刺激し、かたみを絞り込み、根元を締め上げる。

 

堪らず喘ぎ声を上げピストンは限界に達し、前立腺は耐え切れずに悲鳴を発し、脳髄はコントロールを失い精門はこと切れ瓦解した。

 

精液はドクドクと波うち土石流のように尿道を走り、大きな潮流になって尿道口からほとばしり、ドボドボと子宮口に浴びせかけた。

 

京子は俺の放射と同時に、体を大きく前後に引き攣らせ。波打たせる。顔を横に向け肩から芝生に崩れ、高く突き上げた腰が震えている。

 

「ウゥ〜ン〜ン〜ウゥッ」

 

最後に、強烈なアクメが体の隅々まで揺さぶる大波となって京子に打ち寄せる。間断無くブルブルと身体を震わせ、全身で到達を感じているようだ。

 

俺はその震えを感じながらひたすら突き続け、京子に放出脈動を送ると共に射精のアクメから体は弛緩と硬直を繰返していた。

 

暫く重なり合ったまま過ごし、俺が膣から垂れる精液を拭こうとティッシュを出すと京子は首を横に振り、手で後始末を始めた。

 

膣口に指を入れ、すくい出した精液をすすり、その指を舐める。これを何度か繰り返し、指で綺麗に拭き取ってしまうと小さく縮んだペニスを指でいじり、口へ運んで欲情汁や精液を綺麗に舐め取ってしまった。

 

俺は京子の手際というか手馴れた仕草に呆気に取られ、ただ見とれていた。

 

「京子さん家まで送りますよ」

 

俺は慌てて、やっとの思いで云うと京子は顔をそむけ無言でいた。

 

スカートの裏地や内腿にはまだ精液や欲情汁がついているが気にする様子も無く、すっくと立ち上がり俺の手を振り除けて小走りに去っていった。

 

俺は、京子の忘れたパンティーを鷲掴みにして立ち上がろうとして、ズボンが半下がりの状態に気づき、モタモタしている内に京子を見失ってしまった。

 

その後、何度かのデートでも情交することはなかったが、京子を失うことだけは嫌だったのでエレベーターや会社帰りの駅までの道すがら、チャンスがあれば服装や髪型を誉めて取り入っていた。

 

 

二人の秘密

 

今日初めて京子の自宅に呼ばれ、ここでこうして見詰め合っている。こんな近くで見詰め合えるのかとボ〜考えている。

 

「恭一さんチャンと聞いてくださる?」

 

京子の薄っすら香る香水とは別に、上気した女が発する別の匂いが発散されていて、彼女も臨戦態勢にあることを確信する。

 

俺は、静かに彼女の耳に吐息を吹きかけようと口を近づけて彼女の熱気に少し驚き、一気にからだ中の血液が沸騰の波となって押し寄せ、ペニスに集結し下腹にくっ付いてしまいそうに勃起している。

 

「恭一さん、私の気持ち解ってて?」

 

京子は恭一の手を取って、その小さな両手で包み込み胸に当てる。

 

「京子さん」

 

俺は、抱きしめようと手をかざすと体を返して。

 

「嬉しいけど、待って」

 

京子は、急に真面目な顔をして。

 

「恭一さんよろしくて、チョッと聞いて頂きたいの、京子のこと好き?」

 

俺は状況が掴めず、ただ頷き威儀を正し京子をじっと見る。

 

「好きですよ、大好きです!初めて会ったときからズ〜ッと好きです!目も口も手の平もヘアースタイルも全部です」

 

「本当、本当によ」

 

京子は、ソファーから立ち上がり後ろを向くとノースリーブのポロシャツを脱ぎ、ブラジャーを外して両手で胸を隠しながら恭一の方に振り向く。

「恭一さん本当に京子を好いてて?」

 

俺はただ頷き、京子をじっと見ながらきっと相当の決心をして俺を家に呼んだに違いないと思い、真剣に向き合う。

 

京子は、おもむろに両手を胸から下ろす。大きくはないが体のわりにしっかり突き出た可愛いい乳房があらわになる。色白と云うほどではないが、肌に青く血管が浮き出ている。

 

しかし、俺は思わず「うェッ」と声を漏らし、乳首にぶら下がる金色に鈍く光るピアスリングを凝視する。その可愛いい乳房に不釣合いなリングが両方の乳首にぶら下がっている。

 

「こんななの、本当の私」

 

恭一はあの夜のことを思い出していた。確かあの時、京子は自分の乳房を揉んでいた?その時の事を思い出していたのである。

 

「京子さん・・・・・・・」

 

恭一は質問をグッと堪え、京子のその乳首に光るピアスリングについて考えた。会社に行く時までリングをしている訳ないか?もっと目立たないものに変えているか、付けないかだな〜?などと想像してみる。

 

京子の瞼から大粒の涙が頬をつたい、その可愛いい乳房に落ち、胸の谷間へと流れている。そして、スカートのホックを外し、スカートがずり落ちるとガーターとストッキングだけの下半身が露出する。

 

少し何か?予感がしたが、京子の陰毛は全く無い。陰部は少しメラニンが沈着し、薄紅色の陰唇には4コのピアスリングが下がっていて、既に欲情汁が溢れ、こぼれそうである。

 

うつむく京子をそっと抱き寄せ心を込めて口づけし、片膝ついて陰部に口づけをする。そしてまた抱きしめる。

 

俺は、どこかでこういう女を待っていたのかもしれない。学生の頃から何人もの女と情交しているが、京子のような女と巡り会うことはなかった。

 

今は真剣ではないが前田桂子という女がいる。彼女も相当スケベで大抵の事をしてきた。最近はアヌスファックに凝っていて、浣腸をしてどれくらい我慢できるかなど楽しんでいる。

 

「京子さん・・・・・・・・・ 泣かなくていいよ」

 

今から俺の答えを教えてあげるよ、と服を脱いで上半身裸になる。京子は一瞬後ずさりして、しげしげと恭一の体を見詰めている。

 

「京子さん驚かれたでしょう?先週僕は葛西と斎賀に弄ばれ、彼女らの犬にされたんですよ」

 

まだ、体中に幾筋も腫れ後が残っていて、京子は恐ろしいものにでも触れるように、胸の腫れ痕をなぞり

そしてやさしく舐める。

 

「恭一さん、痛かった?」

 

「痛かった。痛かった」

 

「どうして?犬なんかに・・・・?」

京子はそう云うと俺の背中に頬を寄せ、傷跡ひとつひとつに口づけをする。

 

「あの二人が強引に犬扱いして、えげつない交尾をするはめなったんですよ」

 

「京子さん僕が嫌ですか?不潔ですか?嫌いですか?」

 

京子は首を横に振って俺に抱きつき口づけを求める。舌を絡め深い深い口づけをする。

 

