「卯月」

片桐

 

第1部

その日、いつものように仕事を終えた卯月は、自分のデスクで帰り支度を始めていた。その日は残業もなく比較的早く会社を出られそうなので、駅前に新しくできたショッピングモールにでも寄ろうかと少しうきうきした気分で机の上の書類を整理していた。

27歳になる卯月は某企業で生産管理の仕事をしている。同年代の三人の同僚と毎日机に向かい膨大な書類とにらめっこを続ける毎日である。根が真面目な性格の卯月は手抜きができない性分でその分何かと社内でも気苦労も多かった。

いつも一緒に部屋を出るのだが、その日はたまたま卯月だけが早く仕事を終えることができ同僚に「お先に」と声をかけ一人で部屋を出てきた。いつもより早く帰ることができると少し浮かれていたためか、いつもは返事を返してくる三人の同僚がその日に限って無言だったことに卯月はまったく気が付かなかった。もし仮にその時三人の様子がいつもと違うと気が付いていたら少しは状況も変わっていたかもしれない。だが…

 

この日がメス豚卯月の誕生日になった。

 

更衣室に入った卯月が自分のロッカーの前まで来た。突然背後で更衣室の鍵が外から締められる音がした。不審に思った卯月はドアのところまで戻った。妙な胸騒ぎを感じた。ノブに手をかけ何回か廻してみた。が、ノブは外から鍵がかけられていたらしくびくともしない。

「おかしいな」

もう一度ドアを手で強く推してみた。ドアはびくともしなかった。「ひょっとして閉じ込められたの?」

外にいる人に声をかけてみようと身を乗り出した瞬間、何者かが背後から卯月の口にガーゼを当てた。薬品の匂いが鼻腔からやがて卯月の身体全体に広がり徐々に意識が薄れてきた。

 

次に気が付いたとき、彼女は大きな大型犬用の檻の中にいた。ぼんやりとした頭のまま徐々に意識が戻ってきた卯月は自分の姿を見て悲鳴をあげた。

「きゃあぁ」

彼女は素っ裸であった。何一つ身に纏っていない丸裸であった。

「おや、雌豚がお目覚めのようね」檻の向こうの応接セットにたむろしていた数人の男女が卯月の悲鳴を聞いて一斉にこちらを振り向いた。「いやあ!」卯月は自分以外にも人がいることに気が付いて身体を隠しながら今度は少し小さな悲鳴をあげた。

驚いたことにそこにいたのは卯月の会社の三人の同僚である。彼女たち以外に、男が一人と、黒いエナメルのボンデージファッションに身を包んだ女性がいた。

「どうして?」状況を理解できないまま卯月は檻の中、胸と下半身を手で隠すようにして上目遣いに、「ばかな真似はよして、お願いここから出して」と同僚に声をかけた。

「フフフ、いい恰好ね」同僚の一人彩路は、卯月の願いを無視すると檻の中で全裸で蹲る彼女を見て満足そうな笑顔を浮べた。「なぜ、なぜこんなことするの?今すぐここから出して」卯月は彩路を睨みつけながら言った。

「あはは、真っ裸で睨みつけられても迫力ないはね。あはは、あははは」彩路の言葉につられて皆が一斉に笑い出した。

「アハハ、ほんと真っ裸で良く言うわ、ははは」

卯月の身体が屈辱で震えた。確かに着物一枚ないことが気持ちを不安にさせた。薄い服一枚なくなるだけで人間としての尊厳までもなくしたような不安な気持ちになる。卯月は檻の中で身体を折り皆の視線から胸と下半身を隠した。

「何でこんなことしたか教えてあげようか」彩路が言った。

「あんた、神谷さんにちょっかい出したでしょう」

「神谷さんは私の男なの、この泥棒猫が!」誤解だった。ちょっかいを出してきたのは神谷の方だった。卯月は彼のことなどどうも思ってはいない。

「誤解です、私は彼のことなどなんとも思っていません」

「うるさい、この際だから、あなたには永遠に彼から離れてもらうからね」

「…」

「ここはね。メス豚研究所。あなたのような泥棒猫を二度と他人の男にちょっかい出せないように調教するところなの。どうあなたにぴったりでしょう」

「もう二度と人間としては人前に出られないんだよ、今日からここでしっかりメス豚として調教してもらうんだよ。わかった。うれしいかい」

「そんな、なんで」

「仕方ないね、恨むんなら運命を恨むんだね。じゃあお願いします」彩路はそう男に向かって軽やかに言うと、「せいぜいここで得意のメス豚振りを発揮しな。あはは」と檻の中に卯月を残して部屋から出て行った。遠ざかる彼女のヒールの靴音が部屋中にこだました。

「待て、お願い私をここから出して、誤解なんです」しかしその叫びは空しく響いた。

彩路たちが出て行った部屋の中に卯月一人が残された。残された若い男と女は彩路たちが出ていくのと同時に隣の部屋に移ってなにやら話し込んでいる。

少し落ちつきを取り戻した卯月は鉄柵の間から部屋の様子を見渡してみた。

部屋はまるで大理石で作られた中世のお城のようだった。壁にかかる絵や高い天井から吊り下げられたシャンデリアも大きく、時代を感じさせる重厚なものだった。部屋の片隅にはまるで昔にタイムスリップしたように古びたソファーとテーブルが並べてあり、その前には暖炉が据え付けてある。暖炉の上には大きな蝋燭立て。まるでヨーロッパ中世に迷い込んだような部屋である。目を檻の後ろに転じてみると、

