「マッチを擦る少女」      「ボクのサンタクロース」


 

マッチを擦る少女

                   恵末夢生


プロローグ

 クリスマスイブ、少女は街で小さなマッチ箱を拾いました。箱のラベルの片面には、手に持ったマッチの炎をじっと見つめている少女が描かれており、もう片面には

「マッチを擦って炎を見つめてごらん。今とはまったく違う世界が広がるよ」

と書いてありました。箱を開けるとそれぞれ色の違った4本のマッチ棒が入っていました。

少女はマッチ箱を家に持って帰りました。今年も一人ぼっちのクリスマスイブです。

炬燵に足を入れ、綿入りの半纏を羽織ってテレビを見ながら、ただぼんやり時を過ごしています。なんだかまた、エッチで嫌らしいことを考えそうです。実際には絶対何にもできないのに、一人でいるときはつい、エッチでとても嫌らしいことばかり考えてしまう自分が、とても惨めに思えてきました。

「そうだ、あのマッチを擦ってみようか」

少女はテレビを消し、マッチ棒を1本箱から取り出し、手に取りました。

公園

シュッ…。

マッチを擦ると、小さな炎が立ち上がりました。頼りなげなかすかな光だったのですが、見つめているとどんどん強い光になっていって広がり、まぶしくて見ていられなくなりました。目を閉じようとしたとたんに光はすーっとゆるやかに弱まり、街灯の光になってだんだん遠ざかっていくと、やがてピタリと止まりました。

 そこは少女がどこかで見た小さな公園でした。街灯の光で薄暗く照らされていました。

少女はハッとしました。

なんと、少女は全裸でした。しかも、仰向けになり、両手と両脚で体を持ち上げ、股を大きく拡げていたのです。

「嘘っ、嫌っ」

少女は身体を起こそうとしました。しかし、起こせません。何故か、手は肘から上、脚は膝から上が全然動かせないのです。しかも、身体を起こそうと力を入れると、逆に股を拡げ両手と両脚で仰向けになった身体を持ち上げたまま、勝手に腰がくねくねと嫌らしく動いてしまうのです。

「どうして、どうしてなの」

少女は泣きそうになって叫びました。

そのときコツコツと足音が近づいてきました。誰か公園の側の道を歩いて来たようです。

少女のいる位置は、その道からまる見えです。

肘と膝から下だけは大体思い通りに動かせるので、少女は仕方なく裏返しになった四つんばいの格好で動いて、道から見えないようにベンチの陰に隠れました。

コートを着てマフラーを巻いた男が一人歩いてきました。

少女は息を潜めて男が通りすぎるの待ち、見られないように気をつけながら男をちらりと見たのですが、アッと声を上げそうになりました。

男は首から上が犬だったのです。
「一体、どうなっているの。あたし、これからどうなるの」

少女は遠ざかっていく男を見送りながら、不安そうに呟きました。

そのとき、街灯の光がゆらゆらっとゆれると突然消え、真っ暗になりました。


街の広場

 気がつくと、少女は自分の部屋で、電気炬燵に脚を入れて横になっていました。

「あたし、夢を見てたのね。あらっ…。」

少女は、自分が両手を腹のところから、パジャマの中に突っ込んでいるのに気がつきました。左手は上に曲げ、右の乳房をつかんでいます。そして右手は下に伸ばしてパンティの中に入れ、指を二本恥ずかしい穴の中に突っ込んでいたのです。

少女は、あわてて両手をパジャマから抜き、右手を顔の前に持ってきて見ました。指にはねっとりとした液が付いていました。

「あたし、オナニーをしてたんだ」

少女は身体を起こしました。炬燵の上にはさっきのマッチ箱があり、その脇の皿にはマッチ棒の燃えさしが1本入っていました。

少女はちょっと考えました。またマッチを擦ってみようか。それとも、やめようか……。

やがて意を決して、少女は2本目のマッチを、シュッと擦りました。

また急にすごく明るくなり、まぶしくて見ていられなくなると、徐々に弱まっていきました。今度はいろんな色の光がぼやけて重なっており、それがだんだんとはっきりした別々の色になっていきます。さらにどんどんはっきりしてくると、それは光のイルミネーションで飾られたクリスマスツリーでした。少女は街の広場に飾られた大きなクリスマスツリーを見上げていたのです。

