ワンコ 

 るね

登場人物 ゴシュジンさま…人間の男

     あたし    …人間の女の格好をしたメス犬

     おまけ    …???

 

1 雨の夜

 

その夜、お腹を空かせてあたしは路地裏でうずくまっていました。

もう何日も食べていない…。

雨も振りだし、あたしの無け無しの体力を奪っていく…。

「お腹、空いたなぁ…。」

あたしは寒さに震え、身体を丸めてつぶやきました。

「あたし…、このまま…死んじゃうのかな…。」

「でも、いいか…。 今まで生きてても、いいことなかったし…。」

「死んだほうが、楽かも…。」

弱弱しくあたしは鳴き、静かに目を閉じようとしました。

と、その時…目の前に男の人が現れました。

手には、何やら食べ物らしいものを持っています。

あたしは、男の人より、食べ物のほうに目が釘付けとなりました。

男の人は、それ…あったかそうで、イイ匂いがしてる丸いもの…を、

あたしの鼻先に持っていきます。

あたしは鼻をクンクン鳴らし、それ…を食べてみました。

とても美味しかったです!

熱くて、あたしはハフハフしながら食べました。

死ぬ前に、こんな美味しいものを食べれるなんて…。

あたしは感謝しながら、始めて男の人の顔を見上げます。

男の人はあたしに両手を差し伸ばすと、あたしの両脇に手をやり、

あたしを抱え上げました。

男の人に抱かれ、

「あ、暖かい…。」

あたしは、安堵感と疲労からか、そのまま眠ってしまいました。

 

あたしは雨の夜…ゴシュジンさまに拾って貰えたのです。

 

 

2 首輪

 

ゴシュジンさまに拾われて2日目、あたしは元気を取り戻しました。

部屋の中を自由に歩き回り、冒険ごっこをするほどです。

部屋の隅に丸い筒を発見! なにやら匂いがします。

「何が入ってるのかな?」

イタズラするつもりはないのですが、思わず手で引っ掛け回してしまいました。

中から色々な物が出てきます。

柔らかそうな白い紙…。 細い木の棒… 透明なツヤツヤしたもの…。

わけが解らず、あたしはキョトンとしながら、とりあえず匂いを嗅いでみます。

美味しそうな匂い…、変な匂い…。ゴシュジンさまの匂い…。

あたしはゴシュジンさまの匂いのする、(柔らかそうな白い紙)に夢中になりました。

クンクン、クンクンと鼻を近付け匂いを嗅ぎ、時折、

「美味しいのかな? コレ…。」

と、舌先でペロッとは舐めて…。

しばらくそうやっていると、ゴシュジンさまが帰って来ました。

「あ、おかえりなさぁ〜い。 ゴシュジンさま。(^o^)」

あたしは嬉しそうに駆け寄りました。 が…、

ゴシュジンさまは、あわてて、先程の丸い筒に向かって歩き出しました。

怒っているとも知らず、あたしはゴシュジンさまの腰に飛びつきます。

ゴシュジンさまは、しゃがんであたしの首根っこを掴むと、いきなり床に押しつけ、あたしのお尻を叩きました。

「パンッ パンッ パンッッ!!」

あまりの事にびっくりして、あたしはゴシュジンさまの手を振りほどき、逃げ惑います。

ゴシュジンさまも追います。

椅子を倒し、本を蹴散らしながらあたしは逃げます。

ゴシュジンさまは両手を開き、逃げ道を塞ごうとします。

部屋の隅まで追い詰められたあたしは、素早くゴシュジンさまの股の間を潜り抜け、ちゃぶ台の下に隠れ様としました。 が…、

しかし、大きなお尻は隠せませんでした…。

ちゃぶ台の下で身動きが取れず、もがいてるとゴシュジンさまが、また…、

「パァーン! パァーン!」

と、大きな音を立てて、あたしのお尻を叩くのです。

あまりの痛さに、

「キャイィーン…キャイィーン…」

と鳴きながら、お尻を振ります。 ゴシュジンさまは、それでも大きく揺れるお尻めがけて、

「パァーン! パァーン!」と叩きます。

あたしが痛さに震え、うずくまり、身動きしなくなると…、ゴシュジンさまはちゃぶ台を退けてくれました。

惨めにお尻を赤く腫らし、うずくまるあたしを、ゴシュジンさまはやさしく抱きかかえてくれました。

ゴシュジンさまは、もう怒っていないようです。 あたしは甘える様に、

「クゥ〜ン クゥ〜ン…。」 とゴシュジンさまの耳元で鳴きました。

そんなあたしに、ゴシュジンさまが何やら囁きます。

でも、メス犬のあたしにはゴシュジンさまがなんて言ってるか解りません。

ゴシュジンさまは、傍に散らかった紙の袋を取り、中から赤い輪っかのようなものを出しました。

そして、膝の上でおとなしく座ってるあたしの首に付けてくれたのです。

ちょっと、窮屈でしたが、イヤではなかったです。 だって、ゴシュジンさまが付けてくれたんだもの。

そして、あたしの顔を引き寄せ、唇にキスしてくれました。

「あっ…。」

この時、なんとなく解りました。あたしは今、本当にゴシュジンさまの飼い犬になれたんだと…。

あたしはゴシュジンさまの胸の中に抱かれながら、あたしの腰やお尻を撫でてくれるゴシュジンさまの手の動きを感じていました。

 

 

3 初体験! ………お風呂。

 

その夜、あたしとゴシュジンさまは、またもやお部屋で追っかけっこをしていました。

ゴシュジンさまが、あたしを外に放り出そうとするんです…。

しかも、外は激しく雨が降ってるみたいなんです…。

先程から、扉の奥から、ザァーザァーと音が響いています。

あたしは必死で逃げました。 だって、外の雨はもうイヤ! 冷たい雨はキライ!!