「きゃあ〜」そこにあるものを見て思わず卯月は悲鳴をあげた。今まで気が付かなかったが、檻の後ろ側の壁には鞭や手枷足枷鎖拘束具などが飾ってあり、その横には何に使うのかわからないがまるで拷問道具のような大きなペンチなどが所狭しと並べられている。それだけではない、その横には大きな額縁に納められた5人の女性の写真が飾ってあった。しかもその女性は全て全裸で犬がチンチンをするように、爪先立ちで中腰になり足を広げ局部を丸出しにして手を胸の前に出すポーズで写真に写っていた。

卯月が上げた悲鳴に答えるように、若いボンデージファッションに身を包んだ女性が檻に近づきながら卯月に声をかけた。

「さてと、そろそろ行こうかねえ」

それが卯月を地獄に貶める合図になった。

卯月を閉じ込めている檻には滑車がついていて男が檻を押して動かし始めた。

「いや、待って、どこへ連れて行くの?」卯月は不安に堪えきれなくなって怯えながら二人に尋ねた。

「フフフ、豚は豚小屋へ帰るのが当り前でしょう」分かりきったことを聞かないでそんな口調で若い女が言った。

卯月を乗せた檻は部屋を出ると長い廊下を玄関まで進んだ。玄関には頑強そうな男が二人卯月の入った檻を待ち構えていた。彼らは檻を受け取ると止めてあったワゴン型のトラックの荷台に檻をロープで固定した。そしてトラックの荷台の扉を閉めた。あたりが真っ暗になった。暗闇の中卯月の悲鳴が木霊した。

「いや、止めて。お願いここから出して、ねえお願い」卯月の哀願も空しくトラックは卯月を乗せて静かに走り出した。

 トラックを運転しているのは、先ほど玄関で檻を受け取った二人組の若い男のうちの一人である。彼が助手席のもう一人の男に言った。

「なあ、後ろの女同僚にねたまれて、だまされて連れてこられたんだろう?」

「ああ」

「こいつもメス犬か雌豚に調教されて、何処かに売り飛ばされるんだろう」

「たぶんな。もしくは本物の豚として誰かに飼われるか、どちらにしても調教を受けたら二度と人間には戻れないだろうな」

「でも、だったらどうしてこれから牧場に連れて行くんだ?雌豚として調教するなら、あの家の残して調教したほうが良いんじゃないのか?道具もいっぱいあるし」

「そう思うって俺も聞いてみたんだ、そしたら有紀さんが言っていたんだけど、調教する前に一度、一週間ほど牧場で本物の豚一緒に生活させるんだって。たいていの女はそんな悲惨な体験をさせれば、二度と牧場には戻りたくないって思うようになって、大人しくなり調教もスムーズに行くらしいよ」

「なるほどな」

 そんな会話が交わされているとは知るよしもない卯月は、一人今後わが身に降りかかる災難を思って暗闇の中檻の中で震えていた。どれくらい走っただろう、ふとトラックが止まった。扉が開いた。光が差し込んできた。暗闇に慣れていた卯月はしばらく目を開けることができなかった。ようやく慣れてきた卯月の目に映ったものは、家畜小屋だった。

「いやあ〜」卯月が叫び声をあげながら檻の中をあとずさりをした。彼らが言ったことは本当だった。

卯月はこれがたちの悪い冗談ではなく現実のことなのだと小屋を目にしていやでも理解させられた。絶望に打ちひしがれた。

そんな卯月にお構いなく男達は檻をトラックから降ろすと豚小屋の中の通路を奥に向かって檻を押して進んでいった。

「こんちは、メス豚一匹運んできました」

「ごくろうさん、いつもの小屋まで運んで」管理人らしき男が、二人に命じた。

「はい」男たちが返事を返した。

その家畜小屋は体育館ほどの広さで、真中に通路があり、その両側に六畳ほどの豚小屋が左右に6づつ、合計12個並んである。各小屋の通路側には餌を入れる給餌器が備え付けてある。各小屋には豚が5から6頭づつ入っている。卯月を乗せた檻は通路を一番奥まで進むとそこで檻を止めた。その小屋だけは他の小屋と違い、高さ1メートル50センチほどの天井にも鉄の柵が取り付けてある。

「さあ出ろ」そう言って若い男がその小屋の入り口の前で、卯月の檻の扉を開けた。小屋の扉と檻の扉が繋がるように檻を置いたので、檻を出たらそのまま小屋に押しこまれることになる。

「さあ、もたもたせずに、早く入れ」男が命じた。

「いや、助けて」卯月が悲鳴をあげた。小屋の中では3匹の豚が卯月を待ちわびていた。床はコンクリートのうえに藁を敷いてあり、思ったより清潔そうだがそれでも豚小屋に違いはない。