 

熱い口淫

 

 

俺は、京子を大きいソファーに座らせその前に立つ。既にズボンの下でペニスは逆上するかのようにいきり立ち、京子の顔の前辺りで熱く脈動している。俺は、これほどの痛みを感じた事は未だかつて無い。脈動する度にはちきれんほどの血が流れ込み、いつもより膨張は増しているように思える。

 

京子はズボンのベルトを外し、ファスナーゆっくり下げてズボンを下ろす。自然と顔の前に反り返るペニスを右手で握り、左の手平で陰嚢を柔らかく揉む。

 

傷だらけの全身を晒す俺を慈しむかのように、ゆっくりかたみを摩りながら発散する熱を頬で吸い取るようにうっとりと瞼をとじている。俺は、京子のその仕草や心地よさを見下ろしながら感じている。

 

京子の柔らかい手の平のさすられようは、斎賀のシゴき方と違いゆっくり芯を緩々と融かし、付け根の奥を乱擾するのである。

 

ペニスを痺れさせておいてから、京子はゆっくり口に含む。始めはかたみを柔らかくさすり亀頭を吸い上げていたが、やがて咽喉の奥に飲み込み狭く窮屈でぬめった感触は、吸い上げるのとはまた違う気持ち良さを亀頭にしみ渡らせる。

 

まるで、咽喉の奥に別の生物が住んでいて、ゆっくりとした周期反復で奥へ奥へと獲物を引き入れようとしているようで、京子はえづき、涙を流し、涎を垂らしながらその生物の言いなりに従っている。

 

その生物の引き寄せに俺はだんだんのめり込み、亀頭へのぬめり感がさざ波のようにヌラヌラと押し寄せる。京子は俺のペニスをほとんど飲み込み、左手で凝固しつつある陰嚢を暖めながら揉みほぐしている。

 

突然、京子の右手が俺の臀部を這い、中指で肛門をいじるのである。一瞬、腰がすくんで引こうと京子を見ると、京子は上目使いでウィンクし、両手で俺の尻を確り抱え込み離れない。

 

京子の中指には、粘度の濃い油が塗られていてなんなく肛門の中に滑り込む。指を軽くピストン運動をさせられると、俺はそのむず痒さと異物感に耐えようと肛門に気をやる。すると、ペニスを吸い上げられペニスに気をやる。すると、肛門から入れた中指が前立腺の裏側を、指の腹で軽く愛撫する。

 

それは今まで、口淫や膣でも味わったことのない異様で激しいものである。その感覚は背筋を這い上がり、後頭部から蜘蛛膜下を直撃する。

 

更に、続けられるうち、「ガーン」と叩かれたように頭が真っ白になり、気を失うような到達感は全身が強張り手足の指が痺れ、腰全体が震える。

 

京子の頭を両手で強く押さえ、咽喉奥深くに精液を打出そうと腰をせり出し、ペニスは勢いよく「ドクン、ドクン」と反動した。

 

「ハァ〜ァ、ハッ」

 

思わず鼻に抜ける妙に頼りない声を出し、精液を吐射する。その度に快感がペニスを包み込み、からだが硬直し、震え、そして弛緩して震える。それを四〜五回繰り返し、最後に硬直してソファーに崩れる。

 

京子はその全てを受け止め、飲み込こもうとえずきながらあふれ出る涎と精液にまみれ、俺と共に崩れ落ちる。

 

俺は崩れてもなお周期的に律動し、ペニスは少しずつ萎えながらも噴出脈動を続け、それに合わせて中空で振れながらも精液を垂らしている。

 

息絶え絶えの京子は、口の周りや首筋から乳房にかけて溢れこぼれ出た唾液や精液を昼の陽光に、鈍く隠微な濡れ色を発して横たわる。

 

唾液と精液が混じる京子を抱き寄せ、口も利かず舌を絡ませ口づけし、お互いの乳首を舐め合う。陰部に指を這わすと、白濁した欲情汁を垂れ流している。俺はそれをなめながら緩々と余韻に浸る。

 

京子は射精して萎えたペニスを口の中で吸ったり転がしたりしながら俺の肛門の油をティッシュ拭き舌でなめるのだがどうにも擽ったい。しかし、気持ち良くもある複雑な心持なのでさせるに任せる。

 

俺はふとッ、京子の犬になりたいと思った。葛西や斎賀に犬扱いされるなら、京子の犬の方がいいに決まっている。この底知れぬ変態女を俺はこよなく愛す。

 

 

女が変態であればあるほど犬としての変態もまた深みが増すもので、この際この変態女ととことん付き合ってみたいと思ったのである。

 

「京子さん」

 

腕の中の京子を覗き込む。京子はうっとりとした目で俺を見てコクリと頷き横を向く

 

やがて京子は体を起こし正座し、テーブルのポットから紅茶を注ぎ一息に飲み干す。

 

「葛西さんや斎賀さんに犬扱いされた恭一さんたら可哀想」

 

いたずらっぽいまなざしで、俺を覗き込み「フフフッ」と笑う、底知れぬ変態か?悪魔か?それとも天使か?

 

「そうだね〜でもそれは終わった事だから」

 

京子は黙って頷き、しなだれかかる。腕を引いて抱きかかえ、舌を絡めた長い口づけをする。

 

京子はテーブルの紅茶セットやクッキーなどをキッチンに運び、俺が頼んだ灰皿をテーブルに置いてバスルームに消える。

 

 

初夏の風、光と影

 

俺は服装を整え南側のガラス戸の前に立ち景色を眺め、フェンスの先に点在している住宅に畑や林が、初夏の陽光に青く輝いている。

 

ガラス戸を開けると五月の清廉で精気に満ちた青風の騎士が室内に流れ込み、それまで部屋を覆っていた欲汁臭や精液臭、それに二人の体臭が混じりあった淫欲臭大魔王を蹴散らすかのように、爽やかな風が室内を駆け巡る。

 

人工芝で敷き詰められている広めのテラスに出て深呼吸をし、周りを見回すと隅っこに木製の折り畳みのチェアーとテーブルが立てかけてある。

 

振り返り、改めて室内を見回す。広さは12畳ほどだろうか?隣の部屋の壁際に大きいソファーが1脚置かれ、テーブルを挟んで一人掛用のソファーが2脚おかれている。

 

テーブルの下には2畳ほどの赤地のペルシャ絨毯が敷かれ、カーテンも絨毯の色に合わせ、赤色で分厚い生地に獅子と唐草文様が金糸で織られている。

 

フローリングは濃茶の組木仕上げで、サイドボードと本棚がキッチンとの境の仕切りになっている。サイドボードの中には、アラビヤやアフリカと思しき調度品や奇怪なものが無造作に置かれ、壁にはこれもアフリカかニューギニアの仮面、槍や盾などが飾られている。