 広場は大勢の人で賑わっていました。男も女も、大人も子どももいろいろな人たちがいるのですが、その人たちは皆首から上は犬で、それぞれが大体違った種類の犬の顔をしていました。柴犬、ゴールデンレトリバー、コリー、チワワ、チン、ブルドック、…といろいろなのですが、それぞれがその人間の体格や体形に似合った犬の種類になっているので、少女は思わずウフッと笑ってしまいました。

「あら、あなた、なんてけがらわしい。どうしてそんな破廉恥な格好をしているの」

甲高い声がして少女は、ハッとして我に返りました。気が付くと、スピッツの顔をした中年のおばさんが見下ろしていました。少女はやはり丸裸で股を拡げ、両手両足で身体を持ち上げたあの恥ずかしい格好で人ごみの中にいたのです。

「いえ、あの、これは、その……」

少女は恥ずかしくて、何とか身体を起こそうとするのですが、腰が勝手にくねくねと動くばかりです。

「まあ、嫌らしく腰を振ったりして、なんて嫌らしいんでしょう」

おばさんは、ますますいきり立ってきました。とりあえずここは逃げるしかなさそうです。

少女は股を拡げたまま、四つんばいの裏返しの格好で脚を先にして、速足で歩き出しました。本当は股を拡げた脚の方向とは逆に進みたかったのですが、そうすると首をうんと後ろに反らせなければ前が見えないので、とても進みにくいのです。

少女は人ごみの中をすり抜けて、丸裸のまま裏返しの四つんばいで逃げていきました。

「その破廉恥な子、捕まえてー。警察呼んでー」

後から、スピッツおばさんの金切り声が追いかけてきます。

「何々、どうしたの。あれ、素っ裸じゃないか」

「えっ、あっ、あれ、女のストリーキングじゃないか」

「露出狂だ。露出狂だ。すごく若くて、かわいい顔をしてるぞ」

「・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・

犬の吠えるのが連鎖するように、いろんな人の声が降りかかってきました。

そのうち人にぶつかり、逃げる方向を変えようとしたとき、

「どいて、どいてー」

ました。チラッとその方向を見ると、制服を着た警官が何人も少女の方に向かってきていました。その顔はシェパードに、ドーベルマンといった警察犬として使われる種類ばかりです。

「あっあたし、あの人たちに捕まっちゃうわ。どうしたらいいの」

少女が絶望的に呟いたとき、辺りが急に明るく光ったかと思うと、真っ暗闇になりました。


教会

 気が付くと、少女は1本目のときと同じように、炬燵で寝転んでいました。パジャマに両手を突っ込んでいるのも同じですが、今度は左手を恥ずかしい穴に突っ込み、右手で左の乳房をつかんでいました。左手の指をパジャマから出してみると、さっきよりもべっとりとぬれています。

「嫌だわ、あたし。あんなに恥ずかしくて恐ろしい目にあっているのに、こんなことになっちゃっているなんて」

少女は身体を起こしました。炬燵の上には、マッチ箱と2本のマッチ棒の燃えさしが入った皿がありました。少女は少し空腹を感じ、ゆで卵を作っておいたのを思い出し、台所へ行ってゆで卵を2つ持ってきて炬燵の上に置き、ふたつとも殻を剥き皿の上に置きました。

そのうちのひとつを取り、口の傍まで持っていったところで少女はそれを皿に戻し、

「やっぱり、もう1本擦ってみよう」

と、箱からマッチ棒を1本取り出し、シュッと擦りました。

今度もすごく明るくなって、すごくまぶしくなると徐々に光が弱まって、やがてまばゆい金色の光に変わりました。まばゆさが少しずつ減っていくと、やがて磔にされたイエスキリスト像が彫り込まれた金色の十字架になり、祭壇が見えてきました。