ゴシュジンさまも必死に追います。 また、部屋の隅に追いやられました。

でも、今度は逃げる自信があります。 だって、あの(ちゃぶ台)の下に行かなければいいんですから…。

自身たっぷりに、ゴシュジンさまの股の下に飛び込みました。

しかし…それは所詮メス犬の浅知恵…。

あたしは、ゴシュジンさまの股座に押しつぶされ、捕まってしまいました。

ゴシュジンさまは、あたしを抱きかかえると、そのまま音のほうへと歩いていきます。

あたしは怖くて震えました…。

「捨てられる… 捨てられる… 捨てられる… 」

あたしはゴシュジンさまの腕の中でジタバタもがきましたが、どうにも出来ません。

「い、いや…。 雨はもういや…こ、怖い…、怖いよぉーー。」

半狂乱になったあたしは、思わずゴシュジンさまの腕に噛み付いてしまったのです。

「!! 」

ゴシュジンさまが叫び声を上げました…。けれどもあたしは怖くてゴシュジンさまの腕を噛み続けました。

ゴシュジンさまは、痛みをこらえる様に、「ギュッ」と、あたしを強く抱きしめます。

そして、そのまま音のする扉を、ガラガラと開けました。

そこは…真っ白でした。

あったかい真っ白い物が、沢山あったのです。

あたしは、ゴシュジンさまの腕に噛み付きながら…ポカーンとしていました。

見上げると、水が壁からザァーザァーいいながら降っています。

それは四角い箱の中で、ピチャピチャ音を立てて溜まっていました。

あたしはゴシュジンさまの腕から口を離し、興味深そうにキョロキョロと辺りを見回します。

狭く、モワッっとした空気があたしの肌をくすぐります。

ゴシュジンさまはあたしを抱き抱えながら、身体にくっ付いていた布切れを脱ぎ始め…そして裸になると、

あたし共々、四角い水の中に入っていきました。

水はとても暖かく、気持ちの良いものでした。

さっきまでの事など忘れた様に、あたしは満足そうな笑みを浮かべ目を細めます。

ゴシュジンさまは、あたしの頭を撫で撫でしてくれました。

見るとその腕にはっきりとあたしの歯形が付いています。

「あぁ…」

その時、あたしはとんでもない事をした事に気付きました。

「ご、ごめんなさい…ゴシュジンさま…。 ごめんなさい…!」

あたしは、悲しそうに、「アウゥゥン…」と鳴きました。

でも、ゴシュジンさまは…、何事もなかった様に、やさしく撫でてくれます…。

「ごめんなさい、ゴシュジンさま… ごめんなさい…。 」

あたしは鳴きながら、ゴシュジンさまに体を押し付けていました…。

 

 

4 犬小屋

 

ゴシュジンさまがあたしに部屋を作ってくれました。(^^)

その名も「犬小屋」。 あたし、大喜びです。

「みかん箱」と書かれた紙製のお部屋ですが…(あたし…字が読めませんけど(^^ゞ))、あたしはお気に入りです。

中に入ると、「毛布」というものが敷いてあり、フワフワなんです。

「わぁ〜 とってもあったかぁ〜い。」 

あたしは体を「毛布」に擦り付けながら、嬉しそうにお尻を振りました。

でも、「犬小屋」はちょっと小さいので、お尻は出したままです。 「犬小屋」からはみ出した大きなお尻をゴシュジンさまは、やさしく撫でてくれます。

それだけでも、とってもイイ気持ち!

いつしか、あたしは眠りに就きました。

 