 

おそらく本棚とサイドボードは注文作りで、キッチン側全部が厚めの板で覆われていて、ガッシリした作りである。

 

高所用梯子が用意されていて、本棚には洋書や画集、写真集それに、邦書は主に哲学書や宗教書など、俺には一番縁遠い書物が並んでいる。

 

俺はソファーに掛け、ボーと仮面を見ているとバスルームの扉が開く音がして

 

「恭一さんも入らなくて?」

俺は朝シャワーを浴びてきたからまだいいと云う

 

「お食事の用意もあるし、湯船にでも浸かってゆっくりしていらしゃって」

 

京子は、厚手の萌黄色に紺の縁取りをしたバスローブと赤と白の大柄チェックのタオルで髪を覆い、オデコの前で縛っている。首に同じ色柄のスポーツタオルをかけ、手を腰に当て恭一の前に立ち

 

「恭一さん、お風呂に入って」

 

俺は、とっさにソファーから滑り落ちそうになる。座りなおして京子のなんとも妖艶な見返り姿に見とれていると、京子は右手の人差し指をバスルームに向け甲高く笑い、俺を見据えまた甲高く笑う。

 

「恭一さんよくて、さぁ、お風呂に入ってください。」

 

京子は得意げにバスルームに向いて、また、甲高く笑いながら指を向ける。

 

バスルームは3部屋に分かれていて、脱衣や洗面をする部屋と洗濯機や乾燥機などの部屋がある。それの奥に、広くゆったりいとした浴室がある。

 

着替え部屋は2畳チョッと、片側の壁は鏡張りで洗面化粧台が入口のすぐ横にあり、浴室の入口の横にラック&ハンガーと乱れ籠がある。反対側は棚で、化粧品やタオル類が整頓され置いてある。

 

ふと上段の奥にプラスティックの赤い箱が目に留まる。中が見たくなったので取り出してフタを開けてみると、中にはディルド2本、バイブ4本、ローター大小2個、ビデ1セット、アナルプラグ3cmほど1個、ファニーヒルズ1本、エネマシリンジ1本が入っている。俺は臍の下辺りでムクムクと、どす黒い欲情が湧き上がるのを覚える。

 

シャワーを浴び、浴槽に浸かって考える。噂だと両親は早くに亡くなったと聞いている。一体、京子に何があったのか?とにかくかなりというか類稀というか、超弩級変態だ。相当スケベなことは間違いない。

 

湯船にゆったり浸かり、浴室から着替え部屋出る。棚に置いてあるバスタオルで身体を拭いていると、京子がバスルームの扉を開け入ってくる。

 

俺は京子の手首を掴んで引き寄せ、プラスティックの赤い箱がある棚の上段を指差し

 

「京子さん、あの赤い箱の中の物は自分で買ったの?」

 

京子は黙って下を向き何も語ろうとしない。肩を揺すると抱きついてきて泣き出し、拳を2度3度俺の胸に打ちつける。

 

「京子さんごめん、云いたくなければ云わなくてもいいよ。但し、君の許せる範囲で教えてくれないか?」

 

京子は泣き止み、しゃくりながら顔を見ている。

 

「俺は京子さんが大好きだから何でも役に立ちたい」

 

京子がどんな趣味だろうと俺は構わないと本当に思っている。一息ついて、タオルで京子の顔を優しく叩くように涙を拭き取り

 

「さっきも云ったけど、云いたくなければそれでいいよ」

 

京子がコクリと頷く

 

「目と鼻の頭が赤いよ」

 

京子は、慌てて鏡に顔を照らしふくれた顔で

 

「恭一さんのバカ、バカもうバカ」

 

振り向いて俺に飛びかかり、また泣き出す。

 

「も〜いいから涙を拭いてくれないか、せっかくのお化粧が台無しだし、それよりお腹が空いたんだけど、京子さんの手料理食べさせてくれるかな?」

 

「恭一さんに食べさせるお料理なんかありませんよ〜」

 

京子は振り向いて出て行っていった。俺は京子とお揃いのバスローブをはおりリビングに戻る。

 

 

テラスで昼食

 

ソファーに掛け、バックから葉巻ケースを取り出し、コイーバ ロブストスのフットをゆっくり焼いて一服、確かに部屋の調度品や本など、女性の趣味とは考えられない。しかし、男の臭がしないのである。

 

たとえ通いでも、男が出入りしているなら何となく男臭くなるが、それがない。目の前に置かれた灰皿を見ても、女が選んだとは思えない。恭一は、京子の過去に益々興味を覚える。

 

京子がキッチンから出てきて

 

「どちらでお食事されます」

 

俺は、あの赤い箱を見つけてからベランダで京子としたくなり、ベランダを指差す。ガラス戸の向こうは心地いい風が吹き抜け、日の光がそそいでいる。

 

テーブルと椅子を組み立て、真昼の眩しい景色が恭一の心を昂ぶらせる。

 

「恭一さんテーブルと椅子拭くの願いしてよろしくて?」

 

京子からを台拭き受け取り、パリの街角にあるカフェのウェーターよろしくテキパキと拭き、水色のテーブルクロスを敷く。お揃いのナプキにナイフフォークをセッティングする。

 

一緒に持ってきたブルゴーニュの赤、これがどれくらいの値打ちがあるか知らないが、とにかくオープナーで詮を開ける。

 

京子はブレッドバスケットにバゲット一本、ガレットを薄くスライスしたのを持ってきて

 

「そば粉で作った薄いのが無くて」

 

と云って俺に手渡す。

 

「いいよ、嫌いじゃないけど、どうもあの薄いのは得意じゃないんで」

京子はにっこり笑い

 

「殿方は食べた気がしないわね」

 

キッチンから大皿の料理が運ばれ、テーブルの真中に置かれる。敷き詰めたレタスの上に鯵、イカ、帆立をオリーブオイルでサッと炒め、ゆで卵のミモザをふりかけ、オリーブのスライスがのっている。

 

「お〜素晴らしい海鮮カルパッチョ」

 

ドレッシングは水に晒したオニオンとトマトを細かく切り、パセリの微塵切りと酢とオリーブ油のシンプルな作りである。

 

肉料理は鳥の腿肉を白ワインで焼き、グリーンアスパラやマッシュルームを一緒にホワイトソースで煮込み、少し大きめに切ったブルーチーズがトッピングされている。

 

「ああ〜幸せだ」

 

京子が俺の横にきてチョッとお着替えしてきます。5分くらいだから先に食べてて、と云って奥の部屋に入る。

 