「嫌です。助けて」卯月は扉と反対側の柵に両手でしがみ付いた。

「ははは、前のやつとおなじだ」

「みんなそうやって、往生際が悪くしがみ付くんだよな」男達が面白そうに笑っている。卯月は檻の中で震えていた。小屋に押し込まれるのも小屋の中の豚も共に恐ろしかった。特に豚は卯月よりはるかに大きい。

「何恐れているんだ、ひょっとするとお前の亭主になるかもしれない豚だぞ。ほら早く中に入れ」

「いいやあぁ」男たちが檻のまわりで笑い声上げている。

しばらく卯月の怯える様を眺めていた男の一人が、どこからか、1メートルほどの棒の先に突起が着いた、ゴルフクラブの先が無いような代物を持ち出してきて、

「さてとこいつの出番かな」と口にした。

 いつのまにかそこで働く従業員らしき人たちも卯月の檻の回りに集まってきた。みんなこれから起こる事を楽しみにしている風である。中には卯月よりはるかに若い年齢の女の子もいた。卯月はおもいきって彼女に向かって声を掛けた。

「助けて、お願い」

「ねえ、お願い、ここから出して。騙されたの」卯月は必死で哀願した。しかし、その女の子は冷たい笑顔を見せて卯月を眺めているだけだった。

 男が、手にした棒を卯月のお尻にそっと当てた。

「ぎゃあ」卯月は檻の中で飛び上がった。お尻から体中に赤く燃え滾った鉄の棒を差し込まれたような激痛が走った。もっとも小さな檻の中ではほとんど身体を動かすことはできなかったが。

「どうだい、電流の味は」

それは棒に先にスタンガンを取り付けたようなものだった。もう一発、欲しいのか。卯月は涙を流して首を振った。

「だったらさっさと入らねえか」そう言いながら男がその棒を卯月のまろやかなお尻にまた近づけてきた。

「いや」その棒をよけるうちに少しずつ卯月の身体が小屋に近づいていった。

「ほらほら、もう少し」男がはやし立てる。

 こうして卯月の豚としての生活が始まった。その小屋は、コンクリートの打ちっぱなしの床に。藁を敷いただけの粗末な造りであった。通路に面した檻の一角に40センチ四方の穴が並んで開いてあり。そこから首を出して餌を食べるようになっている以外は、全て丈夫な鉄の棒で囲まれていた。高さが1メートル50センチほどしかない関係上、卯月はその小屋の中で立ち上がることはできず、座るか、横になるかしかなかった。そのことがいっそう卯月を惨めにした。

卯月を運んできた二人の男と作業員達は卯月が小屋に入ったのを確認すると、卯月のような女性を扱うことには慣れているのか、扉を閉め鍵をかけると何事もなかったように小屋から離れていった。あとには3匹の豚と卯月だけが残された。

豚はいずれも卯月より少し大きく見慣れない侵入者に警戒しているのか、しきりに鼻先を卯月の身体に近づけてくる。

「ひい〜」卯月はお尻をつけたまま後ずさりして奥に追いやられた。豚の中にも序列があるらしくどうやら卯月はその中では一番下位に落とされたようである。時々卯月が小屋の隅から離れようとすると、他の豚たちが牙を向いて卯月を威嚇した。その度に卯月は悲鳴をあげながら豚より下位に落とされたわが身を呪った。

 卯月は小屋の隅に蹲って今日わが身に降りかかった災難を思い返してみた。もし誰かに話していったい誰が信じてくれるだろう、卯月自身ですらまだ信じられない。人間が豚小屋に豚と一緒に飼われるなんて。そんなことがあって許させるはずはない。なかなか目覚めない悪夢だと祈りたい。でも現実に卯月は今豚小屋に閉じ込められている。

ところで今何時なのだろ?会社から連れ去られたのが夕方だったから夜のはずである。小屋の中には電気がついている。そう言えば夕食も食べていない。しかし、仮に目の前に食事が運ばれても今は食べる気にはならない。おなかもすいていない。そんなことよりこれからどうなっていくのか、それを考えると不安で仕方が無かった。

同僚の彩路は「豚として調教される」と言っていたがいったいどういうことなのだろう。人間である私を豚に調教するっていったいどういうことなんだろう。豚と一緒に生活させられるなど想像もできない事態である。私はどうなって行くんだろう。まさか一生このまま豚として終るはずはないし…。

 それになぜ彩路がこんな施設を知っているのか、いったい彩路は何者なんだろう。様々な疑問が卯月の頭の中を駆け巡った。

 全裸で檻の柵に寄りかかり、そんなことを卯月が考えている時、突然一匹の豚が腰をもちあげたかと思うと、卯月の目の前に来て、股の間から勢いよく床に向かって水しぶきをあげた。おしっこをしたのである

「ひい〜」卯月が再度悲鳴をあげた。目の前で豚のおしっこを見なければならなかった。しぶきが少し飛んできて身体に少しかかった。

「いああぁぁ」

卯月はあまりの屈辱にまた嗚咽を漏らし始めた。頭の中が狂いそうである。

 そして興奮がようやく醒めた頃気がつくと卯月も下腹部に違和感を覚え初めていた。そう言えば会社から連れ去られて以来一度もトイレに行っていない。豚のおしっこに刺激されたのか急に尿意を催してきた。裸で冷えたのが良くなかったのかもしれない。