深夜遅く…、あたしは目が覚めてしまいました。

薄暗い部屋を見渡すと、こんもりしたのが見えます。

ゴシュジンさまです。 早速近寄って甘えてみました。

ゴシュジンさまは、鼻息を立てて寝ています。 仕方がないので、ゴシュジンさまの「お布団」に潜りこんでみました。

ゴシュジンさまの身体を跨ぐ格好で侵入していったのです。

真っ暗でよく見えませんが、ゴシュジンさまの匂いで一杯です。

以前、嗅いだ事のある匂いもします。

あたしは、そこに辿り着き、クンクンと鼻を鳴らしました。

「コレが、ゴシュジンさまの匂い…」

あたしは、「ゴシュジンさまの匂い」を覚えるべく、一生懸命嗅いでいました。

「クンクン クンクン…」

あたしは堪らず、舌を伸ばし、辺りを舐めようとした、その時。

ばさぁっ、と「布団」が捲れ上がり、あたしのお尻が持ち上げられました。

「えぇ… な、何?何??」

ゴシュジンさまを起こしてしまったのです。 ゴシュジンさまは怒った顔をしていました。

あたしは、怒られまいと、すごすごと「犬小屋」に帰えろうとしますが…。

ゴシュジンさまは明かりを付け、あたしを手招きします。

あたしは嬉しそうにお尻を振りながら、ゴシュジンさまの前に歩み寄りました。

ゴシュジンさまは、腰から全て布切れを脱ぎ去り、あたしの顔を股間に押し付けました。

ゴシュジンさまの匂いが一杯の部分、何やら変な棒まであります。

あたしはまた、クンクンと匂いを嗅ぎまわりました。

ゴシュジンさまは棒の先端を、あたしの鼻に近付けます。 とっても、イイ匂い…。

そして今度は唇に…。

「舐めるの? ゴシュジンさまぁ…?」

あたしは上目使いに、ゴシュジンさまの機嫌を伺いました。

ゴシュジンさまは、あたしが「棒」を舐めるのを待っています。

それではと、あたしは一舐め…。 ゴシュジンさまが嬉しそうな顔をしました。

また…ニ舐め…。  今度は頭を撫でてくれました。

「なんだか、この遊び…面白い。(^^) 」

あたしは、ペロ。ペロ。ペロと、「棒舐め」に夢中になりました。

白いものが顔にかかるまで…。

 

5 ご飯の時間

 

今日も元気に飛び廻るあたし。 お部屋の中を駆け巡ります。

(ちゃぶ台)の周りを1周、2周…3周と、飽きることなく走ります。

時折、窓際で休憩します。汗をかいているので脚を上げて風通しを良くします。

 

「早くゴシュジンさま、帰って来ないかなぁー。」

窓から外を見て、あたしはつぶやきます。

外には、知らない人が横行しています。中にはあたしの(お仲間)もいます。

窓から覗くあたしに気が付くと、キッ とにらみつけます。怖い怖い(^^;)

あたしは、顔を半分隠して、外を眺めました。

 

空は青く、白い雲が色んな形になって浮いています。あたしはクリクリした目を見開いて、ただ、見続けました。

そうこうしていると、扉が開く音がします。ゴシュジンさまのお帰りです。

あたしは嬉しそうにお尻を振って、走り寄りました。

 

なにやら美味しそうな匂いがします。ゴシュジンさまの持っている白い袋から、匂いがします。あたしは甘える様にゴシュジンさまの足元にまとわり付きながら、白い袋をクンクンと嗅ぎまわります。

慌てて、ゴシュジンさまは袋を持ち上げ、反対の手であたしを制します。

あたしは目の前に出された手をペロペロと舐めて、上目使いでご機嫌を伺います。

ゴシュジンさまは奥へと歩いていき、白い袋からガサゴソとなにやら取り出しています。

あたしはその場を動かず、じぃーっと待っていました。

 

 以前、飛びついてゴシュジンさまに怒られました…。ゴシュジンさまは、せっかく作ったご飯を床にこぼしてしまったんです。 あたしはゴシュジンさまが怒ってると気付かず、むしゃむしゃとこぼれたご飯を嬉しそうに食べていました…。

 

今度は、そんな失敗はしません。ちゃんとお行儀良く待ちます。でも…。

大人しく待ってはいるのですが…、ご飯が気になって気になって、仕方がありません。

気を紛らわす為、あっちにうろうろ…チラリと覗いては…こっちにうろうろ…。

あぁ〜ん、待ちどうしい…。

 

その場にうずくまって、自分の腕をペロペロ舐めて我慢しました。

しばらくして、ゴシュジンさまが戻ってきました。やっとご飯が食べれます。

 

ゴシュジンさまは(ちゃぶ台)に着くとお食事を始めました。くちゃくちゃと心地良い音が響きます。あたしはわくわくして堪りません。

「今日のご飯は何なんですかぁー? どんな味がするんですかぁー?」

期待に胸を膨らませ、ゴシュジンさまの傍で待ちました。

ですが、いっこうにゴシュジンさまはご飯をくれません。

 

「あれ、ゴシュジンさま…あたしのご飯、忘れちゃったのかな?」

あたしは、「わん!」と鳴いて、ゴシュジンさまの注意を引きました。

気付いたようです。ゴシュジンさまは、あたしを見下ろし頭を撫で撫でしてくれました。

あたしは嬉しそうに待ちましたが、撫でられて、ハイ終わり…。

「ちがうのぉ ちがうのぉ…。 ご飯だよ…、ご・は・ん。 わかってる?」

あたしはさらに「わん」と鳴いてみますが、ゴシュジンさまは解ってくれません。

 

ついにはゴシュジンさま…一人だけ食事を終えられました。ゴシュジンさまは満足そうにお腹をさすっています。あたしは空腹のまま、

「ご飯はぁ…、ご飯はぁ…。」と、鳴きながらゴシュジンさまに体を擦り付けました。

「もしかして、ご飯抜きなの? いつもドジばかりしてるからお仕置きなの?」

あたしは、ちょっと悲しくなって「クゥゥ〜ン」と鳴きました。

ゴシュジンさまは(ちゃぶ台)の上のお皿に向かって、ふぅふぅぅ、と息を吹きかけていました。そして手で触って、満足されたのでしょうか…お皿をあたしの目前に置いてくれたのです。