俺は、久しぶりの手料理に返事もそこそこバゲットの1/4くらいをちぎり、取り皿に鯵やイカにレタス、それとワインをゴブレットに注ぐ、ブルゴーニュ型のこの口の部分が何ともエロイなど思いつつ、一口飲んで咽喉を潤す。

 

やがて、京子が奥の部屋から出てきて

 

「恭一さんご覧になって」

 

俺は食べるのに夢中で気がつかず、呼ばれて京子を見る。ガラス戸に寄りかかり恭一を見詰め

 

「恭一さんは食いしんぼさんだこと」

 

チョッとイヤミに云って

 

「お料理おいしくて?」

 

京子は白のシームストッキングに、レース刺繍のガーターベルトとオープンブラと云うか、ビスチェと云うか強烈エロを放っている。

 

スタイルは、全体を緋色のパイピングで縁取られた、黒の細目のレース地であしらわれているオープンブラである。エプロンのようにかけ紐を首の後ろで結び、下腹部に向かってVカットになっている。当然、乳房は丸出しである。

 

みぞおち辺りに緋色で大きなバタフライの刺繍が施され、お臍の周りは大きく開きそのチョッと下の下腹辺りに、小さな白いボタンが二つウエストを締めるように留められている。

 

首紐と脇のゾーンを引き上げる紐の内側から、ポロッと出ている乳房と薄いピンク色の乳首に金リングが輝いている。紐と紐の間から剥き出しになっている様は、脳髄を強打し、思わず鼻血を噴出させる衝撃さえ与える。

もちろん、陰部は丸見えになるように足の付け根まで割れている。そのいでたちをあえて隠すように、クリーム色で前開タイプのシースルーのロングドレスをはおり、裾に巻かれた可愛いいレースが微風に靡いている。

 

俺の下心を見透かすかのように「お食事にする?それとも私からにする?」と挑戦状を叩きつけている。

 

「僕はどっちから食べればいいのかな?」

 

京子は俺の横に立ち、片足を椅子に乗せ陰部の小陰唇を指で弾くと「チリンチリン」と鈴の音がする。陰部を覗き込むと1cmくらいの鈴が四つ、陰唇に通してある四つのリングに吊るされている。

 

ちぎって置いてあるバゲットをさらにちぎり、かけらを自分自身の陰部に擦りつけると鈴の音が響き、そのかけらを俺の鼻に近づける。

 

「恭一さんバター塗るそれとも私のだけにする?」

 

俺は胸が詰まる思いで、そのかけらを京子の摘んだ指から取り、ペニスの先に押し当てそれを二つにちぎり、一つを京子の口に軽く押し当てる。

 

京子は小さく、しかし、ふっくらした唇を開き舌で絡め取り、転がして俺に口移しする。もう一つをもう一度陰部に押し付け、それを俺の口に入る。

 

「恭一さん、本当にいやらしくてね。でも、私、恭一さん大好きよ」

 

俺は君に言われたくないよと思いつつかけらを飲み込む

 

「京子さん、これから楽しむんなら今は食べておこう」

 

「ハイ」

 

京子は俺の右隣に少し向くように座りワインを注いだり、カルパッチョをガレットに挟んで食べさせてくれたりとかいがいしく俺の世話をする。

 

俺はバターを可愛いいレモンのような乳房や乳首に塗り、舌で擦るように舐め口づけをしてワインをあおる。

 

京子もワインを飲み、趣味の事や旅行でのハプニング事など取り留めの無い会話が続き、鶏肉や帆立をフォークに刺しお互いの口入れる。

 

俺は京子の乳房を絞るように揉み、京子は俺のペニスを軽く握ってシゴく、柔らかい小さな手と指が興奮をそそる。

 

「ワインをもう一本開けましょうね」

 

京子はわざと股を広げ気味に歩き、鈴の音を響かせながら部屋に入っていき、ワインとタオルケットを持ってきてボトルを俺に渡す。タオルケットを二枚、テーブルの横に敷きまた部屋の中に消える。

 

俺はワインの詮を開け、ラベルを見てさっき飲んだワインと同じ年の物だと気づき、エアーマットを持って出てきた京子に

 

「このワイン年代物じゃぁ〜ないの?」

「知らなくてよ、昔、お父様が買ったものですから」

 

俺はチョッとビビりながらも、開けちまったものは「しゃ〜ね〜や」と思いゴブレットに注ぐ。

 

「遠慮なさらないで、まだいっぱいあってよ」

 

京子は、エアーマットをタオルケットの上に置きながら。

 

「はいこれでいつでもお昼寝できてよ、でも恭一さんはちゃんとお昼寝するかしら?」

 

京子は椅子に座り、注がれたワインをゆっくり咽喉で味わうように飲む。その横顔を見ながら、その咽喉といい膣といい、京子そのものが性器だと思った。

 

食事が終わりに近づき、満腹感と酔いを心地よい風が冷ますように通り抜ける。京子と舌をからめ口付けをしながら、タオルケットの上に転がる。

 

 

午後の情事

 

俺は酔っていたこともあり、ゴロリと仰向けに寝ると京子がバスローブの紐を解き、タオルケットに広げる。既に俺のペニスは、第二ランドを迎えるべく空に向け雄叫びを上げている。

 

京子は股を広げてしゃがみ、ペニスの根元の堅さを確認するように、きつく掴み尿道に薬指をグリグリ押し付け、もう片方の手でかたみを折り曲げようとする。

 

痛いので顔を歪めると薄笑いを浮かべ、亀頭の先に大量の唾液を垂らす。唾液は口の中で貯めてはまた垂らしをくりかえし、ヌルヌルベタベタにする。

 

唾液遊びに飽きるとゆっくり跨り、欲情汁が滴り潤みきった花弁を指で広げ、亀頭の先にあてがいぐるぐると回しながら、静かにゆっくりと腰を沈める。

 

目の前で晒す股を大きく広げたその姿は、恥毛がまだ生えて無い幼い少女のように見るが、陰部にはまた別の顔がある。陰唇の陰に忍ばせている怪しく光る金色の鈴である。

 

 

京子は誇示するかのようにペニスの中ほどで止め、腰を振り陰唇を指で弾いて鈴の音を聞かせる。そして、ペニスをゆっくり飲み込み、心地よい温もりを味わうようにうっとりとした眼差しを俺に向ける。この昼の光に照らされ、微かに体は震えている。

 

ビスチェからこぼれ出でた乳房を下から持ち上げしとどに揉み、絞り上げる。京子はその刺激に腰を震わせ喜悦の声で答える。

 

「ウウウッアアイウウ〜〜・・・・・・・・」

 

俺は京子の苦悶の顔を凝視し、乳首のリングを引っ張ったり捻ったりして、京子の可愛いい乳房を責めて楽しむ。京子は咽喉の渇きを潤すようにゴブレットのワインを飲み干し、ゆっくりピストン運動を始める。