そこは教会の中でした。少女はまたしても、四つん這いを裏返しにした格好で、祭壇のまん前の台の上に股を大きく広げて、キリスト像に真正面から向き合っていました。

そのとき、シベリアンハスキーの顔をした神父が現れて、十字架のキリスト像を隠すように立ち、少女を見下ろしました。神父は手に、火の付いた大きな蝋燭をもっていました。

「汚れたる罪深き娘よ。お前は淫乱の罪を重ね、ついに悪魔に魂を売り、その魔法によりそのようにこの上なく淫らで恥ずべき姿を晒し続けている。自らの行いを恥じ、悔い改めて、主のお慈悲により救われようとするならば、今ここで主に懺悔しお許しを請うがいい」

青白い冷たい目で見下ろして厳かにそういうと、神父は祭壇の少し脇のほうに寄りました。

嫌らしいことを考えては濡らしていたから魔法にかかったのかと、少女は納得できました。

「はい、あたしは嫌らしく恥ずかしいことを考えては感じてしまい、一番恥ずかしいところを濡らすという、淫乱なことを繰り返しておりましたので、とうとう魔法でこのように淫らで恥ずべき姿をしたままにされてしまいました。これまでの淫乱な行いを悔い改め、今後は絶対しませんから、どうかお慈悲を持ちまして魔法からお救いください」

「ふん、その言葉を忘れるではない。では、主のお慈悲によりこれから『悪魔祓いのミサ』を行い、魔法を解いてしんぜよう。お前は身をもって罪の重さを噛みしめるがよい」

神父がそういうと、それぞれプードルの顔をした5人のシスターが現れて少女の両手両足と頭の位置に立ち、4人が少女が乗っている台に取り付けられている拘束具を使って、少女の4つの手足を縛り付けました。そして残る1人が少女の口に口枷を嵌め、鼻の穴にフックを引っ掛け、付いている紐をぐっと引っ張って、少女の顔を仰向けに反らせたまま、台に付いている金具に結び固定しました。最後に神父が、手に持っていた火の付いた蝋燭を動かして十字を切り、丸く削られた元のほうを少女の一番恥ずかしい穴に押し当てました。

「う、う、うぐぐ・・・」

少女はびっくりして逃れるべく身体を動かそうとしましたが、身体はそれとまったく相反して動き、腰を嫌らしくくねらせて恥ずかしい穴にそれを迎え入れ、すぐに火の付いた蝋燭を深々と飲み込んでしまいました。恥ずかしさと惨めさに打ちひしがれて、少女はさめざめ泣き涙を流しました。

「淫乱な娘に巣食う邪悪なる悪魔の魔法よ。いざ、聖なる滴によって、砕け散るがいい」

神父のそのひとことで悪魔祓いのミサが始まりました。

祭壇に用意された何本もの赤い蝋燭を、神父とシスターたちが次々にとって、少女の股に突き刺さった蝋燭の火を移すと、十字を切るように動かしながら蝋液を溜め、溜まった蝋液の滴をを少女の肩、胸、腹、股、太腿に、ポタポタと落としていきました。

「うっ、うー、うー、うっ・・・」

口枷で口を塞がれているので、少女の悲鳴は声になりません。

少女の白い肌が蝋燭の滴で赤く覆われていき、熱さで少女は身体をピクつかせていました。

顔に水をかけられて少女が我に返ると、手枷、足枷、口枷、鼻フックはすべて外されていて、シベリアンハスキー顔の神父が目の前に立っていました。

「娘よ。悪魔祓いのミサは終わった。見よ、お前の穢れた身体を覆っている邪悪な魔法を打ち払うべく描き出された聖なる十字を。今や、魔法は打ち砕かれた。起き上がるがいい」