「やったぁ ご飯だぁ!!」

 

あたしは勢い良くご飯に飛びつこうとしました。が、体が一旦STOPしました。

そう、前にも慌てて食べようとして、熱いままのご飯を口に入れてしまい、吹き出してしまったことがあったからです。

今度は慎重に口をつけて…。「!!」驚いたことにご飯は食べるのに丁度いい暖かさになってました。

 

「何でかな? いつもは、アッチッチなのに…。」

 

むしゃむしゃとご飯を食べながら、あたしはゴシュジンさまのお顔を見上げました。

ゴシュジンさまがご飯の温度を下げるため、少し遅くあたしに与えてくれたことも、熱加減をゴシュジンさまが見てくれた事も知らずに、あたしは夢中になって、ご飯を食べていました。

 

 

6 お勉強

 

ゴシュジンさまが慌てている…。

「だめ、もう我慢出来ない!」

あたしは、プルプルと身を震わせて、信号を送った。

ゴシュジンさまはしゃがんでるあたしを抱きかかえ、急いでベランダに連れていった。

あたしはお行儀の悪いメス犬…。つい、気ままに排泄をしてしまう…。

 

何度ゴシュジンさまを怒らせた事か…。

時には部屋の隅で、時には玄関で…。出しては怒られ、出しては叩かれた…。

それでもあたしの、(ふんしの教育)は終わらない…。

今日も特訓が始まる。

 

ゴシュジンさまがあたしの出したモノに向かって、あたしの鼻を押し付ける…。クンクン…とってもくさい。 そして、ベランダに向かって指を差す。

もう一度、匂いを嗅がされる…。今度はベランダに連れていかれた。 (ふんし)の格好をさせられる。

「ここですればいいんでしょ? 大丈夫! 今度はバッチリよ。」

ワン ワン!と鳴いて笑顔を作って見せました。

 

次の朝、特訓の成果を見せる。 見事に失敗!

玄関で、お見送りの最中に出しちゃいました。 おかげでゴシュジンさまのお出かけが遅れてしまいました。

2回目のチャレンジ! その夜ベランダまで駆け寄ります。 おトイレに跨り、見事成功…と思いきや、外にはみ出していました。(^^;

てっきりうまく出来たのだと、自慢げな顔をしたあたしを、ゴシュジンさまは頭を抱えて見下ろしました。

 

ゴシュジンさまの苦悩は続きます。結局、あたしが排泄しそうになると、ゴシュジンさまがおトイレに連れてってくれる様になりました。

でも、あたしだってゴシュジンさまに甘えてばかりではありません。 自分でもおトイレでする様に頑張りました。

その甲斐があってか、ベランダ意外ではしないよう我慢することが出来たのです。

これは、物覚えの悪いあたしにとって、快挙なのです。

 

ゴシュジンさまも、お部屋を汚さなくなったあたしを撫で撫でしてくれます。

ゴシュジンさまの期待に答えるべく、今日も頑張ります。

「ゴシュジンさま、見てみて。 ほらっ、ちゃんと出来たよ。(^^)」

ゴシュジンさまに見て貰いながら、得意げにプリプリッと、排泄をするあたしでした。

 

 

7 暗い部屋で

 

今日も外を覗いてる。

外には不思議が一杯。 知らないものばかりが目に映る。

けたましい音を立てて、煙を吐く箱… 色とりどりの布切れを身に着けた人間たち。

当然、あたしの仲間たちもいる…でも、ちょっとあたしと違ってる…。

仲間たちは、体中、毛でふさふさしてるけど、あたしは…。

でも、人間だって大きいのと小さいの、白いのと黒いのとがいるから、あんまり気にしない。 きっと私は毛がないだけなんだわ…。

 

一匹のメス犬が通りかかった。 可愛い子犬を3匹連れている。

子犬達は、お母さんに甘えてじゃれあっている。とっても楽しそう。(^^)

あたしはつられて、お尻を振って眺めます。

「いいなぁ いいなぁ」

あたしにはお友達はいません。あんな風にじゃれあって遊んでみたい…。

あたしは体を乗り出し、子犬達を見続けます。

お母さん犬が、せわしく子犬をお鼻で突ついています。

「あたしにも、お母さん…いたのかな?」

覚えの悪い頭を働かせながら、考えてみました。 でも…あたしにはいなかった…。

記憶にあるのは、夜の雨、 泥水、 棒で叩く人間… 死んでいく自分…。

あたしには分りません。 ゴシュジンさまに拾って貰えたからそれでいい。 それだけでいい。

 

日課のかけっこをしてみます。ぐるぐると、ぐるぐると。 目が回りそうになり、反対に駆けて行く。 何度も 何度も。

こうしてる自分が好き。とっても好き。 ゴシュジンさまはもっと好き!