 

「恭一さんが欲しかったの よくてよ、もっと虐めて、」

 

京子は云い終わるか終わらない内に肛門に力を入れている。膣は挿入だけでも窮屈なのに、圧迫が亀頭やかたみに痺感を走らせ根元を締め上げる。

 

京子は薄笑いを浮かべ

 

「恭一さんどれくらい持つかしら アッアッフッフ〜・・・・・・・・・・・・・」

 

肩で息をし、腰を淫らに動かし、悶え狂う姿は卑猥で恥じらいなど微塵もない。性感が高るにつれ、声が高くなり、限りなく淫靡で破廉恥な姿は娼婦そのもので、蜜壺を自在に操り潤んだ瞳を投げかける。

 

肉壁の襞は鱗のように絡み、膣口や淫穴の奥深くで、強く弱く動きペニスを締めつける。この千変万化の膣の圧迫感に、俺は抗する自信がまるで無い。

 

歯を食いしばり抗しているが、奥深くまで飲み込んだり途中で止めたり、また深く飲み込む。ここにも別の生物が住みついているのか?

 

「京子さん 絞まる きつい いい 凄くいいですよ」

 

京子はペニスを咥え、ひたすらご馳走を味わっている。深く浅く腰の角度を変え、快感が更なる快感となって谺する。その快感に刺激され、膣は更に締めつけを強くする。

 

時間にしてどれくらいだろうか?快感はペニスから二つの玉まで達し、もはや前立腺はズタズタ切り裂かれ浮き足立ってしまっている。

 

乳房を揉み、腰をくねらせ、喘ぎ、嬌声を発しながらピストンを休むことなく続ける京子は、俺の上で炎のように揺らめき、煮えたぎる蜜壺から淫情汁を垂れ流している。

 

「キキッキテ、キテキテ、ウググググッ、キテ〜〜〜〜ゥゥゥ」

 

快感は「ジワジワジワ」と脊髄を這い上がり、骨一つ一を打ち砕く。目の前で繰り広げられる性の奥義の舞踊に、海馬は思考停止に追いやられ、快感や視覚に抗する歯止めを失っている。

 

これがあの花見の夜のお返しか?俺はひたすら突きまくり京子を篭絡したように思っていたが、これが京子の回答なのか?これが京子の天性か?

 

もう駄目だ。俺の全ての抑制機能が瓦解し、砕けていく。

 

この快感は何んだ?

 

「ウウウ〜〜グゥ〜〜」

 

俺は声にもならない悲鳴ともつかない怒声を口から吐き出し、腹筋と背筋が勝手に波打ち、京子を腹の上で持ち上げ精液を怒涛のごとく嘔射する。

 

京子は俺の激しい震えに慌てることなく、両手でしっかり脇腹を抑え乗りこなし、その揺れを味わうかのように目を閉じ、身を任せている。

 

俺のペニスは射精律動を続け、下腹に広がる放出の快感に身をよじらせ、震えに身を任せ、心地よさに酔っている。京子が少し遅れてアクメに達したのか、体を丸めうずくまり震えている。

 

抱きかかえようとするその手を払い除け、目を瞑り全身を大きく揺らしペニスを締め上げる。髪を振り乱し、腰をうねらせ、括約筋をこわばらせる。

「ウウウウウゥ〜〜〜〜ウグ、ウグ、イクッ、イクッイクッイクグゥゥゥゥ〜〜〜〜」

 

大きなアクメに達したのか?食いしばる苦悶の顔が悲しく無残で極限のあえぎをさらけ出し、その愛らしい唇から小さな声を発し、深く息をする。

 

「アア〜〜ゥ、アァ〜〜ァ〜〜〜」

 

「一人にしないで恭一さん、アアアアィ、イイイイ」

 

京子は律動を続け、うわ言を云い何かを探すように中空に両腕をやる。未だかつてこのような事を経験したことがない俺は、その腕を掴み上体を支える。

 

「恭一さん」

 

「大丈夫だよ京子さん」

 

京子は腕を手繰り抱きつく。

 

「恭一さん、アゥ〜〜アゥ〜〜」

 

身体にしがみついた京子は、なおも律動を続け花弁は弛緩と圧迫を繰り返す。根元が絞まるたびに心地よい圧迫感に、思わず声を漏らしてしまうのを堪えその快感に身を任せる。

 

跨っていた京子が横に崩れるように転がり、髪を乱し、すがるよう眼差しに声は細く途切れ

 

「恭一さ・・・・・アァ・・・・キョウ・・・・アゥ・・・ッ」

 

京子は快感に陶酔し、仰向けになり、股を開き、口を半開きに、息は荒く虚空を見据えている。

 

ペニスは射精脈動を続け、定期的に快感が全身を駆け抜ける。俺は上体を起こしてテーブルからボトルとゴブレットを取り、なみなみとワインを注ぎ一気に飲み干す。

 

京子は体を横たえ、まだ続く小アクメに体は波打たせ、首を左右に振ってそれに応えている。その様は、真っ赤に熟れた今にも落ちそうなマンゴウのように思える。

 

郊外の静かな土曜日の昼、二人は異常なまで熟した情を交している。そよぐ風がペニスにまとわりつき、白濁の淫欲汁と精液のコントラストを乾かし、こわばらす。

 

風は木々の葉を騒がせ、俺は幸福感に酔い快感の余燼に浸っている。すぐ隣で細く白い肢を“く”の字に曲げ、股を広げ横たわる淫靡で、痴乱で、淫虐の破廉恥娘の京子。何と甘美の時は流れるのか。

 

椅子に座り、ボトルを傾ける。ゴブレットに注がれたワインの色がいやらしく卑猥に感じる。その卑猥を一気に空け、空のゴブレットをパックリ開いた京子の股の付け根にあてがう。

 

その淫欲のロゼ色の花弁を広げワインカラーの膣奥から、ヌラヌラ流れ出る精液をゴブレットにすくい取る。既に垂れ流された精液を指ですくい、口に運ぼうとすると京子が首を振って俺を見詰めている。

 

中指と人差し指に絡みついたこの斑に彩る精液は、京子の好物である。俺は京子を横目に、口をわざと大きく広げ口の中に垂らす。からかわれているのを知ってか知らずか、起き上がった京子が飛びついてくる。

 

二人は、長く熱い抱擁と口づけをする。口の中の精液を転がし、捏ね、舌を絡ませ唾液と溶け合わせ、二人は飲み込む。京子を椅子に座らせ、なおも内腿を滴る精液を舐め上げ、舌を絡ませ交感する。

 

膣からこぼれた精液が入っているゴブレットにワインを注ぎ、指でかき混ぜそれを太陽に翳す。白濁汁とワインは、メリーゴーランドのように混ざる事なくゴブレットの中で回り続ける。