少女が自分の身体を見てみると、肩から太腿までびっしりと赤い蝋滴で埋められている中に、滴が落とされず肌が見えている部分が、くっきりと十字架を描いていました。

「どうもありがとうございます」

少女は礼をいって身体を起こそうとしました。しかし、いくら起こそうとしても身体は起こすことはできず、また意に反して、腰をくねくねと動かしていました。

「なんと、まだ淫らな振る舞いを続けているではないか。聖なる悪魔払いのミサを施してもそのように淫らなままでいるのは、お前が魔女であるからに違いない。それっ」

「そんな、あたし、魔女なんかじゃ…、あっ、うっ、うぐ、・・・」

あっという間に少女は、また元のように手枷、足枷、口枷、鼻フックをつけられました。

「魔女と判れば、聖なる十字の剣でその身を突き刺し、切り刻まねば、邪悪は消えぬ」

神父が冷たく言い放つと、神父と5人のシスターはそれぞれ十字の剣を右手に持ち、高く振りかざしました。

「ああ、あたし、殺されるの」

少女が心の中でそう呟いたとたん、光が点滅しパッと消えて真っ暗闇になりました。


喫茶店

 気が付くと、少女は炬燵に足を入れて寝転んでいました。今度はパジャマもパンティも脱ぎ捨てて、全裸になっていました。しかも、口にはゆで卵を1つくわえ、もう一つのゆで卵は、恥かしい穴の中に入れていました。

「あたしって、本当に淫乱・・・」

少女は、口と恥かしい穴からゆで卵を取り出し、泣きながらシャワーを浴びました。

新しいパンティをはき、新しいパジャマを着ると、少し気持ちが治まりました。

綿入りの半纏を羽織って炬燵に入ると、マッチ箱と燃えさしのマッチ棒が3本入った皿が、目の前にありました。迷いながらもマッチ箱を手にとって開けると、残りは1本でした。

しばらくためらっていましたが、少女は最後のマッチをシュッと擦りました。

 またパァーと見ていられないほど明るくなって、徐々に光が弱まっていきました。今度は煌々と光るまん丸の光です。その光がだんだん遠ざかり小さくなっていくと、それは満月の月明かりでした。天窓の上に青白く光っています。天窓からあたりに目を移すと、少女は椅子とテーブルがいくつか並んだ通路にいました。少し奥にはカウンターと止まり木の椅子も見えます。カウンターの奥の棚にはコーヒーカップやコップがたくさん並んでいて、どうやらここは喫茶店のようです。

「あれっ、お嬢ちゃん。どこから入ってきたの?」

店のマスターらしいラブラドルレトリバーの顔をしたおじさんが、

「喫茶らぶらどる」と書かれた看板を抱えて入り口から入ってきました。

「あっ、ごめんなさい。すぐ出ていきますから」

少女は、拡げた股をマスターにまともにむけたまま、泣きそうな声でいいました。

「おい、おい、出て行けなんて誰も言っていないぜ。それにそんな素っ裸で外に出たら、ちょいとした騒ぎになっちまうぜ。それとも、どうしても急いで行かなきゃならないところでもあるのかい?」