ご飯をくれるし、遊んでくれる。 やさしくしてくれるゴシュジンさま。とっても大好き。

 

部屋の中も薄暗くなり、ゴシュジンさまの帰ってくる時間です。

お腹も空いて来ました…。

「今日のご飯は何かなぁ」 待ちわびる自分がそこにいます。

ちょっと今日は帰りが遅いみたい…。 お腹を空かしたまま、あたしは玄関まで待ちました。

 

「ご飯の後、遊んでもらうんだぁ(^^)」

あたしはゴシュジンさまに飛びついて、じゃれて甘える自分を思い描きます。

抱っこしてもらって、キスしてもらって…、オッパイもコチョコチョしてもらって、新しい遊びも教えてもらおう。

あたしは、楽しげに、この後起こるであろう事柄にワクワクしてゴシュジンさまのお帰りを待ちました。

 

けれどもゴシュジンさまは帰って来ません。

部屋は真っ暗になって、外の明かりが部屋の中を照らします。

「ゴシュジンさま…早く帰ってきて…。」

くぅぅ〜ん、と鳴いてあたしはうずくまりました。

暗い部屋で、一人帰りを待つあたし…。 静かに、静かにドアを見続ける。

身動きすれば壊れそう…今のあたしが壊れてしまう。

あたしの望みは…ただ一つ…。

 

「お腹…空いたなぁ…。」

あたしは、ゴシュジンさまの帰りを静かに待った。

 

 

8 空とぶ物体

 

そいつは突然、あたしの目の前に現れた。

そいつは今まで見た、どんなモノとも形が違っていた。

何よりもそいつは、宙を舞っているのだ!

あたしは警戒しがちに、そいつに向かって、グルル〜 唸って見せた。

そんな事はお構いなしにと、そいつは自由に飛び回る。

 

あたしは身構え、そいつを待った…。 ジャーンプ! 届きませんでした…。

もう一度、挑戦。 ジャーンプ! またまた失敗。しかも着地まで失敗し、床に転がってしまった。

 

一尾始終を見ていたゴシュジンさまが笑い出す。

「なによ。 あたしだって一生懸命なんだから…。ゴシュジンさまのイジワル。」

ふてくされながらも、今度こそはと身を低くし、お尻を振って待ち構える。

 

大胆ににもそいつは、あたしに向かってきた。

黄色い2枚の羽根をひらひらさせて、どんどん どんどんあたしに近付いてくる…。

あたしは慎重に狙いを定め、距離を測る…。止まった時がチャンス! あたしは静かに待った。 しかしそいつは止まらない…。 ついにはあたしの鼻先に止まった!

「なんてヤツ! この、あたしのお鼻に止まるなんて。」

あたしは寄り目で、そいつを睨み付けた。 ぷっ、とゴシュジンさまが笑う。

ゴシュジンさまに笑われ、あたしは恥かしそうにカァーッと、顔を赤らめました。そして…、

「やぁー 離れてよ、 離れてったら…。 んもぅ。」

と、大きく首を振り、そいつを振り払います。

 

その時、そいつの羽根が、あたしのお鼻をかすめました。

「くしゅんっっ! くしゅん くしゅんっ!」

やられました…。 あたしがクシャミしてる間に、そいつはとっとと逃げて行ってしまいました。 入ってきた時と同じ窓から出ていったのです。

「 ふっ 負けたわ…。 あたしの負けよ。」

戦いは終わりました。 なぜか清々しさが、私の中に残ります。

不思議な笑みを浮かべながら、あたしはそいつの出て行った窓の外を見つめます。

「今度は負けないんだから。 また、遊ぼうね。」

部屋の中には、負け犬のあたしと、お腹を抱えて笑うゴシュジンさまが居ました。

 

 

9 外は広いな おおきいな…

 

ガーガーッ ピピィー パッパァァーー ガヤガヤ ガタンッゴトンッ…

外は色々な音に溢れていた。 それにしても、人間って、こんなにいたんだ…。

驚きと、興奮であたしは おおはしゃぎ。 それもそのはず、今日はゴシュジンさまとお散歩なんです。

 

お出かけ前に、おめかしとばかりに、あたしの赤い首輪にリードを着けて下さるゴシュジンさま。

「どう? よく似合う♪」

はしゃぐあたしに、ゴシュジンさまは、(行くよ?)とばかりにリードを引っ張ります。

 

玄関を出ると、お日様がさんさんとあたしを照らし出します。

いつもお部屋の中ばかりにいたあたしには、新鮮な感覚です。

あたしは嬉しくて嬉しくて仕方がありません。 ゴシュジンさまをグィグィ引っ張って、駆け出そうとします。

けれどゴシュジンさまは、リードを引っ張って、勝手にはさせてくれませんでした。

時には強く引っ張り、あたしを力ずくで引き寄せます。

あたしは、「あっちに行きたいのぉー  こっちは何があるのぉー?」 と、気ままに駆け回るものですから、ゴシュジンさまも溜まったものではありませんでした。

 

しばらく歩くと、何やら匂いが…。匂いは長〜い柱からします。

そう、ここは他の犬の縄張りだったのです。 あたしは、むすっ、としながら、

「なんでよぉ…、んもぅ。 ここは、あたしの!!」

と、その上から平気で、オシッコかけてやりました。

「これで大丈夫。 今日からここは、あたしのナワバリ! 入ってこないでよね。」

満足そうに、今かけたオシッコの匂いをかいで、次のポイントに向かいます。

 