「どうしよう」当然小屋の中にはトイレなど当然ない。このままではもらしてしまう。尿意はあっという間に間隔が狭まってそれにあわせていっそう激しくなってきた。卯月は腰をもぞもそさせ始めた。額には脂汗がにじんでいる。だめもう限界、そう思ったとき建物の入り口の扉が開いて作業服をきた先ほどの若い女性が入ってきた。卯月は彼女が卯月に対して先ほど見せた冷たい視線を思い出して背筋に悪寒が走るのを感じた。思わず両腕で身体を守るように抱きしめ無意識に裸を隠そうとした。

どうやら彼女は豚小屋の見まわりをしているようだった。一つひとつ、小屋の中を覗き込んでいた。卯月は彼女にできれば早くここから立ち去ってもらいたいとも思った。が、トイレに関しては嫌でも彼女にすがるしかなさそうである。彼女が卯月の檻の前にきた。

「あのう」卯月がかの鳴くような声でその女性に声をかけた。彼女が卯月の方を向いた。

「なあに?」彼女の目は先ほどと同じ目である。冷たく、蔑んだ、憐れみを湛えた視線である。

――そんな目でみないで――卯月は彼女に心の中まで見透かされてしまいそうな気がして思わずそう声に出した。心まで裸にされてしまいそうである。彼女がトイレのことを口にするのを躊躇っていると、

「どうしたの、豚女」と彼女が言った。

感情のこもっていない声というのは、このような声をさすのだろうか。早くも卯月は彼女に声をかけたのを後悔しはじめていた。彼女が卯月の願いをかなえてくれるとは到底思えなくなった。

「どうしたの、言いなさい」彼女が卯月を追い込む。

「あのおトイレ」小声で卯月が口にした。途端、

「あはははは」その女が大声で笑った。

「豚がトイレ使えるとでも思っているの。あはは。ばっかじゃないの。豚なんだからそこですれば、先輩豚がおしっこをするのを見ていたでしょう。ウンチだってこれからはそこでた垂れ流しするんだから。さあ、豚女がどんなおしっこするか見ていて上げるから、そこで四つん這いになってしてごらん」若い女はそう言うと中腰になって檻の中の卯月を覗き込んだ。

「いやああ、そんなできません」

「でなきゃ、できるまで待っててやるよ。そうだ、みんなも呼んでやろうね。呼んでくるから待ってな。みんながくるまでおもらしするんじゃないよ。分かったかい」

「あぁいや、呼ばないで」卯月の哀願も空しく、その若い女性は皆を呼びに小屋から出て行った。やがて若い女性に続いて3人ほどの若者がどやどやと建物の中に入ってきた。

「どれどれ、豚のションベンでも見物するか」4人が卯月の檻を覗き込んだ。卯月の尿意はもう限界に達していた。でもさすがに4人もの見知らぬ他人に見つめられている状況ではなかなか出るものも出ない。

「早くしろ!」じれったそうに男が言った。

「そんな、できません」卯月は恨めしそうな目で4人を見つめた。

「仕方が無い、じゃあ出るようにしてあげれば」若い女がそういって2本のモップをそれぞれの男に手渡した。

「いや」意図を察した卯月が後ずさりした。そんな卯月のお尻に向かって檻の間から男がモップを突き刺した。「いや」思わず逃げようとした瞬間緊張が途切れた。「あっ」小さな悲鳴と共に見る見る卯月のお尻の下に敷いてある藁が水に濡れて色が変わった。

「アハハ、ションベン漏らしてやんの」男たちがはやし立てる。

「いやあ」卯月は自分の身体を抱き締め、悲嘆にくれながら嗚咽を漏らした。

卯月の豚としての生活は始まったばかりである。

 

 

翌朝卯月は藁の上、豚たちの騒がしく泣き喚く声で目を覚ました。目覚めれば夢が覚めることを期待して昨晩眠りについたが、やはり同じように全裸でしかも豚小屋の中で目がさめた。夢ではなく現実だった。

「ああぁぁ」卯月は深いため息をついた。

 どうやら朝の餌の時間らしい、昨夜、卯月おもらしの様子を堪能した5人の作業員が、台車に餌を乗せて各檻の前の餌入れに配合飼料を配って廻っている。豚たちは喚きながらわれ先に餌入れに顔を突っ込んで餌を食べている。やがて卯月の檻の前にも彼らがやってきた。3匹の豚は押し合いへし合い40センチ四方の餌入れに頭を突っ込む。

「おお一匹、食いつきの悪いのがいるぞ」作業員の一人が笑いながら言った。

「ははは、昨日の晩のおしっこがきいたんじゃない」ほかの作業員笑った。それで卯月は自分のことを言われているのだと気が付いた。

「どうする無理やり食わせるか」

―いやぁ、そんな豚の餌なんか食べさせられるのはいや―卯月の心が悲鳴をあげた。心臓が張り裂けそうである。

「なんーてよ。冗談だよ。まあ飯だけはまともなの食わせてやるからありがたく思え、さあ出て来い」そう言って男が檻の扉を開けた。卯月は四つん這いになって這うようにして檻から出た。逆らう気力はすでに無くしていた。卯月は檻から出ると久しぶりに立ち上がった。昨晩からずーと四つんばいか横になったままだったので、体を伸ばすと節々か痛かった。はだしの足の裏もひどく心もとなかった。思えば裸足でコンクリートの上を歩く経験などしばらくしていない。卯月は自分が家畜並みの境遇に落とされたことを今さらながらに自覚させられた。