 

京子はゴブレットを俺から奪いウィンクをすると、子供が大事なお菓子を取られまいとするように体で隠し、三口ほどで飲み干し、空のゴブレットを俺に渡す。

 

京子はバスローブをはおり、小さくなった俺のペニスをしゃがんで優しく手のひらにのせる。

 

「クニュクニュクニュクニュ」

 

「小さくて可愛いい」

 

京子は音を立て、乾燥してこわばった精液と欲情汁をきれいに舐め取り、満足したのか脚を開いて前に放り出して座り、上半身を両手で支え深呼吸をする。

 

「恭一さん疲れて?」

 

「京子はとっても美味しくてよ、満足よ」

 

「シャワー浴びません?」

 

「うん、いいけど京子さん先に行ってください。もう少し京子さんの嫌らしいことを思っていたいから」

 

「まぁ〜もぉ〜恭一さんの意地悪」

 

京子は、そう云うとからだを翻がえしバスルームに消える。

 

俺は何て稚拙だったんだろう。京子に比べたら俺などただのチンピラに過ぎないなどと思い、ワインをゴブレットに注ぎ横になる。

 

 

シャワールーム

 

日が少し傾いている。さぁ〜どれくらいの時間が立ったのか?羽毛の枕とクッション、それに薄手の毛布がかけられている。

 

「恭一さん目が覚めて?」

 

京子が覗き込んでいる。ベルベットだろうか?モスグリーン地に青と白の小鳥を小さくプリントしたミニのタイトスカート、着合わせ部分がフリルで飾られたピンクのボタンの可愛いいシルクのブラウス、「何と華奢な肩だろう」恭一はまじまじと見詰める。

 

上にはおったクリームイエローのカーディガンと同じ色のストッキングが、初夏らしい軽やかさを引き立てている。

 

「恭一さん起きてくださいな、シャワー浴びてらっしゃって」

 

腕を両手で引っ張る。俺が起きないと体重をかけて引っ張る。

 

「イテテテッ」

 

「恭一さん大丈夫?御免なさい」

 

京子は膝を付いて覗き込む。俺は、腕を巻き取り引き寄せ抱え込み、口づけをしようと顔を近づけ化粧の濃さに驚く、朝会ったときも少し驚いたが明らかに夜の顔である。

 

アイシャドーにアイラインそれにマスカラ、頬の紅色はより強調され、普段よりきつい顔立ちになっている。ヘアースタイルもアップにしてある。この化粧で安物のワンピースを着て、路地裏でタバコを吹かしていれば堂々の街娼である。

 

流石にペニスは硬くなら無かったが、疼きを感じた。熱い口つけを交し、ルージュの味が朝つけていたのより濃くマッタリと感じる。

 

俺は京子に促され、バスルームに連れられバスローブを脱がされ丸裸にされる。すると、京子は俺のペニスを人差し指で持ち上げ、軽くキスをして俺を浴室に押し込む。

 

シャワーを浴び、髪と体を洗い湯船に浸かる。幸福とはこういうものか?など、今日一日の事を思い起こして一人ニヤついいると、外から京子が下着を置いておくと云っている声がする。

 

浴室の隅にビデとディルドが洗面器に入れて置いてある。それを見てビデは解るがディルドはと少し驚く、いったい俺が転寝しているうちに、少し太めで長いこれで何をしていたのか?ペニスが半立ちになる。

 

浴室から出てバスタオルで体を拭き、京子が買ってくれた下着に手を通す。既に一度洗濯をして糊落しをしてある。この気の効きようが嬉しい。

 

京子が浴室から出たのを知り、着替え部屋に入ってきて下着の大きさを確認し、丁度よかったわねと云って、嬉しそうに下着のそこかしこを引っ張って確認している。

 

「京子さん、洗面器に入っていたビデはともかくあのディルドは何ですか?」

 

「あら見てられたの?そうね〜、恭一さんの意地悪に仕返しさせて頂いたの」

 

「だって恭一さんたら京子に意地悪ばかりだもの、ですからお風呂でオナったの、恭一さんのより太いのよ」

 

京子は少し膨れっ面で、上目づかいではあるが目は笑っている。

 

下着姿も変なのでその上にバスローブをはおりソファーで一息つく、既に夕焼けが空を焦がし涼しい風が室内に流れ込む。

 

「恭一さん、今夜はお泊りしてくださいね」

 

「ご夕飯はどうなさいます?」

 

「京子はどこかお外でご一緒したくてよ」

 

「いいですよ、どこか外で美味しいものを食べましょう」

 

 

春爛漫

 

天真爛漫春爛漫である。晩春から初夏の季節といい何というか最高の夜である。俺は、髪を乾かし身支度を整え玄関に向かう。京子は戸締りを確認し、後から玄関にやってきて靴箱からローズカラーのサンダルを取り出し、恭一に見せる。

 

「どうぉぅ、このサンダル京子のお気に入りよ」

 

「うん〜いいですね〜」

 

これは、ただのお世辞ではない。一目見て恭一も「いいな〜」と思い、思わず出た言葉である。全体の感じ、特にストラップの組具合や重なり具合、踵の高さといった感じがいいのである。

 

二人でマンションを出たのは夕暮れもほぼ終わりに近づき、宵闇がせまり街灯の明かりが冴え。葉桜の並木道を歩き、公園の脇を通ると駅への商店街に行く道に出る。反対に行けば、畑や林などまだ田舎の佇まいを残している。

 

商店街を少しブラッとして、表通りから一本入った路地に小さなレストランを見つける。

 

「京子さんここ入ったことある?」

 

「うぅ〜うぅ〜ぅ」

 

京子は、首を横に振って。

 

「お店の前は何度か通ったことがあるけど、入ったことはなくてよ」

 

「じゃ〜入って見よう」

 

俺は、扉を引いて京子を入れ後に続く。広さは手前に4人掛けのテーブルが4卓、奥にそれを2卓つけて8人掛けにしたのがある。奥行きがあり、扉右手は奥までキッチンとカウンターが続く、客は6人。

 

チョッと頑固そうでゴッツイ顔のシェフは、こちらを見てその顔をほころばせ「ハイ〜いらっしゃい」と店に響き渡る大きな声で云うと、奥からウェートレスの若い娘が出てきて壁際の席に案内しようとする。

 

次いで若いコックが一人、奥から食材を持ってキッチン入り、私たちを見て軽く会釈をしてウェートレスに「そっちじゃなくて奥に案内してあげて」という。

 

フライパンを操りながらシェフが大きな声で、「そうだ、奥だよ〜」ウェートレスは私たちを奥の部屋に案内して連れて行く、そこは表と違い落ち着いた雰囲気で、裏庭がチョッとしたガーデンになっている。