少女は悲しげに首を横に振りました。恥かしくて仕方がないのに、また腰をくねくねとくねらせてしまいます。マスターは驚いたようでしたが、すぐ目を逸らせてくれました。

「ふうん、何か、訳がありそうだな。まあ、そこの椅子に座って少し休んでいきな」

「ありがとうございます。でもあたし、魔法をかけられているようで、この格好のままで歩いて進むことはできるんですけど、身体を起こすことなんかはできないんです」

「ほう、魔法でそんな風にされちゃったの。それは災難だね。分かった。ちょっと待ってな」

マスターは少女の脇を通り抜けて店の奥に行き、毛布を持って戻ってくると、それを少女の身体を覆うようにかけてくれました。

「とりあえず、こうしておかなきゃね。クッションをもってきて背中の下に置こうか?」

「どうもありがとうございます。でも、これで大丈夫です」

「そうかい。でも苦しくなったら遠慮なくいうんだよ。」

「はい、どうもありがとうございます」

「ゆっくり休んでいくといいよ。今、温かいミルクでも入れるから」

マスターはカウンターの中に入っていきました。

「すみません。ありがとうございます」

あまりにも優しくしてくれるので、少女はマスターに何もかも話してしまいたくなってきて、毛布を乗せたまま身体を回してマスターの方に向きを変えました。

「あのー、あたしの話を聞いてもらえますか」

「ああ、よかったら話してみて」
少女はマッチを拾ってから起きたことを、マスターに全部話して、

「……。だから、あたし本当に魔女なのかもしれないんです」

と、涙ぐんでいいました。

いをしたね。でも、お嬢ちゃんは魔女なんかじゃないよ」

「えっ、本当ですか」

少女の顔がパッと明るくなりました。

「そう、魔女じゃなくて、多分マゾなんだと思うよ」

「あっ、それじゃああたし、やっぱりマゾなんでしょうか」

少女は少し顔を曇らせました。

「なんだ。マゾじゃ、嫌なのかい」

少女はコクンとうなずきました。

「それじゃあお嬢ちゃんは、自分ではマゾじゃないと思っているのかい」

「いいえ、たぶん、マゾだと思います」

「どうして?」

「嫌らしくて恥かしいことを考えては、感じたり濡らしたりしてしまうからです。今夜もそうです。マッチを擦るたびにどんどん嫌らしくて恥ずかしいことがひどくなるのに、マッチを擦ってしまうし、淫らに濡らしてしまうんです」

「なるほど、それで気持ちよかったかい」

「は?」

「感じて濡らして、気持ちよくなれたのかね」

「いえ、すごく興奮はしたんですけど、気持ちいいとはあんまり感じませんでした」

「そりゃあ、ちょっと変じゃないかねえ。だって、感じたり濡れたりするのは気持ちいいからのはずだろう」

「はあ、そう、たしかにそうですよね。どうしてあたしは気持ちよくなれないんでしょう?」

「それはね、多分お嬢ちゃんが本当に求めているのは、恥かしくて嫌らしいことそのものではなくて、恥かしくて嫌らしい自分を受け入れてくれる人だからだと思うよ」

「はあ?」

「ちょっと分かりにくいか。それじゃあ、今仮にお嬢ちゃんに好きな人がいて、その人はお嬢ちゃんが恥かしくて嫌らしいことをせずにいられないということをよく知っているけど、それでもお嬢ちゃんが好きだと思ってくれるとするよ」

「はい」

「その人に『見せても大丈夫だよ』といわれて、その人の目の前で恥かしくて嫌らしいことをしたとしても、お嬢ちゃんはあんまり気持ちよくならないかな」
「あ、いいえ、とっても恥かしいけれど、多分嬉しくて気持ちよくなると思います」