「いいかこれから毎朝檻から出たときの作法を教えるからよく覚えておくんだぞ」

「返事は」

「はい」

「豚が人間の言葉使うか?ぶうだ。もう一回」

卯月はかの鳴くような声で豚の鳴き声を真似した。

「もっと大きな声で」

「ぶう」

「そうだ、これからはそう返事をするんだいいか」卯月が顎を引いて頷いた。

「返事は?」

「ぶう」

「よし。まずは風呂だ、こっちに来い」そう言って卯月が連れて行かれたのは豚小屋の奥のコンクリートが剥き出しになった。小さな子供用プールのようなところである。

「中に入って頭を両手の後ろ組むんだ」卯月が命じられ通りの姿勢をとると、男がいきなりホースで水道の水を卯月めがけて浴びせた。それほど水の勢いは強くはないがまるで自分が本物の豚になったようで、惨めな気持ちにさせられた。男はホースの水を、卯月が嫌がるのもお構いなし、容赦なく頭からかける。

「後ろを向け」命じられて卯月が後ろを向いた。背中に水がかけられた。その水流が次第に下がりお尻にあたった。

「手でお尻の穴を開いて突き出せ」

「えっ」

「言われたとおりにしろまた電流をお見舞いしてやろうか」男はそういうと、ホースの蛇口を絞り、いきなり水流を強くした。

「痛い、はい」卯月は命じられたとおり、両手でお尻の穴を開いた。

「もっと開いて突き出せ」言われた通りにした。

「よし次は前だ、前を向け」卯月前を向くと、

「同じようにオマンコを指で開け」

「いやあ」さすがにそれはどうしてもできなかった。卯月はあまりの仕打ちに、両手で顔を覆い嗚咽を漏らし始めた。

「いや、できません。許してください」卯月は必死になって男にお願いをした。しかしそんな哀願がきく相手ではなかった。

「いやなら仕方だない。電流だ」そう言って男は先日、卯月が味わった電流が流れる棒を持ってきた。

「調教棒っていうんだけどな」棒を卯月の身体に近づけた。

「いや」卯月が後ずさりした。

「前回は200ボルトだったが今回は250ボルトな。命令に逆らうたびに50ボルトづつ上げていくからな」言い終わらないうちに卯月の体を電流が流れた。

「ひい〜」卯月はあまりの衝撃に飛び上がってそのまま床に尻餅をついた。50ボルト違うだけで衝撃は比べ物にならないぐらい多きかった。

「さあ、指でオマンコを開け、どうしたもう一発ほしいのか」

嗚咽をあげながらもあわてて卯月は男に命じられたとおり、コンクリートの上に座ったまま股を開くと指でオマンコを広げた。

「そうやって言われたことにはすぐに従うんだ、いいな」卯月は指でオマンコを広げたまま頷いた。あまりの惨めさに打ちひしがれた。

しばらく卯月のオマンコを洗っていた男がようやく水を止めると。身体を拭くことも許されず、卯月は、

「さあ次は餌だ」と今度は外に連れ出された。雫に涙が混ざった。

「さあこれを首にはめて」

卯月は出口で男の手にから首輪を渡された。その首輪は黒い革製で合わせ目だけが金属で出来ていた。そして一度閉めると鍵が無ければ二度と開かない仕組みになっていた。

「カチッと鍵がかかるまでしろよ」

卯月は言われたとおり、その首輪を首に巻くと、合わせ目で合わしてカチッと鍵をかけた。男はその首輪に鎖を取り付け、

「来い」男が鎖を引いて卯月を外に連れ出した。

「ああ」卯月は思わす鎖を掴むと、よろけながら男に引かれ庭に連れ出された。

太陽の下、全裸に首輪一つで小屋の外に連れ出される恥辱に卯月の身体が震えた。手で胸と股を隠しながら、男のあとに続いた。

卯月が連れて行かれたのは、小屋から少し離れた、従業員用の食堂らしき建物の前庭だった。ガラス窓越しに見える食堂の中にはテーブルと椅子が10脚ほどあり、昨晩の5人の他にまだ何人かの従業員がテーブルに座って思い思い朝食を取っていた。

卯月はその食堂の前庭に設えた、大型犬用の小屋の鎖止めに鎖でつながれた。全裸で芝生の上に直接繋がれた。

卯月が食堂の中の人の視線から身体を隠すため犬小屋の陰に隠れて蹲っていると「何をそんなところに隠れているんだよ」と男に鎖を強く引っぱられた。男は嫌がる卯月を小屋の前まで引きずり出した。《いや見られちゃう》卯月は身体を両手で抱きしめ、食堂に背を向けた格好で蹲った。食堂からは卯月の白い丸いお尻が丸見えである。卯月は恥かしさのあまり身体が一気に赤く染まっていくのが自分でもわかった。そんな卯月を見下しながら男が言った。