 

かすかに、紅味を残していた空もレストランの席に着いた時にはすっかり宵闇が支配し、ガーデンを照らしている明かりにバラの花が浮かび上がっている。

 

レストランと云っても町の洋食屋さんである。ステーキやハンバーグにフライ、それにエスカルゴといったフレンチ洋食屋でボリュームいっぱいを心情にしているらしい。

 

もっとも、こちらもボリュームが無いと今晩のラウンドを乗り切れないと思うので、望むところである。京子もどうやら今晩を意識している。

 

「おビールとサラダそれとやっぱりステーキかしら?」

 

「恭一さんは何になさいます?」

 

「やっぱり、おビールとステーキねそうそう「生!」「生!」がよくてね」

 

「それに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

メニュー片手にテキパキとウェートレスに指示をする。差し詰め日ごろのルーチンワークのように「サラダは大きいボールで」などオーダーに勢いがある。

 

「京子さんすごい勢いですね」

 

「今晩はその勢いということですね」

 

身を乗り出し、京子の耳元で小さく囁くと顔を赤らめうつむいている。しかし、テーブルの下で俺の脛をサンダルの先で蹴るのである。

 

やがて注文の品が運ばれてきた。昼は京子の手料理を満喫、そして京子を満喫したが、さすがにこの時間になると空腹を覚える。

 

俺は、運ばれてきた生ビールのジョッキを掴み。

 

「京子さんそれでは乾杯しましょう。そうですね〜〜京子さんの健康を・・・・・・・・」

 

「違うわ京子と恭一さんの幸せにじゃなくて?」

 

「恭一さんよくて、今晩もっと楽しむのよぅ〜〜」

 

京子はそう云うとビールを勢いよく飲み、テーブルに音を立てて置き俺の顔を覗き込み、さらに話を続ける。

 

「あら京子だけかしら?恭一さん楽しくなくて?」

 

「い〜〜や、御免なさい。厳しいところ突いてきますね」

 

「嫌ですわ!恭一さんたら、京子がなんか変なこと言っているみたいじゃなくて?」

 

ま〜何というかタジタジである。やがて、メインディッシュのステーキが焼ける音と香りと共にテーブルに置かれ、店員がお決まりの文句を云う。

 

「熱いですからお気をつけてください」

 

京子は、そのじゅうz〜じゅうz〜もう〜もう〜とした、音と煙がおさまるかおさまらないかの内に、ナイフをグサリと突き刺している。

 

俺は、その仕草と眼差しをみた時、ある種の戦慄を感じたのである。

 

「京子は“S”だ」

 

かつて俺の母親がそうであったように、あの幼い日のあの夜、父にしていた仕打ち、あの眼差しあの仕草20年余の時を超え、ピタリとオーバーラップしたのである。

 

俺は、京子のその行為を時の経つのを忘れ、呆然と眺めている。

 

「あら恭一さんお食事・・・・・・・・・嫌ですわ、そんなジーと見詰めておかしいわ」

 

「あッ、そうですよねすみません。 あんまりその手が美しいので、つい・・・・・・」

 

「あら、そんな、そんなこなくてよ。 京子はこの小さな手が嫌ですわ。だって子供みたいなんですもの・・・・」

 

俺は、京子のその子供のような手で、しごき、摩ってもらった昼間の事を思い出し、俺のペニスは果報者よと声を出さずに呟く。

 

「恭一さんぜんぜん食べてらっしゃらない。 どうかなさったの?お加減でも悪くて???」

 

「いいえ、そんなことないです。京子さんのように美しくて素晴らしい人に出会え、僕は果報者だなと思ってつい見とれてしまったんですよ」

 

「さ〜〜、食べますよ〜〜〜」

 

京子は嬉しそうに微笑み、ステーキをほお張っている。どうやら、京子は肉がことのほか好きらしい。俺も取り返すようにステーキを貪った。

 

注文の品も出揃い、おおかた平らげお互いその食欲と速さに目を見張って、どちらともなくクスクス笑い出し顔を見合わせる。

 

ウェートレスは、済んだ食器類を運び始めるとシェフみずからがコーヒーを運んできて、ひとしきり料理の話をした後、我々の食欲に驚いたこと、特に京子の食べっぷりに感嘆したと嬉しそうである。

 

 

散歩と洋館

 

京子を先にやって、俺は会計を済ませ外に出ると京子が少し散歩をして行こうという。俺が先に歩き出すと京子が少し不満げにこっちを見ている。

 

俺が腕を差し出すと嬉しそうにしがみつき、ほとんどぶら下がる状態で少し酔ったのか、鼻歌など歌いながら歩いている。

 

俺は道が分からないので辻にさしかかるたびに、どっちに行くのと聞くと甘えているのか?ろれつが回らない口調で、あっちこっちと指を刺して指示する。

 

やがて、マンションとは反対側の竹薮や林がある淋しい道を歩いている。京子は相変わらず鼻歌を歌いながら、俺に引き摺られるようにダラダラとついてくる。

 

竹薮の角を曲がるとチョッとした広場があり、その奥に細い道が続いている。京子はその広場を横切り、細い道に俺を引っ張って行き、立派な門扉の前に出る。

 

「京子さんここ誰の家、チョッと寂しすぎませんか?」

 

「よくてよ、ここが私の家が有った所よ、その奥にまだ離れが残っていてよ」

 

確かに、奥を見ると小さな洋館のような建物が生垣越しに見える。京子は、ハンドバックからキーホルダーを引っ張り出し、開けてくれと俺に渡す。

 

俺は幾つか有る鍵の中からこれぞ、と思う鍵を差込み、門に巻きつけられた鎖にぶら下がる錠前を外し、ガラガラとやけに長い鎖を引っ張り、門を開ける。

 

門から離れまで暫く歩くが、確かに月明かりで家が建っていたようなコンクリートの土台がわかる。全体がよくわからないからどれくらいの広さかハッキリしないが、恐らくかなり広いことはわかる。

 

その屋敷跡を迂回するように道があり、ちょうど裏側に当たる辺りに離れがある。離れと言ってもかなりしっかりした石造りの洋館で、下手な一戸建てよりよっぽどしっかりした造りに見える。

 

離れの裏側は竹薮と杉林で囲われ、表側は3mほどのヒマラヤ杉や檜に囲まれている。

 

「京子さんここ誰か住んでいるんですか?」

 

「いいえ、誰も住んで無くてよ」

 

「すると空き家ということですか?」

 

「ええ、空き家よ、ですからこうして偶に来ますわ」

 

「ここで、一人で寝ることも・・・・・・・・・?」

 

「ええ、でも最近はお休みの日に来て、草むしりや立ち木の枝払い、それと部屋の風通しに来るくらいかしら」

 