少女は、顔を赤らめながら答えました。

「そうだろう。だからお嬢ちゃんが本当に求めているのは、恥かしくて嫌らしいことをするお嬢ちゃんを受け入れて愛してくれる人なんじゃないかな」

「…」

少女は、頭の中に固く張りつめていた氷が、急激に解けていくように感じていました。

「分かりました。そうです。あたし、そういう人が欲しかったんです。あのう、それでマスターに一つお願いがあるんですが」

「ほう、なんだね」

「毛布を取って、あたしの恥かしいところを見て欲しいんです。マスターに見られるのはとっても恥かしいんですけど、でも見て欲しくてたまらなくなってきたんです」

「ほう、そうかい。それは光栄だな。俺でよければ見せてもらうよ」

マスターはカウンターから出て、少女の足の前に胡坐をかいて座りました。

「じゃあ、毛布をとるよ。いいかい?」

「はい」

マスターは静かに毛布を、少女の身体から外しました。

「うーん、とてもきれいで可愛いよ」

「あ、あぁ、とっても恥かしいです。でも、とっても嬉しいです。あ、あぁ…」

少女の腰がくねくねと動き始め、だんだん大きく悩ましく、くねるようになってきました。

「あ、あぁ、……、あ、あ、あぁ、……、あ、あぁ、あ、あ、あ、あん、いっちゃあうー」

少女の恥かしい穴から白い汁があふれ出てきました。

「あ、あ、あ、あぁ、あ、あぁーん、は、はぁ、はぁ、はぁ」

少女は完全に絶頂に達して、やがてそれを通り越して身体中の力が抜けたように感じていました。

「どうだい、お嬢ちゃん。気持ちよかったかい?」

「はい、すっごく、すっごく、気持ちよかったです」

「そりゃあ、よかった。あれっ、お嬢ちゃん。魔法が解けたんじゃないかい。床に腰を下ろしているよ」

「えっ、本当ですか」

本当でした。少し試してみると、肘から上も膝から上も思い通りに動かせました。

「わぁ、よかった。嬉しい。とっても、嬉しい」

「やったね。さあ、これで拭いてカウンターにおいで。温かいミルクを入れるよ」

マスターはティッシュの箱を渡して、カウンターの中に戻りました。

少女はティッシュで後始末をして、毛布を羽織ってカウンターの止まり木に座りました。

「じゃあ、魔法が解けたことに乾杯だ」

マスターはコーヒーの入った自分のカップを、少女が手に持ったミルクのカップにコツンと当てました。カップを持ち上げてから、少女は一口ミルクを飲みました。

「ああ、すごくおいしいです。どうもありがとうございました。全部、マスターのおかげです。本当になんといってお礼をいったらいいか、分かりません」

「いや、魔法を解いたのはお嬢ちゃんだよ。もっとも、多分魔法をかけたのもお嬢ちゃんだろうけどね」

「えっ、それじゃあ、あたしやっぱり魔女なんでしょうか」

「あはは、お嬢ちゃんが魔女だっていっているんじゃないよ。お嬢ちゃんが自分のことをマゾだと思っていながら、マゾであることを嫌がっていたから、お嬢ちゃんの心の中にあるマゾが、自分もお嬢ちゃんの一部だってことを認めて欲しいって、反乱を起こしたんじゃないかなといっているんだよ。マッチをするたびにどんどん酷いことになっていったのは、お嬢ちゃんの中のマゾが『私のことも認めて』っていうメッセージじゃないかな。だから、俺に自分がマゾだってところを見せたら、身体が動くようになった気がするよ」

「その通りかもしれません。あたしもう、自分がマゾだってこと嫌じゃありません」

「だったら多分もう、さっきみたいな魔法にかかったりはしないから心配ないよ」

「あたしもそんな気がします。本当におかげさまで救われました。それで、あのう…」

少女は顔を赤らめて、もじもじしていました。

「どうした。何でも遠慮なくいったらいいよ」

「はい、あの、あたしがこれからマゾとして生きていくためには、恥かしくて嫌らしいことをして感じてしまうあたしを受け入れて下さる人が必要ですよね」

「うん、そうだね」
「あのう、マスターがその人になっていただけないでしょうか」

少女は真剣なまなざしでマスターをみつめました。

「そりゃあ、とても光栄だけど、俺にはそれはちょっと無理だね」

「えーっ、どうしてですか」

「お嬢ちゃん。俺はお嬢ちゃんがマッチを擦ったから出てきたんだってことを、忘れちゃいないだろう。だから俺は、お嬢ちゃんが擦ったマッチが燃え尽きれば消えてしまうのさ」