「おすわり」一瞬卯月は何のことかわからなかった。

「おすわり。餌が欲しくないのか?」もう一度男が、今度は少し怒号を含んだ声で卯月に向かって言った。そして首輪についた鎖を軽く振って合図をした。卯月はその時初めて自分が命じられているのだと理解した。

「ああ」ため息と共に卯月が芝生の上に、犬のおすわりの格好をして腰を下ろした。

「まったく世話のかかるブタだなあ、今餌持って来てやるからちょっと待ってな」男はそう言い残すと部屋の中に入っていった。

食事ではなく餌ということは、おそらく、今食堂の中にいる人たちの前でまた手を使わずに食事をさせられる屈辱的な姿を晒すことになるのだろうと、卯月は度重なる仕打ちに身体を振るわせた。

しばらくして男が陶製の餌入れを手にやってきた。男の後ろに何人かの若者たちがぞろぞろと付いて来ている。

《やっぱり、犬のように餌を食べなくちゃならないんだ、しかもこんなに大勢の人の前で》

「さあ、餌の時間だよ」男がそう言って餌入れを卯月の前に置いた。中には味噌汁をかけたご飯が入っていた。

「良いか、これから毎日ここでご飯を食べることになるから良く覚えておけ。ご飯の前は必ず今みたいにお座りをして待っているんだ、いいな、返事は?」

「ぶう」

「あはは、よく出来た」

「それから、食事の前にみんなに芸を見てもらうこと、うまくできないと食事はさせないからな。いいか」

《芸?》卯月には何のことか良く分からなかった。しばらく卯月が考えていると、

いきなり男が卯月の前に腰を下ろし、

「お手!」と口にした。

「えっ」卯月は一瞬迷ったが、それでも反射的に右手を男が差し出した手の上に置いた。俯いたまま震える手を男の手の上に重ねた。

「アハハ、よくできた。こいつ頭良いじゃん」

「お変わり」こんどは左手を差し出した。

「さすが素質があるね」

《そんあ》卯月はお手を言われて反射的に手を差し出した自分の行動に驚いた。《私は素質があるの?そんな》そう思った瞬間、股間から背中にかけて妖しい痺れが電流のように流れた。《私は豚になる素質があるの?》

「いやあ」卯月がそっと小さな喘ぎ声を上げた瞬間、後にいた若い女の子が、いきなりお尻から卯月のまたの間にむかって手を差し入れ濡れたオマンコを指先でなぞった。

「ひいいっぃ」卯月のオマンコに電流が流れた。体の芯電流を帯びたようにしびれた。

「やだ、オマンコ濡らしてるよ、この子」そう言って若い女お子はその指をみんなに見せびらかすように、上に掲げた。

「いあああぁぁ」卯月は恥ずかしさのあまりいっそう身体を小さくした。自分より年下の女の子にこの子と言われる屈辱に身体が震えた。

「たった一日檻に入れただけでこんなに助平な身体になるなんて、この子ほんと素質十分ね」

若い女の子が追い討ちをかけるようにそう呟いた。そして卯月の愛液でぬれた指を卯月の口の前に持ってくると、

「舐めな」そう言った。

「いや」思わず卯月が言葉を口にした。

「ばか、まだ人間の言葉をしゃべってるよこの豚は、調教棒がいるんじゃない」若い女がそう口にした。

「ひぃぃ、ぶうぶうぶう」調教棒と聞いた卯月は電流怖さのあまり必死で豚の泣き声をまねながらその女の子の指を舌でなめた。愛液のしょっぱい味がした。若い同性の女性を前にして豚の鳴き声を真似ながら自分の愛液でぬれた彼女の指先をなめる。あまりの惨めさに胸が張りさせそうだった。

「ちょっと仰向けになって足広げてごらん」若い女性が命じた。卯月が緩慢な動作で言われたとおりの姿勢をとった。

 全員の前にオマンコをさらけ出すポーズになった。

「ほんとだ濡れてるよ、こいつのオマンコ」一人の男が驚いたようにいった。卯月は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にした。

実は先ほど、男に命じられて芸をさせられたあたりから、卯月の下半身を異様な興奮が襲っていたのだ。身体が妖しくしびれるような快感を覚えていた。

「やっぱり家畜になる素質ありだねこいつ、ははは」みんなの嘲りも今の卯月には嫌悪感や恥辱のだけでなく不思議な快感をももたらした。《そんな私にそんな素質があるなんて》卯月は困惑した。

「よし、じゃあ食べな」男が言った。

「ブウ」身体を起こした卯月はみんなが見守る中、陶器の餌入れに顔を突っ込むと、手を使わずに口だけでそのえさをむさぼるように食べた。そんな姿を見られていると思うとまた胸がキュンとなり股間から蜜が溢れてきた。

 