「それじゃ〜お休みの時も忙しいいですね」

 

「裏のお家、農家なんですけど、そちらの奥様が暇を見ては風通ししてくださるし」

 

「でも、も〜慣れましたは・・・・・・・・・・」

 

京子は何か遠い昔を懐かしむように、離れの玄関に敷かれた石のところで、遠くの星空をながめている。

 

「恭一さん、ここから見る夜空が京子大好きなの」

 

「随分上機嫌ですね〜〜」

 

「ええ、ご機嫌よ」

 

京子はそう云うとクルリと振り返り、何やら壁の横を覗き込み手探りをしていると、突然玄関と少し離れたところにある外灯を点灯させる。

 

「恭一さんこちらよ、足元に気をつけてらっしゃって」

 

俺も小走りで玄関の扉の前に立つ、木でできた上の部分が丸い扉である。

 

「この扉、昔のヨーロッパにあるようなのと同じですね」

「ええそうよ、京子が小さい時にパパが大工さんにお願いして、こさえてくださったのよ」

 

厚手の板を何枚か並べ、板を束ねる鉄の板を上下横に2枚で補強してあり、鍵の部分は大きな錠前をかけられるように、ガッチリした鉄製でできている。

 

俺は、渡されているキーホルダーからひときは大きな鍵を錠前の鍵穴に差込む。錠を外して大きな鉄の環を引き、扉を開くと京子が先に入り明かりのスイッチを入れる。部屋の中央のシャンデリアがオレンジ色の温かい光を発する。

 

室内をゆっくり見渡してこの建屋全体がわかった。この離れは、広さ約10坪くらいで楕円形をして2階建である。

 

1階は石造りで中に入ると左側はキッチン、右が小さなリビングとその奥に二階に上がる階段、階段の下がトイレになっている。京子はリビングのソファーの横を通り二階に上がっていく。

 

俺も後を追って階段を上がると、先に上がった京子がシャンデリアの電気を点けていて、淡い光が部屋全体を覆っている。

 

木彫りでシンプルな形をしたシャンデリア、白熱球の光がガラスのカバーを通って優しい陰影を作り出している。

 

部屋の一番奥に置かれているベッドの真鍮製のフレームや絹製の上掛け、それらが、その光で陰影を織りなし眩しく光っている。

 

床は少し厚めで濃い目のベージュ色の絨毯が引き詰められていて、部屋全体に暖か味がある。京子はベッドに腰を下ろし窓の外の景色をながめている。

 

 

変貌

 

俺は京子の横に座り肩を抱いて、口づけをしつつ考えた。ここはいったい何なのか?しかし、じきその答えは恭一の予想を超えたかたちで知らされる。

 

京子は恭一のジャケットとシャツを脱がせ上半身を裸にし

 

「恭一さんこれ着けて」

 

京子が手にしているのは厚手の革でできた手錠である。

 

「京子さんいきなりなんですか」

 

「いいから着けて」

 

恭一は驚いた。今までのあの淑やかな口調が嘘のように、厳しく険しく冷たい言いようで一瞬たじろいだが、京子の云うとおり手錠に両手を通す。

 

京子は鍵を掛けるとベッドの下にある鎖を引っ張り出し、手錠のまん中に付いている大きなリングに通してベッドの四隅にある太いパイプの一つに巻き付ける。

 

京子は、ベッドから少し離れたところにある大きな木製の洋服ダンスの扉を開き、ゴソゴソしているので恭一も何をしているのかと、観音開の扉の中を見て愕然とした。中にあるのは、服ではなくいろいろな責具である。

 

京子は恭一に背を向け、洋服ダンスの小さな引き出しから錠前を取り出し、鎖に引っ掛け鍵をかける。

 

「京子さん、なんですこれSMですか」

 

京子は恭一の問いかけに返事もせず、洋服ダンスに無造作に吊るされているものや、重なっている責具を物色している。

 

「京子さんはSM趣味があったんですね」

 

恭一は何とか京子の関心を向けようとわざとらしく話しかける。が、京子は返事もせず黙々と物色を続けている。

 

やがて、竹でできたの細い鞭と卓球のラケット、それにギャムボールとアイマスクを無造作にベッドに置いて、一階に降りていった。恭一は、あの悪夢のような葛西と斎賀とのことが頭をよぎる。

 

恭一は一人ポツンとベッド腰掛、窓の外をボーと眺めていると僅かな睡魔に襲われ、ウトウトと腰掛けたまま居眠りをしてしまう。

 

どれくらいウトウトしていたのか、突然脇腹に激痛が走りベッドに倒れる。起き上がろうとすると更に首から背中にかけて痛みが走る。

 

恭一は驚きと痛みとで、ベッドから滑り落ち、床に尻餅をついた。眠っていたせいでまだ頭がボーっとしていて、目がかすんでいる。目を擦ろうとしたが鎖が邪魔をして手が動かない、それでも何とか右腕に顔を擦りつけて目を凝らすと、そこには京子ともう一人、片桐ミサ子が立っていた。

 

「おい、恭一、眠てんじゃねぇー」

 

ミサ子の部屋いっぱいに響き渡る声と共に、ラケットで右顔面を殴打する。更に左顔面をバックハンドで打ち払う。俺は、少し長めの鎖を引きずり床の絨毯に伏せる。

 

「おい恭一、お前葛西と斎賀の犬なんだってなぁー」

 

「薄汚ねぇーメスどもの犬かぁー」

 

ミサ子は、再度バックハンドで殴打する。恭一は驚きのあまり両腕で顔を隠し、身体を返して転がり絨毯の上を転げ回りうずくまる。

 

「恭一さん、どうしたのかしら?」

 

京子はうずくまっている恭一の背中をさすりながら、顎を優しく持ち上げ殴られて赤くはれている頬をその優しい小さな手のひらでさするのである。

 

恭一の瞼から涙が溢れ出し、腫れ上がった頬を伝う。

 

「恭一さん、薄汚いメスどもにおもちゃにされたのね。辛かったでしょう」

 

京子は優しく語りかけながら、その腫れ上がった頬を小さく細い親指と人差し指でツネる。肘が大きく内側に反るように腰を入れてツネるのである。

「ウッグェグェグェグェーウ」

 

恭一が思わず悲鳴をあげると、脇腹を京子はブーツの先で蹴り上げ、仰向けになったところをかかとで乳首を踏みにじって、脇の肋骨のところを更に蹴る。

 

「シューー、ピシ」

 

胸に赤い一線が走る。

 

「薄汚いメスどものドブ犬、ドブ犬」

 

京子は全身の力を込めて鞭を振り下ろす。

 

「ドブ犬、ドブ犬」

 

「無節操な盛りの付いたどぶ犬」

 

 

つづく

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