「嫌です。消えないでください。お願いです」

少女は何度も頭を下げて頼み込みました。

「お嬢ちゃん、歳はいくつ?」

「18です」

「若いなあ。それじゃあ、青春もまだほんの序の口じゃないか。大丈夫、自分に素直になって一生懸命生きていれば、必ずお嬢ちゃんが求めている人が見つかるよ」

「……」

少女は、しょんぼりとうなだれていました。

「元気を出しなよ、お嬢ちゃん。ほら、天窓を見てごらん」

少女は振り返って、天窓を見上げました。

「天窓の向こうにお月さんが見えるだろ」

「はい」

「マッチの中の世界じゃなくてもお月さんは見えるよね」

「はい」

「俺はこんな素敵なクリスマスイブにしてくれたお嬢ちゃんのことを忘れないよ。あの天窓のお月さんを見上げるたびに、お嬢ちゃんを思い出してがんばれって応援するよ。だから、お嬢ちゃんもお月さんを見たら、俺とこの喫茶店を思い出してくれたら嬉しいな」

「はい」

少女は深くうなずきました。

とたんに真っ暗闇になって、何も見えなくなりました。


エピローグ

 気が付くと、少女は炬燵に足を入れ、上体を炬燵の上に突っ伏していました。

「あれっ、またなの」

少女は股間に異常を感じていいました。明らかに湿っていたのです。

「嘘っ、生理が始まっちゃてる」
パジャマのズボンの股のところが赤く染まっていました。

「信じられない。あたしってすごく順調なのに・・・」

少女は立って後始末をし、またパジャマと下着を着替えました。

部屋に戻ると炬燵の上に、マッチ箱と燃えさしのマッチ棒が4本入った皿がありました。

少女は炬燵に入ってマッチ箱を手に取りました。

「あっ、そうか。あたし今夜、ラブラドルのマスターのおかげで、今までと違った新しい女の子になったんだ。だから、急に生理になったんだ。そうか、そうなんだ」

少女は立ってボールペンをもってきて、マッチ箱のラベルに「喫茶ラブラドル」と書き込みました。マッチ箱はもう空っぽだけど、こうすればあのマスターがいつも傍にいてくれるような気がしたのです。

「そうだ、月を見なくっちゃ」

少女は窓辺に行き、カーテンを開けました。

暗い夜空に、満月が冴え冴えと光っていました。

「あのお月様の下に喫茶ラブラドルの天窓があって、天窓の下にはマスターがいる」

そう呟くと少女の目には、満月の中にマスターの顔が浮かんできたように見えました。

「マスター、あたしマスターが教えてくれたように、新しい女の子になって一生懸命いきていきます。今夜は素晴らしいクリスマスイブとクリスマスプレゼントをどうもありがとうございました。これからもお月様の見える天窓の下で、あたしを応援していてくれることに感謝の気持ちをいっぱいいっぱい込めて、今夜のこの素晴らしいクリスマスイブに、メリークリスマス!」

少女は、心の中でそう叫びました。

                                    おしまい

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Figaroさんの画像コラージュ小説に刺激されて、クリスマス向けの小品を書いてみました。どなたかに画像をつけていただければ幸いです。

 
 

ボクのサンタクロース


 

        恵末夢生

 街角にジングルベルが流れ、クリスマスが近づいてきました。サンタクロースが早く来てくれるといいなと、ボクはイブを心待ちにしています。

 5歳でSに目覚め、インターネットも駆使するようになった早熟なボクには、6歳だった去年のクリスマスまで、サンタクロースがプレゼントをもってきてくれるなんて、とても信じられませんでした。ところが、6歳だった去年のイブ、本当にサンタクロースがプレゼントを持って、ボクのところに来てくれたのです。しかも、真っ赤な鼻のトナカイが、大きな袋を肩にかつぎあぐらをかいて乗っている橇を引いて・・・。