 屈辱的な食事が終わると、若い女の子が卯月のそばにやってきて、首輪から伸びている鎖を手にしてこう言った。

「さあお散歩だよ、四つん這いになりな」

鎖を引っ張られて卯月はその場で四つん這いになった。卯月が四つん這いになったのを確認すると、その女の子は鎖を手にさっさと歩き始めた。首を引っ張られながら卯月が彼女の後に従った。「膝をつけるんじゃないよ」「返事は?」「ブウ」

 散歩と聞いててっきり外に出されるのだろうと思ったが、若い女お子は予想に反してどんどん建物の奥に向かって歩いていった。引きずられるまま卯月も廊下をお尻を高く上げて四つん這いで歩いた。最初に連れて行かれたのは広い大きな事務所で中で5人ほどの中年の女性事務員が事務を取っていた。しり込みをする卯月の鎖をぐいっと引いて、

「おはようございます」と若い女の子が中のみんなに声をかけた。みんなが卯月のほうを一斉に振り向いた。「いや」全員の視線を集めた卯月は、おもわずその場で身体を小さくしてみんなの視線から全裸を隠そうとした。。

「紹介します。今日から豚小屋で棲むことになった新人の子です。ほらご挨拶のちんちん」

 調教棒を振りかざして若い女の子が命じる。

「ひい」卯月は調教棒を見た途端反射的に立ち上がると犬のちんちんの真似をした。

「あら、よく躾られてるわね」周りに集まってきたみんなが驚きの声をあげた。

「そうなんです、こいつ余程素質があるみたいで。2日目だというのにもうオマンコ濡らしているんです。ほらみなさんにお見せしてごらん」お見せしてごらんといわれても、卯月はどうしていいかわからない。

「頭悪い子だねまったく。仰向けになって太ももを握って両足を大きく広げるんだよ」

卯月が言われたとおりの格好をすると、みんなが股間を覗き込んできた。蜜があふれ出るのが分かった。《ああ見ないで》また胸がキュンとなった。

「やだ、この子本当に濡らしてるじゃない」あからさまな侮蔑の色を浮べて中の一人が言った。そのことばに卯月は身体の奥からしびれるような快感が湧き上がってくるのを抑えることができなかった。

 ひとしきりそこで女子事務員たちの淫靡な視線に身体を曝したあと卯月は奥の牧場長室と書かれた部屋に連れていかれた。大柄な執務机で少し頭の禿げ上がった中年の男が事務を執っていた。

「牧場長、新入りを連れて聞きました」

「ああご苦労。見ておくから、そこに吊り下げといて。それから10分後にベルを鳴らすからそしたら取りに来て」牧場長はこんなことには慣れているのか卯月の方を見ようともせずそう言った。

「はい」卯月は若い女によって天井から降りてきているフックに、机の前で万歳の格好で吊り下げられた。若い女性が一礼をして去った後も、牧場長はしばらくそのまま執務を続けていた。

 初対面の男性の前で全裸を晒して天井から両手釣りにされる。信じられない事態だが、なぜか卯月はまた身体の芯から熱い火照りが皮膚に伝わっていくのを感じた。「あああ」思わず声を出しそうになった。《いったいどうなっていくの私の身体》

しばらくしてその牧場長が「うう」とうめき声を上げながら、いきなり椅子の上で身体を伸ばした。それから「ふう」と一息つくと一転今度は身体をだらしなく椅子の上に投げ出した。卯月が耳を澄ますと、机の下から何かを舐めているようないやらしい音が聞こえてきた。

「まさか」

案の定、牧場長が下半身裸で立ち上がるとその後デスクの下から全裸の女性が出てきた。彼女も卯月と同じように全裸に首輪だけの姿だ。まだ20歳ぐらいの若い女性である。卯月は一瞬彼女と目が合った。彼女の目に少し恥じらい色が浮かんでいた。牧場長はズボンと下着を元に戻すと執務机の上のボタンを親指で押した。しばらくして卯月をこの部屋につれてきた女性と同じような女子事務員が部屋に入って来てその全裸の女性の首輪から伸びたリードを手に取ると、彼女をつれて部屋から出て行った。彼女が部屋を離れる際四つん這いの彼女の左右のお尻に、「奴」「隷」と家畜にするよな焼印が押されてあるのがはっきり見えた。

「いったい何人の女性がいるのかしら」卯月は四つん這いで曳いていかれる彼女を見ながら、そんなことをぼんやりと思っていた。

「そいつを競りに出すのはいつだ?」突然牧場長が声をかけた。

「来週です」

「そうか、高く売れると言いがな」

「はい」

『えっ競り、いやあ。彼女競りにかけられるの。そうするといつか私も?いや助けて』声に出さずに卯月が悲鳴をあげた。

 二人が出て行き、部屋には卯月と牧場長だけが残された。彼は何も言わずに卯月の裸を見つめている。そして何事も無かったように、机の上に書類を出すと、その書類に何かを書き込んだり決済印を押し出したりし始めた。てっきり彼によっていたずらをされるものと覚悟を決めていた卯月は少し拍子抜けした。どれくらいそうやってそこに両手吊りで吊られていただろう、おそらく時間にしたらわずか5分ぐらいだったろう。しかし卯月にはその5分が異様に長く感じられた。

 事務を終えた牧場長が卯月の前にやってきた。卯月は身体をよじることもなくおとなしく彼のなすがままになっていようと決心した。なぜだかそうしなくてはならないような気がした。牧場長はいきなり指で乳首をつかむと力強くひねった。