こんなことを繰り返して、あたしは広い、ひろーい所にやって来ました。

周りには草が生え、とっても踏みごこちが気持ちイイ。

まばらに人間たちが、くつろいだり、はしゃぎ回っています。

あたしもこんなに広い所は始めて! 壁も無いし、遠くが何処までも続いている…。

あたしの、はしゃぎように、ゴシュジンさまはリードを外して下さいました。

 

あたしは、思いっきり駆け巡った。 懇親の力で大地を蹴って。

今こそ自分が思いのままに動けるんだと、一つ一つ感じながら…。

動けば体の回りで風がなびく、手足に絡まる草の根も心地よい…。

身体の全てを使って、 全てのエネルギーを使って…、あたしは大地を確かめた。力いっぱい感じた…。 そう、忘れかけていた感覚。 野生の記憶…。

 

どれだけの時間が過ぎたのだろう…。ゴシュジンさまの呼ぶ声が聞こえた。

あたしは、一瞬、躊躇した…。

帰らなくっちゃ…でも、何処へ…。

再びゴシュジンさまの声が聞こえる。 想わず身震いするあたし…。

「このまま、向こうに走って行ったら…。」

遠くを見つめながらも、あたしはゴシュジンさまの元に走り出していました。

 

ゴシュジンさまの足元に辿り着き、甘える様に、

「ゴシュジンさま ゴシュジンさま…。」

と、体を摺り寄せるあたし…。 何か、全てを吹っ切る様に、切なく甘えます。

ゴシュジンさまも、やさしくあたしの頭を撫でてくれ、ゆっくりとリードを首輪に繋いでくれました。

「そう、あたしはゴシュジンさまの飼い犬。 だから、だから…」

 

あたしの居場所はここ…。 それが現実、それが幸せ。

あたしは、ゴシュジンさまの前に出ることなく、後ろをついて歩くのでした。

 


10 想い…

 

その日ゴシュジンさまは無口でした。

いつもと違い、帰りが遅いせいもあって、あたしはお腹を空かせながら鳴きます。

「遅いよゴシュジンさま! 早くご飯 ご飯!」

せかす様にゴシュジンさまの回りをぐるぐるしながら、あたしは催促します。

ゴシュジンさまは何も言わず、白い袋から「ご飯」を取り出しました。 そしてあたしの目の前に置くと、そのまま動きませんでした。

あたしはご飯めがけて突進します。 ご飯は冷たくなってましたが、あたしは夢中になって食べ始めました。

ゴシュジンさまはしゃがみ込んで、あたしのお食事を見ているようでした。

殆ど食べ終えた後で気がついたのですが、お部屋はさっきからずぅ〜っと、暗いままでした。

あたしは不思議そうにゴシュジンさまを見上げます。

「ゴシュジンさまは、お帰りになったらいつも部屋の明かりをつけるのに…。」

不思議そうに眺めるあたしの目とゴシュジンさまの目が合います。

「あっ…」

ゴシュジンさまは泣いていらっしゃいました。 とても静かに、音も立てず…。

あたしは何だか不安になり、ご飯の途中にも関わらず、ゴシュジンさまの近くに歩み寄ります。

「どうしたの? ゴシュジンさま…。お腹、痛いの?」

わけがわからず、あたしはゴシュジンさまに擦り寄ります。 けれどゴシュジンさまは、ただ、涙を流し続けます。

「どうしたの? ねえ、どうしちゃったの、ゴシュジンさま!?」

メス犬には、到底解るものではありませんでした。

 

その日、ゴシュジンさまは、ある女性に恋の告白をしたのです。 けれど、その想いは成就しませんでした…。

その女性の言葉がゴシュジンさまを苦しめました。

(冗談はヤメテよ!!  虫唾が走るから、あっち行って!!)

ゴシュジンさまは、歯を噛み締めながら泣いていました…。

 

「ゴシュジンさまぁ…。」

心配そうに顔を覗きこむあたし…。

ゴシュジンさまは、コクリと頷くと、あたしの頭を優しく撫でてくれた…。

クゥゥ〜ンと鳴く、あたしにゴシュジンさまは優しくしてくれる。 でも、あたしはゴシュジンさまに何もしてあげられない…。

ただ、甘える様にゴシュジンさまにしがみつくだけでした。

 

その夜、お部屋が暗くなってもゴシュジンさまは泣き続けました。

あたしは心配そうに見守ることしか出来ません。

あたしは(犬小屋)を這い出て、ゴシュジンさまのもとに行きました。

ゴシュジンさまはうずくまる様にして、そっぽを向いています。

あたしはゴシュジンさまの正面に向かい、そして…優しく涙を舐め取ります。

「しょっぱい…。」

何となく、ゴシュジンさまの悲しみが伝わる様でした。

 

 

11 湯煙

 