 雪の多いボクの住んでいる街ではホワイトクリスマスになることが珍しくなく、去年もイブもやはりホワイトクリスマスでした。ボクが部屋でパソコンを開き、SMサイトをのぞいていると外から鈴の音が響いてきたので、ボクは窓に寄って外を見てみました。すると、雪野原の上に通ってきた跡を遠くまでつけて、トナカイが乗った橇を引いたサンタクロースが、すぐそばまでやって来ていたのです。驚いたことにサンタクロースは白いひげのおじいさんではなく、赤いサンタ帽をかぶって両手両足に赤い長靴を履いた、素っ裸のおねえさんでした。

 おねえさんは、仰向けになって両手両足だけで身体を持ち上げた裏返しの四つんばいの格好で、橇につながるロープを口にくわえて、脚を前にして進んできました。大きくひろげた股の付け根には、極太の真っ赤な色のろうそくが突き刺さっていて、赤々と燃える炎がおねえさんとその周りを照らし出しています。一歩一歩雪の上を進むたびに、おねえさんのでかいオッパイがゆれ、乳首につけられた鈴がオッパイの上で弾んで音を響かせます。

 やがて窓までたどりつくと、サンタクロースのおねえさんはロープを口から離し、代わりにトナカイがかついでいた袋の端を口にくわえ、スーッと窓を通り抜けて部屋の中に入ってきました。僕がびっくりして、裏返しの四つんばいで目の前にいるおねえさんを、正面から茫然とみつめていると、おねえさんは袋を口から離し、アソコに極太のろうそくが刺さったままの腰を悩ましく上下左右に振りながらいいました。

「メリークリスマス、Sのお坊ちゃま。クリスマスプレゼントをお持ちしました。袋の中に責め具がいろいろ入っていますから、それを使って心行くまでMの私をいたぶってくださいませ」
 なるほど、袋を開けるとM女をいたぶる道具が次から次へと出てきました。ボクはその全てを使って、次から次へとおねえさんをいたぶり続けました。おねえさんは悲鳴と歓喜の声を上げ続け、アソコから泉のように粘液を垂れ流し、部屋中に巻き散らかしました。

やがておねえさんがいいました。
「日付が変わるまでに、私はおいとましなければなりません」

「あとでママに怒られちゃうから、きれいに掃除していってね」とボクはいいました。

「もちろんでございますとも、お坊ちゃま。それではまず、お坊ちゃまからきれいにさせていただきます」

おねえさんは手足から始めてボクの全身にでっかいオッパイをこすりつけ、汗や粘液をぬぐいとり、さらにていねいに舌で舐めとってきれいにし、その後床に這いつくばって同じようにオッパイと舌で部屋の床もきれいに掃除しました。

「お坊ちゃま、それでは私はこれで失礼させていただきますので、恐れ入りますが私の行く手を照らすろうそくを、私の淫乱なアソコに突っ込んでいただけますでしょうか」

 裏返しの四つんばいになって大きく股を拡げたおねえさんは、ボクにそう頼みました。

ボクはいわれた通り、抜いておねえさんの身体中にロウをたらすのに使ったりしていた例の極太のろうそくを、濡れ濡れになったおねえさんのアソコに突っ込んであげました。

「ありがとうございます。Sのお坊ちゃま。お許しがいただければ来年のイブにもまたこの淫らなプレゼントをお届けにまいります」

「うん、絶対来てね。約束だよ」

「ありがとうございます。来年もきっとまいりますので、どうか今年以上においたぶりくださいませ」

そういうとおねえさんは、来たときのようにスーッと窓を抜け、待たせていたトナカイが乗った橇のロープを口にくわえ、赤いサンタ帽をかぶり両手両足に赤い長靴を履いて、裏返しの四つんばいなって橇を引いて、大きく広げた股の付け根から生えた極太のろうそくの灯りに照らされて、オッパイを揺らしつけられた鈴をならしながら、真夜中の雪野原を去っていきました。

 7歳になった今年、ボクはサンタクロースはいるって信じています。そして、イブに鈴を鳴らして来てくれるって信じています。必ず、Mのおねえさんのサンタクロースが、Sのボクが一番望むプレゼントを届けに来てくれるって、心の底から信じています。


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