「ひい」卯月は身体をよじって悲鳴を挙げた。

その様子はまさに家畜の状態を調べるといたようなやり方で、今まで卯月が男から受けてきた優しい愛撫とは程遠いものだった。卯月はそのことで自分が本当に家畜なみに落とされたことを自覚させられた。でもなぜかそれが自分にはふさわしいとも思った。次に牧場長は卯月の口に指を突っ込むと、「舐めてみろ」と命じた。卯月は命じられたとおり素直に牧場長の指を舌で舐めた。卯月はいつのまにか心をこめて一心不乱に彼の指を舐めた。突然指が口から離れた。我に返った卯月は思わず赤面した。それから男は卯月のオマンコとアナルに指を入れて締まり具合と濡れ具合をチェックした。そして机に戻るとまた呼び鈴を押した先ほどの若い女性が部屋に入ってきた。

「フェラチオはまだまだ駄目だ、毎朝特別に犬か豚のを2時間ほど食堂の前で銜えさせろ。焼印は明日の朝入れるから用意しておけ。獣医にピアスの用意を頼むのも忘れずにな」

「はい」

「よし、今日はもうこれで豚小屋にほうりこんでおけ」

《犬や豚相手のフェラチオ、焼印》

卯月は目の前が真っ暗になった。

 

その日は終日卯月は豚小屋で過ごした。小屋の中で我慢できずに3回程泣きながらおしっこをした。そのうちの一回は豚におしっこの匂いをかがれた。恐かった。

深夜眠れないまま豚小屋の床に身体を横たえていると、ふと靴音が卯月のいる小屋の方に向かって近づいてきた。暗闇に浮かび上がってきた足音の主は朝卯月を連れまわした女性だった。卯月は緊張で身体をこわばらせた。彼女が屈んで檻の中の卯月を眺めた。「いや」卯月は思わず後ずさりした。

「何もしないから安心して、…どう少しは落ち着いた?」思いがけず優しい声で話し掛けてくる。 

「私はマリヤ、よろしくね」卯月はなんと答えて良いのかわからなかった。

「あなたが驚くのも無理は無いわね。昨日までは普通の人間だったのが一夜空けると豚にされちゃったんだものねえ。でも仕方が無いのよ」卯月にとっては仕方が無いでは済まされないが、「だってあなたに素質があったんだもの。普通なら一晩豚小屋に放り込んだらあとは解放してあげるの。大体はそれで依頼主の怒りも収まるの。でもあなたの場合どんなにひどいことさせたり恥かしいことさせたりしてもいつもオマンコ濡らしてたでしょう。みんな驚いていたの凄い素質のある子だって!依頼主にそのことを報告したの。そしたら彼女、あなたがどこまで耐えられるか徹底的に調教して試してくださいだいって。あきれちゃうわよね。人事だと思って、まあそんなわけでみんなで相談した結果あなたを本物の豚に調教しようってことに決まったの。本物の豚にまで調教し終わったら依頼主があなたを引き取りにくるそうよ。競りにかけるか自宅で飼うかその時決めるんですって。だから残念だけどもう諦めて。二度と普通の生活には戻れないの」

「いああ」マリヤの話は卯月にとってあまりに残酷すぎた。卯月は床に身を伏せて泣き崩れた「いったい私が何をしたというの!無実の罪でこんなことになるなんて。こんな理不尽なことが許されていいの?」「あなたの悲しむ気持ちはわかるけど、でもオマンコ濡らしちゃったあなたも悪いのよ。ひょっとしてあなた心の奥では喜んでいるんじゃないの」卯月は彼女に心を見透かされたような気がして激しく首を横に振った。

《……この人の言うとおり私は豚になる素質があるのかもしれない、でもそんなのいや》

「でもね」マリヤが意味ありげな表情で檻の卯月を覗き込めながらいった。彼女の目の奥が妖しく光った「人間としての生活に戻る方法もあるの、知りたい?」卯月は目を見開いてマリヤの顔を見ると縋るような眼差しで勢いよく頷いた。「それには条件があるの、これから私と2人っきりのときは私の言うことには絶対に服従してどんなことにも喜んでハイって返事して、そうすればいつか必ず自由の身にしてあげる。約束できる?」卯月が再度大きく頷いた。「ほら違うでしょう。頷くだけじゃ駄目声に出してお返事しなくちゃ。お返事は」「はい」「そうその調子。そんな風に素直になってね、そうだここまで歩いてきたからちょっとヒールが汚れたわ、卯月の舌できれいにしてくれない?」「えっ」「ほら、またえっなんて言って、はいでしょう」「あっ、はい」「そう、もっと嬉しそうに言って」「はい」「そうその調子。じゃあ舌できれいにして」マリヤが柵の間から脚を豚小屋の中に入れてきた。卯月は腰を折って頭を床に近づけると舌をマリヤのヒールにつけた。「私に絶対服従を誓うの、そうしたら自由にして上げる、わかった?」ヒールを一心に舐めながら卯月は大きくうなずいた。

 

 

 

BACK NEXT LIST