「あぁ、とってもイイ気持ち♪」

お湯に浸かりながら、あたしは満足そうに笑みを浮かべます。

今日は久しぶりの「お風呂」の日。

お湯に入ると、ナンだか心地よくって、身体中がリラックス出来ます。

すぐ傍でゴシュジンさまが、身体を洗っています。ゴシュジンさまも満足そうです。

「ゴシュジンさま、お風呂大好きなんだぁ。(^^)」

あたしは、一人納得したかのようにゴシュジンさまを見つめました。

 

大きな背中…。 少し焼けた色の肌…。 所々に傷跡もあります。

あたしは湯船から、ザパーンッと飛び出しゴシュジンさまの近くに寄り沿います。

そして、ゴシュジンさまの身体をペロペロと舐め始めました。

ゴシュジンさまは少しくすぐったそうに、身体をよじってあたしを抱き寄せました。

あたしはされるがまま、ゴシュジンさまに抱かれ、丁度正面に来たゴシュジンさまの御鼻をペロペロと舐めました。

ゴシュジンさまもそれにつられ、あたしのほっぺを舐めてくれます。

 

そんな、たわいのない遊びをしながらも、あたしはドキドキと胸を高鳴らせていたんです。 …どうして、 …なぜ?

ゴシュジンさまは、あたしをタイル張りの床に置くと、何かヌルヌルしたものを身体にぬってくれました。

「あん、何これ…。 やぁ〜ん 変なのぉ〜。」

見る見るうちに、あたしは真っ白な泡に包まれて行きました。

ゴシュジンさまは、両手をあたしの体に這わせ、手をあたしの体に擦り付けます。

首筋から肩…、腕に移り、脇の下へ…。 胸に伸びて、たわわな乳房を揉みながら…、その先端を優しくいじって…。

脇からお臍の辺りを軽くマッサージしてくれて、時折、背に指が伸びて、背中全体を撫でてくれる…。 とても気持ちイイ時間。

 

あたしはゴシュジンさまの手の動きにつられて、表情を変えていきます。

せつないような…、でも、気持ちの良い感覚。 不安な心も解けてしまう…。

あたしは、ゴシュジンさまの命令があるまで、じぃーっと、お座りのままでいました。

でも、時には敏感な所を触られ、ビクンッ て、感じてしまいます。

ゴシュジンさまは面白そうに、股間の部分にも手を這わせて行きました…。

ゴシュジンさまに責めたてられ、いつしか…あたしは、はしたなくお尻を高く突き出す格好になってました。

 

「あふん… あふん… あん。」

あたしは、分けも判らずただ、感じていました。 自分がこんなになるなんて、考えた事もありませんでした。

「はぁ、 はぁ、 あん ああぁ… 」

イタズラなゴシュジンさまの手が、あたしの割れ目を強く摩り、そして…何本かの指が入っていくのを感じました…。

「あ、ああん… ゴ、ゴシュジンさまぁ〜 ゴシュジンさまぁぁぁ〜〜! 」

目の前が、明るく光った感じがしました。 

とたんに、電気が走った様に身体をびくつかせ…、 あたしは意識を失いました。

体中の力が抜けるように…でも、しっかりゴシュジンさまの指を体で感じていた…。

あたしは痙攣を起こした様に、ヒクヒクとお尻を振っていました。

そんなあたしのお尻を、ゴシュジンさまは優しく撫でてくれました。

 

 

12 調教

 

「わん わん わん。」

あたしは嬉しそうにはしゃいでいます。 だって、今日はゴシュジンさまが朝から遊んでくれるから。(^^)

ポイっと、ゴシュジンさまが「棒」を投げました。 あたしは急いでそれを追いかけ、咥えて戻ります。

ゴシュジンさまは、ご褒美に頭を撫でたり、胸を揉んだりしてくれます。

「こんなの、簡単よ♪ ゴシュジンさま。(^^)」

得意満面であたしは、「ワンッ」と、吠えました。

 

今度は、空中キャッチの練習です。

ゴシュジンさまがあたしの頭上高く、「棒」を放り投げました。

高く舞い上がった「棒」を目で追い、床に落ちるまで首を動かし見守ります。

あたしは、最初ポトリと落ちた「棒」を咥えて拾い上げますが、ゴシュジンさまは満足してくれません。

 

今度は「棒」を空中でヒラヒラさせて、あたしに興味を促します。

あたしはキョトンとして、首を横にひねって、ゴシュジンさまの仕草に見惚れます。

困った様にゴシュジンさまは頭を掻きながら、今度はもう少しあたしの鼻先の近くに「棒」を持ってきました。

反射的に、あたしはパクリと「棒」を咥えました。

ゴシュジンさまは喜び、今度はもう少し高い位置に「棒」を持っていきます。

(あ、なぁ〜んだ。 そういうお遊びなのね。^^)

あたしは、ちょっとジャンプして「棒」を咥えました。そしたらゴシュジンさま大喜び!!

あたしを仰向けにして、お腹をコチョコチョします。 よっぽど喜んで貰えないとお腹コチョコチョはしてくれないんです。ゴシュジンさまは。(^^;)

 

そして、もう一度、ゴシュジンさまはあたしの頭上に「棒」を放り投げました。

あたしは、「棒」の動きを目で追い、首を動かし、床に落ちるまで「棒」を見つめてました。

(で、これがなぁに? ゴシュジンさま??)

まったく解かっていないあたしでした…。

 

ゴシュジンさまは、それでも根気良く同じ事を繰り返し、時には(お手本)まで示してくれました。

ご自分で放り投げた「棒」を、いとも簡単にキャッチするゴシュジンさまの姿に、あたしは驚きの声を隠せません。

(すごいすごい!!  ゴシュジンさま、かっこいいぃ〜! )

「わん わん!」と吠えるあたしに、ゴシュジンさまは疲れた眼差しをあたしに向けます。

結局、あたしの調教は失敗に終わりました。

 

快適な運動をした後は、体のお手入れをします。

汗をかいた両腕を舐めたり、片足を上げて股間の蒸れを外に逃がします。

本当は股間の毛繕いをしたいのですが、どうにも体が固いせいか…お口で毛繕いが出来ません。

仕方がないので片足を上げたままで、少しの間、風通しを良くするしかありませんでした。

 

そんな姿をゴシュジンさまは興味深く見つめています。

あたしにとっては、ゴシュジンさまがいつも見ていてくれるだけで、とっても幸せなんですけど、今日のゴシュジンさまは、何となく熱い眼差しであたしを見つめるのです。

あたし、ちょっと恥かしくなって、思わず顔を下に向け、ゴシュジンさまの視線から逃れようとしました。

でも、今度はゴシュジンさまが床に寝そべって、あたしの足元に顔を置くのです。

(や、やだ… ゴシュジンさま。 あんまり見ないで…。)

あたしは思わず足を下ろし、股間を閉じ様としましたが、ゴシュジンさまが片足を掴んで片足を下ろさせてくれません。

(あ、ああぁ…)

そのまま、長い間…、ゴシュジンさまは、あたしの股間を見つめていました。

 

 

13 ハッピーバースデー

 

そろそろお腹も減って来ました。 ご飯の時間です。

あたしは差し出されたご飯を、がっつくように食べ始めます。

当然、頭をお皿に伸ばして、這いつくばって食べる為、逆にお尻が持ち上がります。

ゴシュジンさまは、お食事の最中でもお尻を撫でてくれます。ですが今日はちょっと違っていました。ゴシュジンさまはあたしのお尻の後ろに回って、しゃがみ込んでいます。

そして、じーっとあたしのお尻を見つめてる様なのです。

 

「どうしたの?ゴシュジンさま。 お尻に何か付いてる??」

あたしはお口一杯にご飯を頬張りながら、キョトンとしました。

メス犬のあたしにゴシュジンさまの考えてる事が解かるはずもありませんが、それでも何となく勝手に想像しました。

「お尻が見たいの? コレでいいですかぁ?」

くぃ、とお尻を持ち上げるあたしでした。

するとゴシュジンさまは、今度は両手であたしのお尻を押し開いて行ったのです。

急に前にお尻が押されたものですから、思わずご飯の中に、お顔を突っ込んでしまいました。

「あん、もぅ…ゴシュジンさまぁ、ご飯食べれないよぉ〜。」

「わん わん!」と、あたしは少し怒ったように言いますが、ゴシュジンさまは気が付きません。あたしのお尻に夢中のようです。

「んもうぅ…ゴシュジンさまったら。」

怒っていいのか、恥かしがっていいのか、訳が解からずそのまま食事を再開しました。

あたしがお食事をしている最中でも、ゴシュジンさまは飽きもせず、後ろから、あたしの股間を眺めています。

 

時折、チラリと後ろを覗いては、ゴシュジンさまの行動を見るのですが、さっきとあまり変わりません。

あたしがそそくさと、ご飯を食べていると、

「ひゃぁん!」

何やら固いモノが、あたしの股間を突きました。

(きっと、ゴシュジンさまが何かイタズラしてるんだ…。)

あたしは、そう一人で思い込みながら再びご飯を食べ始めます。 ですが…

「あ、あ、あん…」

先程の固いモノが、一段と動きを増して、あたしの食事を妨げるのです。

「そ、そんなに動いたら…あっ ああ、 あぁ…」

あたしは、いつしか味わった…あの、言いようのない感覚に襲われました。

「あ、あん ダメwィ… こ、こんな… あ、ああぁ〜 」

あたしの口からは、噛み掛けのご飯が、唾液と共にポタリ、ポタリと落ちていきます。

ゴシュジンさまに後ろから突つかれながら、あたしは夢を見ているような気持ちに陥りました。

湧き立つエネルギーがあたしを踊らせる。 まるで全てを飲み込むように…。

内側から感じる全ては、あたしの身体を麻痺させ、その上で支配していく…。

あたしが堪らず叫ぼうとも、その行為は終わらず、一瞬が永遠に想われる時…。

 

どのくらい経ったのだろう…。 あたしはゴシュジンさまの足元にへたり込んでいました。

さっきのは何だったのか、メス犬のあたしには解かりません。でも、何となくゴシュジンさまがいつもより近くに感じ取れました。

「くぅぅん」 と、鳴くあたしにゴシュジンさまは優しく頬擦りをしてくれ、その夜はゴシュジンさまと一緒に「布団」の中で眠らせて貰いました。

 


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